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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第3章 氷壁の封印と生贄の姫巫女
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第178話 投獄

 肌に感じる冷気に混濁した意識を覚醒させた。


「あれ、ここは……?」


 冷たい木床が頬に当たる。屋内に寝かされているようだ。俺は自分の記憶を遡り、ここへ至る経緯を探った。


 そうだ、あの桃色の髪の女。アイツの神器で動きを封じられ連れてこられたのか。


 途中から記憶がない。気絶していたのか。……あれ?いつのまにか全裸にされてる?パンツさえも奪われた。どうやら生まれたままの姿で転がされているようだ。


 状況を確認しようと身をよじる。腕が動かない。後ろ手に拘束具を付けられているらしい。


 木床、木壁、何もない部屋。後ろを振り返ると鉄格子が見えた。その奥に見える人影。机と椅子。壁に吊られたランタンが、薄暗い部屋を仄かな光で色づけている。


「やぁ、色男。目が覚めたかい?」


 獣猫族の若い女が椅子に座ってナイフを研いでいた。


「……えっと、いま俺ってどんな状況なんですかね?」


「うん、捕まってるね」


 そりゃ、そうだ。


「いや、そうですけど。捕まるような身の覚えはないのですが……」


「ふーん。まぁ、あんたに身の覚えがないだけで、何かやったんじゃないの?」


 やったのかなぁ?いや、やってないだろ。


 多少暴れたけど、暴れたのが理由ならアルドラの方が捕まるはずだ。ん?捕まったのって俺だけか?


「私は知らないけど聞いた話じゃ、この船に連れてこられたのは、あんた1人みたいだね」


「そうですか」


 それならまだよかった。アルドラは呼べば来てくれるし、リザたちが無事ならひとまず安心だ。


 それにしても、ここは船なのか。


 揺れている感じはしないので停泊しているのだろう。


 部屋には小さな窓があるが、そこから光が差し込む様子はない。拘束される前は昼くらいだったはずだが、もうずいぶんと時間がたっているようだ。


 地形探知


 広範囲探知で現在地を探ると、この船はミューズのある湾内に停泊していることがわかった。


 近くには多数の船が同じように停泊している。全部、帝国冒険者の船だとすると凄い数だ。


 さて、どうするかな。とりあえず服は着たいんだけど。


「ダメダメ。逃がさないよう装備は取り上げろって言われてるからね。まぁ、大人しくここで寝ていた方が身のためだよ。逃げようとしても、その拘束具と鉄格子は魔術抵抗の処理がされているから、魔術で破ろうと思っても無駄だろうけどね」


 魔術効果:魔術抵抗力強化


 鉄格子を魔眼で調べてみるが、確かに何か付与されているようだ。


 拘束具も同じものなのかな。ちょっと試してみるか。


 水魔術 溶解


 溶解は低級だと効果が低いのでS級で試してみよう。あまり魔力を込めすぎないように、力を加減して――


「………」


 加減したつもりだが拘束具はあっというまに溶解し、まるで溶けたアイスクリームのようにして原型を崩し地面に落ちた。


 鉄格子はどうかなと手を伸ばすと、やはり1秒と立たずに溶解し原型を失った。


「なっ、何をした!?」


 獣猫族の女が取り乱し声をあげた。少し目を離した隙に自分の理解を超えた現象が起こっているのだ。


「えっと……溶けましたね」


「はぁ!?」


 騒がれても困るのでとりあえず大人しくしてもらおうかな。


 雷魔術 麻痺


「ッあ!!」


 指先からほとばしる細雷が女の意識を刈り取る。意識を失った女はその場に崩れ落ちた。


「ついでに魔力も頂いておくか」


 状態:強制睡眠 魔力枯渇


 うん。これでしばらくは目を覚まさないだろう。


 魔力が尽きかけた状態、魔力枯渇になると回復に時間が掛かるからな。


 魔力回復の早いエルフのミラさんでも、けっこう時間かかったし獣人なら1日以上はかかると思う。


 ちなみに魔力吸収は口づけで行ったのではなく肌に触れて吸収した。

 接種奪取ハンドスティールというやつだ。これは魔力変換率が悪いだけで、相手の魔力を消耗させるというだけなら十分に効果がある。

 


 

お読みいただき、ありがとうございます!

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