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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第3章 氷壁の封印と生贄の姫巫女
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第132話 ゴブリン盗賊団10

 扉の前にコープスが1体。


「周囲に他の魔物の存在はない。素早く片付けて部屋の内部に侵入する」


「うむ」


「わかりました」


 大盾と大剣を左右それぞれの手に持ち、背後に備えた2本の腕は無手だった。


 俺は魔力を貯めつつ射程距離内まで接近、相手の出方を伺うまでもなく雷撃を放った。


 強大な閃光に轟音を伴った稲妻の柱が、一直線に魔物を貫いたかに見えた――


「な、なに?」


 光が収まり見えたものは、焦げた大盾と立ち上る白煙。


 まさか、防がれたのか?


 驚いている暇もなく警戒が反応を見せる。


「ジン様危ない!」


「ッ!?」


 頬を掠めたのは刃物の様だ。ギリギリだったのか肌に熱いものを感じる。僅かに切られたらしい。


「オオオオオォォォォーーーーン……」


 コープスの腹に響くような重低音が、周囲の者たちを威圧する。


「下がっていろ、わしが行く」


 アルドラが魔剣を担いで走りこんだ。


 20メートルは離れている距離を一瞬で詰める。


「ふんッ」


「ゴァッ」


 アルドラの振り落としを、大盾と大剣を交差させて受け止める。


 見ただけで凄まじい力が込められているのがわかるが、それを受け止める魔物も凄い。アルドラでも正面突破は無理なのか。


 アルドラは一瞬身を引き、更なる突撃を敢行した。剣と剣が交差し、力と力の勝負となった。


 単純な力比べではアルドラが上なのか。コープスを壁際まで押し込んでいく。3本の足で踏ん張るが、アルドラは揺るがない。更に押す力が強くなる。


 そこで奴の背に隠れていた2本の腕が動いた。その手にはナイフが握られている。


「アルドラッ!」


 振り下ろされたナイフは彼の頭部と首に深々と突き立てられた。


 痛々しい光景だが、彼に痛覚はない。


「悪いな。わしは生身ではないのでのう」


 アルドラの力が更に強まり、魔物を壁にまで追い込んで叩きつけた。


 だがその程度では魔物の活動を止めることは出来ない。


「ジン!心臓付近にある魔石を抜けいッ!」


 アルドラが魔物を壁に押し付けながら叫んだ。



 窃盗スキル発動。


 ミスリルダガーで胸部を開き、内部の魔石を強引に抜き取る。


 魔物には魔石を持つものと持たないものがあるが、それは魔力の結晶化が起こっていないだけで魔石はある程度の大きさの魔物なら、どんなものにでも存在する可能性がある。どうやら結晶化に至る速度に個体差があるだけのようだ。


 魔力は血にもっとも強く宿る。


 そして血が集まる体の中心。つまり心臓付近に魔石は出来やすいと言われていた。


「魔石を抜くと弱体化するのか。初めて知ったな」


「まぁ、普通は死ぬじゃろうがな。死霊くらいじゃろ弱体化で済まされるのは」


「心臓付近の血肉を無理矢理抜き取れば、そりゃ普通死ぬな。それより良く魔石があるってわかったな?」


「直感じゃよ」


 魔石の魔力を感じ取ったのか。


 魔力探知を持つ俺でも、そこまで細かい判別は出来ないのに。


 動きが弱ったコープスを袋叩きにして止めを刺し、扉から部屋の内部に侵入した。



 どうやらここは食堂のようだ。


 今までの部屋よりも随分と広く、長机や椅子が数多く並んでいる。おそらくここには、それだけの人の出入りがあったのだろう。


 奥にもまだ部屋があるようだ。厨房だろうか。


「……ジン様」


 リザが油断なく部屋の奥を見つめる。


 既に気付いているようだ。


「ああ、わかってる。魔力探知でも補足してるからな」  


 ミラさんが奥の扉から聞き耳を立てると、中から微かに物音が聞こえるという。


 物音の感じから間違いなく多数のゴブリンが潜伏してるのだと思われる。


「ミラさん耳が良いのですね」


「ええ、ほらエルフって人族より耳が長いでしょう?感覚を集中させれば、獣人に引けをとらないくらいには優れていると思いますよ」


「なるほど」


 俺の魔力探知で探った感覚でも同意見であるため間違いないだろう。


 しかし窓も無く扉も1つであるため、袋小路かと思いきや抜け道があったとは。


「ゴブリンの巣というのは、必ず入口と出口があるもんじゃからのう」


 外敵に襲われた際の逃げ道として、そういった物を作るらしい。


「ゴブリンはあの扉を囲むようにコの字で潜んでるのだと思われる。その中にはボスがいるはず。たぶんボスを守る精鋭も」


 ゴブリンの襲撃の際に、なかなか強い戦士が混じっていた。あれと少なくとも同レベルかそれ以上はいると思う。ボスなら自分を守らせる為にそう配置するはず。


「逃げられても面倒だし、せっかくここまで来たんだ、できれば留めて帰りたい。だから皆に協力して欲しいんだけど……いいかな?」


 アルドラは別としても、彼女たちを戦力として使うには抵抗がある。


 だけど皆ただ守られるだけの女性ではないのだ。


 この世界の人は皆そうなのかもしれないが。


 覚悟というか何というか、レベルとかそういうんじゃない強さがある様な気がする。


 俺が守ってやるなんて痴がましいくらいに、みんな強い。


「今更ですね、ジンさん」


「じゃのう」


「私は常にジン様のお側に」


「が、がんばります」


「にゃぁー」




>>>>>




 アルドラが扉を蹴破り、厨房へと突撃した。


 流し台を飛び越え、瓦礫の山を飛び越え、目標に向かって突き進む。


「ギャギャギャッッ!!」


 興奮したゴブリンが声を荒げて喚き散らす。


 おそらく敵が迫っていることは感じていたが、このように突撃してくるとは思っていなかったのかもしれない。


 焦ったゴブリンがアルドラの進路を塞ぐ。


「はははっ、小鬼(ゴブリン)めが生意気な!」


 ゴォと空気が切り裂かれる音が1つすると、アルドラの進路を塞いでいた魔物は何の抵抗も出来ずに横薙ぎに両断された。


 その一瞬の間を狙って数本の矢が彼の肩、脇腹、脚に刺さった。ゴブリンにしては悪く無い連携だ。


「わしが普通の人間なら、危なかったかもしれんな」


 アルドラは矢を体に刺したまま走った。


 そして抜け穴まで辿り着くと、そこに群がっていたゴブリンに突撃してゆく。


 走りこむ勢いのままに、渾身の斬撃を床に叩きつけたのだ。


 腐りかけた木床は耐え切れず粉砕され、周囲に木片を散乱させた。


 勢いと迫力に押され、ゴブリンらは後ずさった。抜け道の奪還を試みるものは今のところいない。


 まぁ。いたとしても――


「さぁ、かかってこい小鬼ども。わしが一緒に遊んでやろう」


 ぶった切られるだけだろうが。 




 これで逃げ道は塞いだ。


 後は殲滅するのみである。


「手筈通りに」


 女性たちに視線を送ると、軽く頷いて了解を得る。


 そうしてから部屋に侵入した。


「ギャギャギャッッ!!!」


 部屋中が興奮したゴブリンで埋め尽くされている。思ったよりも数が多い。


 取り敢えず適当に数を減らそう。


 雷扇


 両手から放たれる紫電が、部屋を占拠する魔物たちに降り注いだ。



 ゴブリンたちがバタバタと倒れていく。


 雷に弱いゴブリンは、魔力消費を抑えた雷扇でも問題なく倒せる。


 俺はボスを探すために視線を動かす。


 すると足元に何かを投げ込まれた。


 硝子瓶。


 床に強く叩きつけられ、音を起てて割れると内容物を撒き散らした。


 液体が床を濡らし、すぐさま微かな臭気とともに気化。


 この匂いは何処かで嗅いだことがあるような――


「兄様!」


 警戒が危険を知らせる。気が付くと俺のもとに一発の火球が飛来していた。


 

 ここの罠にも使われていた可燃性の薬品、燃える水。


 硝子瓶に詰められたものを、何処からか見つけてきたのだろう。


 使い方も知っているとは驚きだ。


 しかし自分らで作成していない、人の作った武器や防具を身につけているのだ。何かの機会に見よう見まねで修得したのかもしれない。


 ともすれば侮れない知性だと言える。ゴブリンとて馬鹿にしたものではない。



 激しく炎が燃え上がる。


 これが体に付着していたらと思うと、ゾッとするな。



 ゴブリン・メイジ 妖魔Lv14

 弱点:火雷

 スキル:火球



 それにしても魔術の使えるゴブリンもいるとは驚きだ。


 成長の幅が広くて何気に優秀な種族なんじゃないのか? 


「助かったよ、リザ」


 前方に風壁を展開して、火球の被弾及び燃え上がる炎から身を守ってくれたのだ。


「風壁は得意な術ではないのですが、上手くタイミングがあって良かったです」


 魔力で作った空気の壁で飛来物から身を守ったり、対象の進路を阻害したりすることが可能な魔術である。


 術を使っている間は他の術が使えないなどの弊害はあるが、来るのがわかっていれば使うタイミングも図りやすい。


「おっと、弓兵もいるんだったな」


 足元に届いた矢を躱しながら、俺はその射線上にいるゴブリンを魔眼で睨む。



 ゴブリン・アーチャー 妖魔Lv32

 弱点:火雷

 スキル:弓術


 ゴブリン・アーチャー 妖魔Lv33

 弱点:火雷

 スキル:弓術


 ゴブリン・アーチャー 妖魔Lv31

 弱点:火雷

 スキル:弓術



 ゴブリンの精鋭弓兵か。この部屋にいる弓兵はこれで全てのようだし、弓術スキル入手のチャンスだな。


「飛び道具を潰してくる。ミラさん守備のほうお願いします。リザはメイジの処理を頼む。レベルは低いようだが行けるか?」


「はい。ジンさん、お気をつけて」


「問題ありません」


「シアンはミラさんの側に。無理はするなよ」


「はい。兄様」



 俺は体に剣に雷付与を施し、群れの中へと飛び込んで行った。


 ゴブリン・シーフが跳びかかって来る。


 体格は小さく動きの素早い奴だが、力は強くない無視して強引に進む。


「ギャンッ!?」


 抱きついてきたシーフが、弾かれたように俺の身から剥がれ落ちる。


 雷が弱点だと肉体に付与した威力も上がるようだ。これは良い情報だな。


「邪魔する奴は雷に撃たれて死ぬぞ。それでもいいなら、かかってこい!」


「ギッ……ギギィ……」

 

 紫電を纏い、雷を操る俺はゴブリンの天敵のようなもの。


 どうやら恐怖を感じているのか、積極的に襲ってこなくなった。


 大人しくなってくれるなら面倒がなくていい。


 弓ゴブまであっという間に接近を果たすと、雷付与を施したムーンソードで一線。腕ごと削ぎ切りにして、弓兵は血の海に倒れた。


 雷の宿った剣は、掠っただけでも痺れて動きが鈍る。


 このように一撃では、あまり関係のない話になるが。



 弓兵が身に着けているものは、ボロ布と短弓それに矢が何本かだけのようだ。


 戦士と違って肉体的には下級ゴブリンと大差ない。


 反撃の矢を余裕で躱し、残りの弓ゴブも血の海に没した。


 

 アルドラは抜け道を塞さぐように、立ち回り周囲のゴブリンを圧倒している。


 どうやら鎧ゴブが果敢にも攻め行っているようだ。


 まぁ、彼ならここにいるゴブリン全員で向かっていっても倒れることはないと思う。



 女性たちに視線を送ると、ミラさんが防壁で守りに徹し、入り口を塞いでいる。


 鎧ゴブはアルドラの方に向かっているし、シーフの攻撃力では防壁を破れない。


 しばらくは時間を稼げると思う。防壁を維持し続けるには魔力消費も相当なものとなるが、彼女はエルフだ。直ぐに枯渇することもないだろう。 


 リザ、シアン、ネロがミラさんの周囲で立ち回り、ゴブリンの数を減らしている。


 リザは既にメイジを片付けたようだ。仕事が早いな……


 シアンは実戦で感覚を掴んできたのか、石弓の命中精度も上がってきているようだ。


 不意に接近するゴブリンがいたとしても、魔斧の一撃が待っている。


 シアンも大人しそうに見えて、結構やるな。




 さて後はボスなんだけど、一体何処にいるんだ――


「痛ってぇッ!?」


 不意に脚に激痛を感じる。鎧に守られていない部分を切られたのだ。


「キキィッ!」


指名手配(ウォンテッド)モンスターか!」

   

 

 耳削ぎジャック 妖魔Lv38

 弱点:火雷

 スキル:短剣術



 魔物の中には固有名詞で呼ばれる奴がたまにいる。


 長く生きて知恵の付いた質の悪いゴブリン。それがこいつだ。


 人間がゴブリンの左耳を戦利品として持ち帰るように、この魔物も人間を襲った際の戦利品として人間の左耳を切り落とし持ち帰るのだという。


 そして持ち帰った耳で作った首飾りを自慢気に身に着けている。それが奴の勲章なのだ。


「依頼書通り。コイツで間違いないようだな」


 手に持つのは魔力を秘めた小刀。まるで床屋の使う剃刀のような形状。おそらく魔剣の類。切れ味も良いみたいだし、油断は出来ない。


「仲間の死体に紛れて隙を伺っていたのか……なかなか知恵が回るな」


 元はシーフだったという情報通り、奴の動きは非常に速くまるで撹乱するかのように絶えず動き続けている。

 

 雷撃を放てば仲間の死体を盾にして躱し、遮蔽物を利用して姿を眩ませる。


 そうして隙を付いて首を掻き切る算段なのだろう。


 前宙、後宙と軽快な動きでこちらを翻弄し、近づけば離れ、離れれば近づく。


 魔剣を口に咥え、四つん這いに遮蔽物の中を縦横無尽に走り回る。


 これほどの速さでは、並の冒険者であれば捉えることすら難しいだろう。



 厄介な相手だが、俺には関係ない。 


 雷蛇


 生み出された3匹の蛇が獲物を求めて動き出す。


 相手がどんなに速かろうが関係ない。一度狙いを定めた獲物は絶対に逃さないのだ。


「なに!?」


 仲間の死体を両手に1体ずつ持ち上げ、挟み撃ちにしようと迫る雷蛇を死体を投げつけ回避。残る1発の雷蛇を空中に飛んで回避した。


「キャキャキャッ」


 余裕の笑みなのか、甲高い声を響かせる。


 こいつの跳躍力は普通のゴブリンとは違うようだ。


 その跳躍のまま、天井に張り付く。


 そして天井をヤモリのごとく動きまわるのだ。重力を感じさせない素早い動きが気持ち悪い。


 雷撃を放ち、撃ち落としを試みるが変則的な動きで躱されてしまう。


「ギャッ!?」


 と思ったが、何故か急に天井から落ちてきた。


 痛みに苦しむように地面を転がる。


 よく見れば矢が刺さっている。シアンの石弓か。


 狙撃に加え、直感で動きを読んで矢を放ったのか。凄いな。


「となると手柄はシアンかな」


 悶えるゴブリンのボスに麻痺を撃ちこみ、動きを拘束する。


 全身を痙攣させて、まともに動けないようだ。もはや逃げられまい。


 ボスが纏うボロ布の襟首を掴み、シアンの元へと放り投げる。


「止めを刺せシアン!」


 目の前に放り出されたことに一瞬及び腰となるが、俺の方へと視線を送り直ぐに決意を固めたようだ。


「はいっ」


 手に握られたフランシスカが、真っ直ぐに振り下ろされる。


 何か固いものが砕ける音が響く。


 それでも麻痺の拘束は解けない。


 シアンは魔物の動きが完全に止まるまで、何度も何度も斧を振り下ろした。


「良くやった!」


「はいっ!」


 レベルを上げるためには必要なこと。これが一番手っ取り早い。


 優しいシアンに残酷なことをさせてしまっているが……


 いや、悩むのは後にしよう。


「よし、後は残りを殲滅するだけだ」 




>>>>>




 魔石【軽業】

 魔石【解錠】

 魔石【火球】

 魔石【短剣術】


 魔石 素材 D級 ×4 

 魔石 素材 C級 ×5


 ゴブリンの左耳 ×37


 ゴブリンリーダーの左耳 


 耳の首飾り


 髭剃り 魔剣 D級   魔術効果:鋭刃


 バトルメイス 片手鎚 F級

 バトルハンマー 両手鎚 F級


 ツーハンドソード 両手剣 F級


 ダガー 短剣 F級


 ディオール金貨 貨幣 D級 ×6

 ディオール銀貨 貨幣 D級 ×3



 戦利品を回収し、アルドラの収納へと収める。


「わしのいくらでも入るからと言って、いくらでも入れていいわけでは……」


「悪いけど我慢してくれ」


「ぬう……」


 指名手配モンスターであったことの証明として、首飾りを回収したが人の耳で作られていると思うと、なかなかグロいな……


 特別なやつではなくともゴブリンリーダーは討伐対象になっているようだし、報酬も良いということでその耳も回収しておく。


 これでここでの任務は終了だ。


「シーフからは軽業、解錠。メイジからは火球。ボスからは短剣術とスキル的にも文句なしだったな。」


 弓術が手に入らなかったことが心残りではあるが、いづれチャンスはあるだろう。


「私のレベルも上がったみたいですっ」


 シアンの声が弾む。


 返り血を浴びて猟奇的な雰囲気になっているが、嬉しそうなのであえて水を差すことは言うまい。


「シアンは活躍してたからな。戦利品もたんまりで思い掛けず稼げたかもしれん。換金が楽しみだ」


 金貨、銀貨はボスが身に着けていた小袋に収まっていた。


 ゴブリンは光物を収集する性質があると言うのを聞いたことがあるし、何処かで見つけてきたのだろう。


「確かルタリアで使われているのはシリルって貨幣だったよな。ディオールってのもあるのか」


「うーむ。少し前まで北の方で使われておった貨幣じゃな。今は国がなくなって使われなくなったそうじゃが」


 アルドラの興味に触れる話ではないようなので、記憶は曖昧のようだ。


「確かグールの異常発生で滅んだのじゃったかな」


「グールの異常発生なんてのもあるのか」


 コープスあたりが、わんさと雪崩れ込んできたなら結構やばそうだ。



 金貨は太陽をイメージしたものが刻印され、銀貨は月をイメージしたものが刻まれている。


 シリル貨幣だと金貨は鷹、銀貨は鹿、黄銅貨は葡萄、青銅貨は小麦だったか。


 国によって違いがって中々面白いな。



「ジン。ゆっくり休んでおる場合では無いようじゃ」


「ん?」


 アルドラの視線の先、俺達が侵入してきた入り口から、バキバキという何かが破壊される音が響いた。


 魔力探知の反応。もしかしなくても間違いない、コープスだ。


 この厨房の前室、食堂に扉を破って侵入してきたのだ。


「3体はおるな」


 シアンとネロは元気そうだが、リザとミラさんは魔力を消耗しているのだろう疲労が見える。


 俺もそれなりに消耗しているので、連戦は難しいかも知れない。


 それに、侵入してきた奴を倒せば終わりとは行かない可能性もある。


 狭い室内の戦闘に3体のコープス。少し厳しいかな。


「脱出しよう。丁度抜け道はあるようだし」 

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