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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第3章 氷壁の封印と生贄の姫巫女
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第138話 不思議な光

「いらっしゃいませ、カシマ様。ささ、どうぞお入り下さい」


 俺は一旦家に戻り、シアン、ミラさんを連れ白猫館へ訪れた。


 この白猫館のある花街は女人禁制の地区なのだが、事前にモクランに相談し話を通してもらっている。


 認識阻害の魔装具で素性を隠しているとはいえ、自分の勝手で我侭を言ってしまった。



「悪いんだけど、先に風呂をいただきたい。大丈夫かな?」


「はい、モクラン様からお話は聞いております。では、案内の者をお呼びしましょう。少々お待ち下さい」



 初めて来た時には知らなかったが、白猫館には貸し切りにできる浴室がある。


 それを知って以来、風呂好きの俺は度々白猫館へ訪れていた。


 案内の者に追従し、廊下を進む。


 ミラさんは家で入浴を済ませたそうなので、先に部屋で待っていてもらうことにした。


 エルフには熱い湯に浸かる文化がないので、風呂というのは苦手のようだ。


 アルドラはと言うと長い冒険者生活の間に諸国を巡り、異国の地で温泉文化などに触れることで風呂好きになったらしい。


 自ら故郷の村に温泉を掘ってしまう程には、気に入っているようだ。


「温泉があれば良いなと思うてな。試しに掘ってみたら出おったわ、ははは」


 

 すれ違う店の従業員が、頭を下げ挨拶してくる。ここで働く者たちには俺がモクランの良い人であるという噂が広まっているようだ。


 勿論、彼女との間には何もない。


 初めて訪れた夜に少々やり過ぎたくらいだ。



 

>>>>>




「何だろうあれ……」


 中庭の庭園に光る何かが浮遊しているのが見える。


「ジン様?」


 俺の呟きにリザが不思議そうな表情を向ける。



 まるで小さな森といったような自然溢れる庭園。


 廊下には明かりが灯っているが、それほど強くはない緩やかな光。


 そのため、庭園全体を照らすことはなく、木々の影が深い闇を作り出している。


 そんな闇に浮かぶ光る何か。


 あれは……蝶?


 


 不意に雷精霊の腕輪が熱くなるのを感じる。


 次の瞬間、目の前に出現したのは雷精霊ジン。


 腕輪から放出された魔力の粒子が、人の形に変わってゆく。


 以前見た時は14~15歳くらいの人族の少女であった。今は子供バージョンのアルドラのように幼児化している。



 突如出現した雷精霊は、中庭に走り去っていった。


 どうやら光る蝶を追いかけているようだ。無数の光る小さな蝶が、闇の庭園を彷徨っている。


「誰だろうあれ、中庭に誰かいる」


「何処ですか?」


 俺以外の者達には、蝶が見えていないらしい。


 皆が一様に不思議そうな表情を浮かべている。



 庭園の中、光る蝶が群がる中心。その中に人影が見えた。


 あれは白い髪の獣猫族の女性のようだ。タマ?いや違うか……


 何処か儚げで消えてしまいそうな雰囲気を醸し出している。アホっぽいタマとは姿が似ているだけで、別人のようだ。


 距離があるし、顔が見えないので魔眼で確認する事はできない。


  

 光精霊スプライト



 近くへ寄ってきた光から情報が見えた。精霊か。


 ホタルのように儚げな光を灯した、幻想的な蝶の群れ。


 その中心にいる女性。


 不思議な光景に見とれていると、一瞬で光が掻き消えた。


 まるで蜘蛛の子を散らすが如く何かが炸裂したかのように弾け、光は闇へと溶けて消えた。


 

 まるで幻だったかのように女性も一緒に消えている。


 後に残ったのは残念そうな表情を浮かべ、空いた両手のひらを見つめる雷精霊ジンだった。


「お前、スプライト捕まえようとしてただろ……」


 

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