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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第3章 氷壁の封印と生贄の姫巫女
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第186話 深夜の帰還

「……これって、どんな状況なんだ」


 俺は目の前に広がる光景に困惑していた。


 眼前には意識を失い倒れ込む桃髪の女、ロザリア・ミッドナイト。艶やかな黒のドレスは大きく開け、その白い素肌を月光のもとに晒している。


 周囲に存在していた氷塊は奇麗サッパリに溶け消え、戦闘の残滓か甲板には所々に損傷の箇所が見られた。


 見渡すと倒れているのは彼女だけではなかった。


 青白い髪の女、エルフのシェリル。船内で出会ったダークエルフのブラック。他にも見覚えのない数名の若い女性が……


 ブラックの顔を覗き込むと、なぜか満足そうな寝顔を晒している。なんで皆して甲板で雑魚寝してんだろ。皆目見当がつかない。まったくの謎である。


 状態:能力低下 強制睡眠 魔力枯渇


 倒れている者たちは魔力を失い、それを原因に意識を失っているようだ。いったん枯渇状態になると魔力回復が始まるまで時間がかかるので、しばらくは彼女たちが追撃に来ることは無いだろう。


 このまま無防備を晒すロゼリアの命を絶っておけば、今後の憂いも解消されるかもしれないが……


 レベルを見ても彼女が帝国でも屈指の実力者なのは間違いない。同時に冒険者でもあり、多くの繋がりもあることだろう。そんな彼女を亡き者にすることは、帝国に正面から喧嘩を売ることになるのではないだろうか。……わからん。だが下手な行動はできないのは間違いない。とりあえず、この場はこのまま放置して拠点へと帰還することにしよう。こういった面倒ごとは、偉い人に報告して指示を仰げばよいのだ。


 

 俺はスキルを変更し、謎の状況となった船上から脱出することにした。


 水魔術B級 闇魔術B級 隠密B級 耐性S級


 クラーケンとの戦闘のお陰かレベルも上がってスキルポイントにも余裕ができた。


 高い階級を維持しつつ、複数のスキルを利用できるようになって戦術の幅も広がることだろう。


 夜の海に飛び込むのは勇気が必要だったが、闇耐性の効果なのか恐怖は無かった。


 期待通り氷耐性の効果も発揮され、冷気で体が動かなくなることもない。冷たいとは思うものの、耐えられるし不快感はない。不思議な感覚だが、冷たいことはわかるが冷たくないという謎の感覚なのだ。


 潜水は皮膚呼吸を強化する術らしい。よくわからないが、肺に空気を取り込まずとも長時間の潜水が可能になる。


 遊泳は水中を自在に行動できるように補助する術だ。まるで足ヒレを付けているかのように、ひとかきで水中を思い通りに進むことが出来る。


 魔眼は暗い海の中でも、ある程度の視界は確保できるし夜の海でも問題は無さそうだ。



 それなり距離はあったが問題なく陸地まで辿り着いた。


 スキルを変更して広域探知を使用して確認するが、追手の気配は感じられなかった。


 まぁ、このような狭い島では逃げようと思っても無理がある。隠れていても見つかるのは時間の問題だろう。何か仕掛けてくるようであれば、その場合は……


 いや、そうなると俺だけでの問題ではなくなるのか。……シフォンさんに相談しよう。


 俺は再度、広域探知で周囲を確認した後、拠点としている屋敷へと足を向けた。



 辿り着いた頃には誰もが寝静まる深夜という時間であったが、魔力探知の反応からそこにいる存在を察知した。屋敷の扉を静かに開けると、そこで待っていたのはリザだった。


「お帰りなさい。ジン様」


 彼女はそう言った後、勢いよく胸に飛び込んできた。


「ああ、ただいま」


 俺はそれを受け止め、しばらく時が止まったように抱きしめた。


「ジン様。お怪我はありませんか?」


 暫しの抱擁の後、リザは思い出したかのように俺の体を弄り、身を案じてくれた。そんなリザに気恥ずかしさも感じながら、温かいものを感じた。


「大丈夫だ。問題ない。みんなは寝てる?」


「はい。お母様とシアンは先に休ませていただいてます。たぶんアルドラ様は屋根にいらっしゃるかと」


 アルドラは屋敷の守護にと、屋根の上から見守っているらしい。気配は感じるので、そのとおりなのだろう。


「リザも休んでいれば良かったのに。ずっと起きていたのか?」


「はい。ジン様は必ず帰ってくると信じておりましたので」


 そういってリザは微笑んだ。


 装備を外して身軽になった俺は、濡れた体を温めるため湯につかることにした。


「リザも一緒にどうだ?」


「あ、はい。ご一緒します」


 なんというか、妙な気分の高まりがある。たぶんアイツの魅了を受けたせいかもしれない。


 この高揚を静めないと、とてもじゃないが眠れそうにない。湯につかって落ち着けば良いが、難しそうだ。


 俺のそんな気配に直感で気が付いたリザが、頬を染めて後ろを付いてくる。


 直感は強力な特性だが、あまりに便利すぎるのも考え物だ。求めていることが、すぐにバレてしまうのだから。


 まぁ、今更といえば、今更ではあるが。


お読みいただき、ありがとうございます!

ブクマ、評価よろしくお願いします(=゜ω゜)ノ



 ジン・カシマ 冒険者Lv32精霊使いLv30

 人族 17歳 男性

 スキルポイント 0/75

 特性:魔眼


 雷魔術B級【雷撃 雷扇 雷付与 麻痺 雷蛇】

 火魔術【灯火 筋力強化 火球】

 水魔術【潜水 遊泳 溶解 洗浄】

 土魔術【耐久強化 掘削 創造】

 闇魔術B級【魔力吸収 隠蔽 恐怖 黒煙】

 魔力操作【粘糸 伸縮】

 探知B級【嗅覚 魔力 地形】

 耐性S級【打 毒 闇 氷】

 体術 盾術 剣術 槍術 鞭術 投擲 短剣術

 闘気 隠密 奇襲 警戒F級 疾走 軽業F級 解体 窃盗

 繁栄 同調 成長促進


 雷精霊の加護



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