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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第3章 氷壁の封印と生贄の姫巫女
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第162話 決闘

「どうしてこうなった……」


 思わぬ事態に一人ごちる。


 本部となっている館を出て中庭へとやってきた。


 周囲には観客となった調査隊の面々が並ぶ。


「ごちゃごちゃ言ってるんじゃねぇ!男なら実力で俺を黙らせてみろ!男と男の勝負だッ!」


 レドと呼ばれた若い男が興奮した様子で吠えた。


「うむ。そうだな。そうだ。仕方あるまい。皆を納得させるためにも、君の実力を示すのが手っ取り早いという結論だ」


 シフォンは頷き、そう断言した。


「いや、これから一緒に仕事する仲間なのに、こんな事で争っていては支障を来すのでは……」


「問題ない。隊員には治療術の使い手もいるので、存分にその実力を示してほしい。もし怪我をしても、完璧に治して見せよう」 


 シフォンは自信ありげに話すが、命に関わる大怪我はS級クラスの光魔術でなければ難しい。


 魔眼で確認したところ光魔術を修得している者はいるが最高でB級。欠損部位の回復は望めない。


 好ましくない男ではあるが、一応仲間である彼を大怪我させる訳にはいかない。さて、どうしたものか。


 火球で焼き尽くす訳にも、雷撃で黒焦げにする訳にもいかないだろう。恐怖はトラウマになる可能性が高いので論外だ。


「拳で黙らせればよかろう」


 アルドラが何でもない事だと答えた。


 体術S級 軽業S級 闘気D級 奇襲F級


 相手も俺の実力を測るための模擬戦。そういう考えでいるはずだ。アルドラは存分にやれと意気込んでいるが、あまり派手に暴れるのもどうかと思うので、様子を伺いつつ相手しよう。


 ついでにまだ使ってない軽業の使用感でも試してみるか。 


「どうした!かかってこないなら、こちらか行くぞ!」


 レドが声高に叫ぶと、腰の剣を抜き天へと高く突き上げた。


火付与ファイアエンチャント!!」


 剣に炎の魔力が宿る。


 細身の剣に轟々と炎が巻きつき、風を受けて火の粉が舞い散った。


 それと同時にレドの体からも炎が燃え上がる。剣と肉体へ同時に術を付与し、更に長時間維持するのは中々大変なのだ。


 もしかしたら意外とやる奴なのかもしれない。



 レド・バーニア 魔法剣士Lv38

 人族 24歳 男性

 スキル:火魔術C級

     剣術C級

     回避D級

     警戒D級

     耐性D級



 レベルから見てもB級一歩手前か。攻撃と回避に偏ったアタッカータイプのようだな。


「ちッ、やる気がねぇなら、やる気が出るようにしてやろうかぁ!!」


 火属性が得意だから、暑苦しいやつなのかな。


 そんなことを考えてると、炎を纏ったレドが突進してくる。


 魔術で作られた炎だが、近寄られると確かに熱い。


 火付与って結構使えそうだな。ぜひ欲しいが人間の体内では魔石が生成されないので、彼から魔石を得ることは不可能だ。残念である。


「おっと、あぶない」


「くっそ!ちょこまかと!」


 回避というのはどういうスキルなのだろう。


 攻撃を回避しやすくなるらしいが、どういったものかイマイチわからない。自分で使ってみないと理解するのは難しいかもしれない。


 軽業との違いも気になるところである。


 まぁ、その軽業というのは、名称もそのままに魔力を注ぐことで身が軽くなるスキルのようだ。


 等級を上げれば効力も上がるのだろう。今の俺は体が羽根のように軽い。軽く動いただげで、移動しすぎてしまうので慣れが必用なスキルだ。


 通常であれば時間を掛けて修得するはずなので、このような問題になるのは俺くらいなものなのだろうが。



 レドは警戒と回避を駆使しているのか、俺が放つ死角からの攻撃を危なげなく避けていく。


 何気に凄い。とは言え、スキルの等級では俺が大きくリードしているのに、この結果というのは俺が力を使いこなしていない証拠でもあった。


 それでも、しばらくレドの攻撃を近くで見ていれば攻撃の定型パターンは見えてくる。


「うぐぁッ!?」


 レドの斬撃を躱し鳩尾を狙って拳を放つ。一撃は人体の急所を深く抉り、俺は確かな手応えを感じた。


「嘘だろ!?D級野郎が……何でこんなにッ――」

お読みいただき、ありがとうございます!

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