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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第3章 氷壁の封印と生贄の姫巫女
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第129話 ゴブリン盗賊団7

 寝台 家具 F級


 寝台 家具 F級


 寝台 家具 F級

 

 チェスト 家具 F級


 椅子 家具 F級


 ランタン 雑貨 F級


 衝立 家具 F級


 広さは20帖くらいの空間で、粗末な家具が並んでいる。


 床板は至る所が腐り、穴が空いていた。


 おそらく住人が立ち去って、かなり長い時間が経過しているのだろう。


 寝台に目を移すと、布で覆われた物体が視界に入った。いや、死体……?


 

 グール 死霊Lv12

 弱点:光 耐性:闇

 スキル 闇耐性



 光の灯らない闇を湛えた眼窩。


 灰色の肌。血の気はなく、人の死体というのか、むしろ骨と皮のみの干物のようである。


 警戒を怠らず様子を伺っていると、ピクリと僅かに反応した様に見えた。死霊に適した言葉かどうかはわからないが、まだコイツは死んでいないようだ。


 その刹那、魔力探知が反応を見せる。


「ぬんッ」


 次の瞬間、一切の躊躇なくアルドラの豪剣が寝台ごとグールの首を撥ねた。

 

 腐った木が激しい破砕音と共に砕け散る。


 勢いのままに床をも突き破ってしまった。


 グールは首を落とされ、なんの抵抗もすること無くそのまま沈黙した。


「活動停止していると魔力を抑えられるのか……」


 魔力探知に常に気を配り、油断すること無く調査を続けよう。



 部屋の隅に木箱を見つける。かなり重量があり、頑丈な作りでまるで宝箱だ。


 家具に隠されたように存在しているそれは、細工がしてあるようで隠蔽が付与されている。


 魔力回路と魔晶石が組み込まれているのだ。


 おそらく魔術罠(マジックトラップ)のようなものだろう。


 アルドラには見えていないが、彼も触れれば所在がわかるのだ。


「鍵が掛かっているようだな。この部屋に鍵があるのだろうか」


 箱には鍵が掛かっていて、どうやっても開けられない。


 宝箱 家具 E級 


 手を触れ調べてみるが、鍵穴はあるのだ、ならば鍵もあるだろう。探せば見つかるかもしれない。


 そう考えていると、背後のアルドラから声が掛かった。


「どれ、鍵はこうして開けるんじゃ」


 アルドラは隠蔽が付与された箱を蹴り飛ばした。


 激しく吹き飛び、奥の壁に激突する。


 ものの見事に箱は破壊されていた。


「な?開いたじゃろう」


「あぁ、ちょっと雑だけどな」

 


 傷薬 薬品 E級


 傷薬 薬品 D級


 傷薬 薬品 C級


 ライフポーション 魔法薬 D級


 キュアポーション 魔法薬 D級


 

「おぉ、なんか色々入ってるな。薬箱か」


 医務室だからなのか薬品が保管されていたようだ。状態は問題ないようだし、回収しておこう。



「何かすごい音がしましたが、大丈夫ですか?」


「ああ、ちょっと魔物がいたが問題ない」


「兄様、あそこに別の部屋が」


 シアンが指し示す方向に、似たようなが木扉が見える。


【仮眠室】


 医務室の物よりは頑丈そうな扉だ。


 やはり何故かドアノブがない。


 取り敢えずそっと扉に耳を済ませ中の様子を伺ってみる。


 すると中からズリズリと何かが這いずり回る音が聞こえてきた。


 凄く嫌な予感がする。


 地形探知で探った様子では、部屋の間取りは医務室と似たような感じであろう。

 

 魔力探知では複数の反応を感じる。


「取り敢えず開けてみなければ、中の様子はわからんのう」


「……そうだな。アルドラ頼む」


 アルドラは持ち前の魔剣を構え、まるで破城槌の如き突きを放った。


「やり過ぎだろ……」


 木扉は容易く粉砕され、部屋への扉は開かれた。



 部屋の中は質素な作りで、粗末な寝台が並んでいる。


 価値のありそうなものは無いようだ。魔眼で確認したが宝箱の存在も見つからなかった。


 ただ部屋いるのはグールのみ。



 グール 死霊Lv8

 弱点:光 耐性:闇

 スキル 闇耐性


 

 激しい物音にも動じずに、数体のグールが彷徨うように部屋を徘徊している。


 部屋を腹ばいで動いている者もいる。部屋の物音の正体はコイツか。


「放置して後で面倒が起きても困るし、片付けるか」


 もうしばらくこの辺りを探索する予定なので、不安要素は片付けておいたほうが良いだろう。


 聖油は塗ってないが、それほど強力な個体でもないし問題なさそうだ。


 


【栽培室&調合室】


 更に探索を進めることで別の部屋を発見した。

 

 部屋と言うにはかなりの広さ。自然の洞窟をそのまま活かして作ったような場所。天井には照明の魔導具が確認できる。


 栽培室の名が示す通り、その場所には数えきれないほどの植物が繁茂していた。


 一株が人間大程もある大きな植物。赤黒い大きな葉が生い茂り、毒々しい濃い紫色の花が咲いている。


 部屋に充満する甘ったるい香り。


 あまりの強烈な臭気に気分が悪くなる。


 


「ジン様これは……」


「知っているのか?」


 魅惑草 素材 B級


「ええ。ルタリア王国で取引禁止、所持禁止の指定をされている有名な毒草です」


 精製することで魅了、興奮、幻覚の催眠効果を与える毒物を作れる植物。


 精製の難度もそれほど高くないことから、厳しく取り締まわれてる違法植物の1つらしい。


 取り扱いには十分に注意が必要で、下手をすれば薬師自身も中毒になってしまうほど強力な毒草なのだという。


 ルタリアを始め多くの国で厳しく取り締まっているものの、取引するものが後を絶たず闇の業界では古くから出回っている薬物のようだ。


 使用目的は多岐に渡るそうだが、一般的には対象に摂取させることで傀儡と化す術に利用されている。


「そんなものがあるのか……この部屋の様子だと、何者かが違法に栽培していたとしか見えないが」


「おそらくジン様のお考えで間違いないかと。ですがこれほど高品質ものが存在するとは……」


 地面から生える無数の毒草。そのあぜ道を通り抜け、奥に見えた小屋、調合室を調べる。


 おそらくここで毒草を生成していたのだろう。


 それらしい道具が散乱しているが、まともな状態のものはなかった。


「どうもゴブリン狩りに来たら、変な所を見つけてしまったようだな」


 ともあれ現在はゴブリンの巣であることは間違いなさそうなので、ボスの捜索を続けることにする。


 面倒事はギルドに報告すれば良いのだ。


「希少なものなら、少し貰っておこうか?何かに使えるかもしれない」


 リザにそう問いかけたが、彼女は首を振って答える。


「やめておきましょう。もし所持しているのが見つかれば、あらぬ疑いを掛けられるやもしれません」


「それもそうか……」


 


【武器庫&資材庫&資料室】  


 更に探索を進めると、倉庫のような建物を発見した。


 洞窟の地形を利用したものではなく、資材を持ち込んで建てられたものだ。


 長方形の建物は地形探知で確認すると、内部で部屋が3つに区切られているようだ。 


 倉庫はかなり大きい。


 魔力探知を展開しつつ、静かに扉を開けて中の様子を伺う。


 倉庫内はだいぶ荒らされており物品棚は倒され、傾き、その様子はまるでゴミ屋敷といった状態である。


  

 グール 死霊Lv16

 弱点:光 耐性:闇

 スキル 闇耐性


 グール 死霊Lv18

 弱点:光 耐性:闇

 スキル 闇耐性


 グール 死霊Lv17

 弱点:光 耐性:闇

 スキル 闇耐性


 

 この部屋にもグールがいる。


 他の部屋の無手の者とは違い、それぞれに武器を携え部屋の内部を巡回するかのように動いている。


 盾と剣、大剣、短剣。得物は様々のようだが、生前の技量が活かされているということなのだろうか。


 ここからではまだ気づかれる様子はないが、部屋の内部を調べるには排除するしか無いだろう。


「まてジン。奥に中々の奴がおるぞ」


 アルドラに呼び止められ、その先へと視線を動かすと、物品棚の影に潜むそれが見えた。



 コープス 死霊Lv43

 弱点:光 耐性:闇氷

 スキル 剣術


 コープス 死霊Lv32

 弱点:光 耐性:闇氷

 スキル 闇付与



「おぉ、ヤバそうなのがいるな」


 コープスという魔物はグールのような頭が2つ腕が4つ、胴体が1つに、足が3つという異形の風体をしていた。


 それぞれの手に武器を持ち、不完全ながらも防具も身に着けている。


 その風貌から察するに複数のグールが合体して誕生した魔物の様にも見えた。


「グールが密集しているような場所では生まれることがあると聞いたことがあるな。わしも実際見たのは初めてじゃ。かなり珍しい魔物じゃぞ」


 そんな嬉しそうに言われても……実際アルドラは嬉しそうに顔を綻ばせている。クジで当たりを引いたみたいなニヤついた顔だ。


 コープスの発生は諸説あり解明はされていない。


 魔素の濃い領域で死体を放置すれば発生すると言われるグールとは違い、そう滅多に出現する魔物ではないようだ。



 グールが密集していると生まれる可能性があるということから、合体して誕生という考察はあながち間違っていないのかもしれない。


「魔力探知で探ってもコープスは2体しかいないようだな。探索を進めるためにも倒すしか無いか」


 ゴブリンとは違って討伐依頼に含まれていない魔物ではあるが、スキル入手の可能性もある。


 邪魔者の排除という意味以上に利はある。


「問題ないじゃろ。ちと場所は狭いがのう」


 確かにアルドラの得物では、物が散乱する倉庫内は狭すぎだろう。


「まぁ、なんとかするわい」


「一応リザから聖油を貰っておこう。俺達だけで来てるわけじゃないんだし」


「そうじゃな。そうしようかの」      

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