第152話 海人族の男
「ムカエガクルゾッ!ムカエガクルゾッ!」
片手に乗るほどの大きさの小鳥が、眼前に降り立ち喧しく鳴き喚く。
伝書鳩 魔導具 C級 魔術効果:飛行 伝達
まるで本物かと言うほどに精巧な作りの生物型の魔導具。その様子から生きた絡繰り人形といっても過言ではない。
鳩とはいうが、俺の知る鳩とは違うようで地味な色彩の野鳥のようだ。
前に聞いたことがある。上位の冒険者との緊急の連絡をとる手段があると。それがこれなのだろう。
B級以上の冒険者ともなれば、その活動範囲は広く場合によっては国外に及ぶことも珍しくはない。
そういった場合、場所によっては緊急の連絡がつかない状況も考えられる。
そこで開発されたのが、この伝達の魔導具というわけだ。
ギルドで緊急の案件が発生した場合に、やむえず連絡をとる手段なのだ。
テント他を撤収させ、伝書鳩が導く浜へと移動する。
絶えず喧しく鳴くので、おそらくもうすぐ迎えの者が現れるのだろう。
「ジン様、来たようです」
「おっ、来たか」
リザが指差す方角に視線を動かすと、こちらへと向かってくる帆船の姿が確認できた。
だんだんと岸へ近づいてくる帆船。
ここから確認できる乗組員は男性1人のようだ。あれが話にきく海人族というやつか。
「ギルドの冒険者が迎えに来るのかと思ったが」
線は細いが引き締まった無駄のない体。人族の肌色ともエルフの色白とも違った、青味がかった珍しい肌の色をしている。
髪の色は灰色に近い白髪。長めの髪を乱暴に後ろで縛っていた。
船の男は何やら大きく手を振って合図している。
なかなか気の良さそうな男だ。
あまりに一生懸命に降っているので、俺も思わず手を振り返した。
「うおおおおーーーーーい!!!お前ら、ささっと船に乗れぇーーーーッ!!奴らがくるぞ、早くしろーーーーーーッ!!!!」
岸近くまで寄ると、船の男は絶叫かと言わんばかり声を張り上げた。
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船の男の指示に従い、リザ、シアンが慌てて船に飛び乗る。
リザの表情を見れば、男が悪意のある者でないことはわかった。
状況はわからないが、あの焦りようは全くの猶予がないのだと訴えているようだ。
船は接岸する手前で止まっている。浜まで乗り上げてしまうと、素早くこの場を離れることが出来なくなってしまうからだろう。
俺はミラさんを抱きかかえ、船へと急いだ。
「すいません、ジンさん」
腕の中で恐縮して小さくなるミラさんが可愛い。
「ローブが濡れてしまいますからね」
船の男が手を繋ぎ船へと引き上げてくれる。細身の男だが力強い。それなりに年齢はいっているようだ。
瞳が水晶でも嵌め込んでいるかのような不思議な造形をしている。それを見て、やはり人族とは違った種なのだと実感する。
「助かる。ありがとう」
船に乗せてくれた男に礼を言うと、彼は慌てた様子で答えた。
「悪いが話は後だ、すぐに出発する」
長年使い慣れた道具のように手際よく船を操作して、素早く反転させると船は沖へ向かって進み始めた。
ミラ・ハントフィールド 治療師Lv29
エルフ 90歳 女性
スキルポイント 3/29
特性:夜目 直感 促進
光魔術 C級【治癒 防壁】
魔力操作 C級【制御】
調理 D級
【装備】
ミスティコート 魔装具 E級 魔術効果:認識阻害
キャスケット 衣類 E級
ハードレザーアーマー 防具 E級
キルティングベスト 防具 E級
レザーグローブ 防具 E級
ロングスカート 衣類 E級
レザーブーツ 防具 E級
アウトラスト 魔装具 E級 魔術効果:体温調節
ストーンジェム 魔導石 E級
ショートスタッフ 片手棍 E級
ラウンドシールド 盾 E級
身代わりの護符 魔導具 D級
バックパック 雑貨 E級