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異世界×サバイバー  作者: 佐藤清十郎
第3章 氷壁の封印と生贄の姫巫女
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第126話 ゴブリン盗賊団4

 緩やかな坂を下る。


 丸みのある岩の表面は、湿気を帯びていて洞窟の暗がりと共に歩みを更に慎重とさせた。


 洞窟の壁面や天井に疎らに生える苔、手元近くに存在するその1つに手を延ばす。


 光苔 素材 E級


「魔素の濃い洞窟などに自生する植物ですね。周囲の魔素を吸収して発光する薬草の一種です」


「へぇ。こうして壁から千切り取ると発光は消えてしまうんだな」


 淡い光が洞窟内を幻想的に彩る。


 どうも魔法薬の素材にも使われるらしいが、それほど珍しいものではないようで市場にも普通に出回っているものなんだとか。


 ともあれ今はこれのおかげで、僅かばかりの視界は確保されている。


 火魔術の灯火(トーチ)を使っても良いが、ここがゴブリンの巣であるならば彼らに我々の位置を教えてしまうことになるため、念のためにと使用は控えていた。

 

 この光源がなくなり、洞窟が闇に包まれれば使用せざるを得ないのだろうが。


 ある程度地下へと降りてくると、開けた場所に辿り着いた。


 天井は5、6メートルはあるだろうか。天井からつららのように岩の柱が伸びている。疎らに天井を覆う光苔がぼんやりと闇を照らしていた。


 地面は大雑把に言えば平らに近い。やはり筍のように岩の柱が生えている。大きい物や小さい物と様々あって隠れる場所は多そうだ。


 開けた場所は奥が見えないほど広い。視界が悪いせいもあるが、かなりの広さがありそうだ。地形探知も近距離なら問題ないようだが、あまり範囲を広げると感覚に靄が掛かったように怪しくなる。現状では近距離を維持しておくのが良いのかもしれない。


 盗賊の地図は記載されさえすれば、信用して良い情報といえるので帰り道の心配はなさそうだ。


「近くにいるな……たぶん普通のゴブリンだろう、数が多いから俺がまとめて減らす。撃ち漏らしがいたら頼む」


 アルドラとリザに合図を送る。彼らはそれぞれ俺を中心に、左と右に1歩下がって布陣した。


「うむ」


「はい」


 ミラは俺の背後に待機している。直接的な戦闘を得意とはしていない彼女は、基本的に非戦闘員なのだ。


「シアンも無理はしないように。ミラさんの側で待機しつつ、隙があれば自分で考えて動いてくれ。ネロの指示も任せる。ミラさんは状況に応じて動いてください、基本待機で」


「ええ、わかりました」


「はい。兄様」


「にゃう!」


 ネロも臨戦体勢のようで、シアンの肩の上で勇ましく鳴いた。 



 魔力探知が魔物の動きを感じ取る。


 アルドラも察しているようだ。既に収納から魔剣を取り出し、肩に担ぎあげている。


 両手に魔力を貯め練り上げる。


 何時でも撃てる準備を整え、その瞬間を見計らった。


「来た!」


 岩陰から飛び出してくるゴブリンの群れ。


「ギャギャギャッッ!!」


 狂ったように雄叫びを上げ、四つん這いに走り迫る。思ったよりも数が多い。その数は把握できないほどだ。


「ッッ!」


 迫るゴブリンにシアンが後退る。ネロは怖気づいていない。まだまだ子猫かと思ったが、魔獣というのは成長が早いのか。


 まぁ、焦る必要はない。


 相手は数が多いだけの単なるゴブリンなのだ。



 ゴブリン 妖魔Lv12

 弱点:火雷

 スキル:繁栄(プラスペリティー)



 ゴブリンの動きに注意しつつ、彼らを十分に引き付けてからその魔力を解き放った。


 雷魔術:雷扇(ブラスト)


 解き放たれた魔力は紫電となって魔物の群れを襲う。


 雷撃を浴びたゴブリン共は弾かれたように地面を転がった。


「リザそっちに行ったぞ!」


 咄嗟に遮蔽物へと隠れた者は攻撃を回避できたようだ。


 身を隠しつつ、様子を伺いながら接近してくる。


「はいっ」


 四つん這いに走り回るゴブリンの1体が、隙を見てリザに向かって飛びかかった。


 だがリザは冷静に対処する。間合いを計り1歩下がると同時に、片手に持ったショートスタッフで鎖骨のあたりを打ち据えた。


 地面へ落ちたゴブリンに追撃の爪先蹴りを眉間に放つ。


 思い掛けずダメージを負ったゴブリンは蹌踉めきつつも立ち上がるが、更なるショートスタッフの滅多打ちを浴びることになる。


 俺と並んで戦いたいと願い、その願いが杖術という形で叶ったらしい。


 リュカに指示も受けていたようだが専門ではないとのことで、ほぼ独学で身につけたようだ。


 彼女は心配せずとも大丈夫のようだ。これくらいのゴブリン程度では、遅れを取ることはないだろう。


 

 アルドラに視線を送ると新たに手に入れた魔剣を振り回し、周囲のゴブリンを圧倒している。


 掠っただけでも体が千切れるほどの破壊力。ゴブリンに為す術はないだろう。


 剣を振るうたびにゴォという空気を切り裂く音が聞こえる。


 まったく本気とはいえない気軽な剣筋だが、遠心力を持った大剣の迫力は凄まじい。



 グラットンソード 魔剣 C級   魔術効果:大食



 魔犬の大牙から作られた魔剣は、飾り気のない無骨な作りで実用性重視の両手剣型だ。


 刃の幅は広く厚く作られ、切れ味よりも破壊力を重視した設計のため敢えて刃は鈍くしている。


 灰黒い刃は180センチ超え。重量に至っては5キロを超える。並の人間には扱えない代物だろう。


 付与された魔術効果、大食は刃を走らせた相手の魔力を僅かに奪う効果があるのだという。


 アルドラが剣を振るうと、目の前のゴブリンは紙の様に分断され千切れ飛んでいく。とても刃を鈍らせているとは思えない切れ味だ。 

 

「アルドラ!」


「わかっておる」


 物陰に潜む者への警戒を伝えるが、余計なお世話だったようだ。


 普通のゴブリンに紛れて、大柄なゴブリンがアルドラに肉薄する。


 チェインメイルと兜を備え、大剣を携えたゴブリンの戦士だった。



 ゴブリン・ソルジャー 妖魔Lv32

 弱点:火雷

 スキル:剣術



 ゴブリン・ソルジャー 妖魔Lv31

 弱点:火雷

 スキル:斧術


  

 ゴブリン・ソルジャー 妖魔Lv32

 弱点:火雷

 スキル:鎚術



 でかいゴブリンが3体。150センチはあるだろうか。それぞれに鎧を着こみ、武器や盾で武装している。


 それにまだ修得していない斧術や鎚術のスキル。使うかどうかは別にして、修得できるものはできるだけ手に入れておきたい。


 雄叫びを上げて、それぞれが連携するかのような統制の取れた動きを見せる。ただの凶暴な魔物とは違うようだ。脳みそがあるということか。


 だがアルドラにはあまり関係のないことだった。


「ふんッ!」


 巨大な魔剣の振り下ろしが、もっとも近くに居たゴブリン戦士を鎧ごと両断した。


 そこからは一瞬だった。一方的な暴力。放り投げるような突きが盾と斧を持ったゴブリンを串刺しにし、巨大な戦鎚を持ったゴブリンは、防御した戦鎚を破壊され、重さなど無いかのように吹き飛ばされると、石柱に激しく叩きつけられて動かなくなってしまった。       

 アルドラ 幻魔Lv25

 スキルポイント 1/87

 特性:夜目 直感 促進 眷属


 時空魔術 S級【還元 換装 収納 帰還】

  剣術  S級

  体術  C級 

  闘気  D級

  回避  C級

  疾走  F級

  剛力  E級


 装備


 グラットンソード 魔剣 C級   魔術効果:大食 


 黒狼の革兜 防具 E級

 黒狼の胴鎧 防具 E級

 黒狼の籠手 防具 E級

 黒狼の佩楯 防具 E級

 黒狼の脛当 防具 E級


 疾風の革靴 魔装具 F級   魔術効果:移動速度上昇


 


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