第123話 ゴブリン盗賊団1
ザッハカーク大森林の巨人異常発生から2ヶ月後。
大森林を含めたルタリア王国周辺は、本格的な夏季を迎えていた。
「リザ、濃霧を頼む」
「はいっ」
魔力探知で周囲を索敵。
濃い葉が生い茂る深い森の中。眼前には森を代表する魔物、ゴブリンが4体。伏兵の存在はない。
リザは杖を構え、静かに精神を集中させる。
目の前に発生させるのではなく敵の中心部、ある決まった範囲内に指定して魔術を操作するには、それなりの技量が必要だが彼女はそれを難なくやってのけるのだ。
時を待たずに、水魔術である濃霧が展開される。
視界1メートルも利かないような高濃度の霧。それはゴブリンの群れ全体の視力を一時的にだが奪ってしまった。
「行ってくる」
「お気をつけて」
短い言葉を交わし、群れへと走りだす。
リザには隠蔽を付与してある。意識的に隠れていれば、まず見つかることはない。
「ゴブリンの様子もだいぶ変わったな」
俺は霧を掻き分け、群れの中に突入した。しかしゴブリンは誰ひとりとして気づくものは居ない。こうして独り言を呟いたとしても、今まで見つかったことはなかった。
腰に差した魔剣を抜き、一番近い鎧を着込んだゴブリンの背に狙いを定める。
「ギイィッ!?」
ゴブリンから小さなうめき声が漏れる。
人型の魔物というのは、多少の違いはあれど人間と似たような骨格、内臓の位置であるという。そういったことで急所というのも、人と大きな違いはない。
心臓や頭を潰せば、大抵殺せる。
背中から心臓へ。鎧を着ていても、多少骨にあたっても、それほど問題じゃない。大概貫通してしまう。
鎧通し 魔剣 C級 魔術効果:貫通
魔獣の亡骸から回収し、ヴィムの手で打ち直して貰った品だ。
かつては魔人ルークスが所持していた物だが、非常に有用な武器であるため俺が使わせてもらっている。
『……一体どんな使い方をしたら、こうなるんだ』
魔獣に突き刺して、S級の雷撃をぶち込んだと言ったら呆れられてしまったが、必要に迫られてのことだったので仕方あるまい。
ゴブリン・ソルジャー 妖魔Lv23
弱点:火雷
スキル:剣術
魔物の癖に人間が装備するよな鉄の鎧を身につけ、ロングソードを振るうゴブリンの戦士。
森で死んだ冒険者の装備を剥ぎとったのか、森を出て周辺に点在する開拓村を襲ったのか。
入手経路は定かではないが、一端の装備を整えたこの魔物はゴブリンだとしても油断のならない存在だ。
「ギャァ!?」
「グアっ!!」
「ギャッ!」
ともあれ濃霧が姿を眩まし、更に隠密で気配を悟られないように近づけるため、例え強力な魔物だとしても脅威となることはなかった。
死角からの攻撃に補正を加える奇襲の効果も確認したかったが、貫通の魔剣を用いれば金属の鎧さえも貫けるため、そもそもゴブリン程度では検証にならないかも知れない。
「隠密は攻撃してしまえば通常解除されてしまうスキルなのだが、こうして濃霧で視覚を遮ってしまえば隠密状態を維持できるんだな」
ゴブリンの群れは呆気なく駆逐された。
「凄いですね……ジン様、圧倒的です」
リザが崇拝ともとれる熱視線を送ってくる。
「リザの補助があってこそだよ」
「ウッ……グゥゥゥ……」
一体のゴブリンが血溜まりから立ち上がる。
急所を外したか。既に致命傷のようだが、魔物というのは総じて生命力が非常に強い。
口の端からゴポゴポと血を吹き出し、息も絶え絶えにこちらを睨み付けてくる。
「ハッ!」
そんなゴブリンにリザは一切の躊躇もなく、杖を用いた突きの一撃を喉元に放った。
避ける素振りも見せずに喉元に差し込まれる。そして接触の瞬間、風球を発射。ゴブリンは派手に後方へと吹き飛ばされ、激しく後頭部を大地に打ち付けた。
誰が見てもそれは止めとなる攻撃であった。
リザは攻撃力のある術は持っていないと言うことだったが、使い方次第で風球でも十分に攻撃力を発揮することが出来るようだ。
「……さて、回収するものを手早く集めて、皆と合流しようか」
「はいっ」
見た目は可愛らしいリザも、魔物と相対するときは容赦ない逞しい女の子なのだ。
ゴブリン戦士からの戦利品
シミター 片手剣 F級
ロングソード 片手剣 F級
ショートソード 片手剣 F級
バスタードソード 片手半剣 F級
バックラー 小盾 F級
ウッドシールド 盾 F級
ラウンドシールド 盾 F級
バレルヘルム 防具 F級
レザーヘルム 防具 F級
キュイラス 防具 F級
ハイドアーマー 防具 F級
ハードレザーアーマー 防具 F級
サンダル 防具 F級
レザーブーツ 防具 F級
ゴブリンの左耳×4
状態:劣化 時間経過や使用される事による化学的、物理的変化により品質や性能が低下している状態。
状態:腐食 ある種の侵食を受けた状態。金属の場合は表面の錆などにる体積の変化や、性能の低下を引き起こす。
状態:破損 壊れたり傷が付いた状態。
魔眼で調べてみた結果、どれもこれもランクは低いし状態も悪い。
正直売れるかどうかも怪しいが、今の俺には金が必要だ。
取り敢えず少しでも金になりそうなものは、片っ端から回収していくことにした。
ジン・カシマ 冒険者Lv25精霊使いLv18
人族 17歳 男性
スキルポイント 0/56
特性:魔眼
雷魔術 【雷撃 雷扇 雷付与 麻痺 雷蛇】
火魔術 【灯火 筋力強化】
水魔術 【潜水 溶解 洗浄】
土魔術 【耐久強化 掘削】
闇魔術 【魔力吸収 隠蔽 恐怖】
魔力操作 【粘糸 伸縮】
探知 C級【嗅覚 魔力 地形】
耐性 C級【打 毒 闇】
体術
盾術
剣術 B級
鞭術
闘気 F級
隠密 C級
奇襲
警戒 C級
疾走
解体
繁栄
同調
成長促進
雷精霊の加護
装備
ムーンソード 魔剣 C級 魔術効果:月光
ミスリルダガー 短剣 C級
鎧通し 魔剣 C級 魔術効果:貫通
黒狼の革兜 防具 E級
黒狼の胴鎧 防具 E級
黒狼の籠手 防具 E級
黒狼の佩楯 防具 E級
黒狼の脛当 防具 E級
アウトラスト 魔装具 E級 魔術効果:体温調節
疾風の革靴 魔装具 E級 魔術効果:移動速度上昇
雷精霊の腕輪 魔装具 S級 魔術効果:制作成功率上昇 魔術抵抗上昇 活性 鋭敏
魔術師の鞄 魔導具 C級 魔術効果:収納58/60
ショートソード 片手剣 E級
ラウンドシールド 盾 E級
鹿王の朱弓 魔弓 C級 魔術効果:貫通
矢筒 猟具 E級
木の矢 矢弾 E級 ×99
ナイフ 短剣 E級
ギルドカード 魔導具 D級
発火棒 魔導具 E級 魔術効果:発火
盗賊の地図 魔導具 C級 魔術効果:測量 地図作成
借用書 書類 D級
ベイル流剣術指南書 書物 E級
獣皮紙 雑貨 E級 ×12
インク 雑貨 E級
羽根ペン 雑貨 E級
砥石 雑貨 E級
石鹸 雑貨 E級
毛布 雑貨 E級
木綿布 雑貨 E級 ×12
魔晶石 素材 B級 ×2
魔石 素材 F級 ×22
魔石 素材 E級 ×16
魔石 素材 D級 ×2
カダの薪 素材 D級 ×12
種油 素材 E級 ×12
虫除け薬 薬品 E級 ×12
傷薬 薬品 E級 ×12
ライフポーション 魔法薬 E級 ×12
ライフポーション 魔法薬 D級 ×12
マナポーション 魔法薬 E級 ×12
マナポーション 魔法薬 D級 ×12
キュアポーション 魔法薬 E級 ×12
キュアポーション 魔法薬 D級 ×12
中和ポーション 魔法薬 E級 ×12
興奮ポーション 魔法薬 D級 ×12
水の入った硝子瓶 食品 E級 ×12
白パン 食品 E級 ×12
干し肉 食品 E級 ×12
ドライフルーツ 食品 E級 ×99
蜂蜜飴 食品 E級 ×99
シリル金貨 貨幣 D級 ×56
シリル銀貨 貨幣 D級 ×80
シリル黄銅貨 貨幣 D級 ×50
シリル青銅貨 貨幣 D級 ×21
シミター 片手剣 F級
ロングソード 片手剣 F級
ショートソード 片手剣 F級
バスタードソード 片手半剣 F級
バックラー 小盾 F級
ウッドシールド 盾 F級
ラウンドシールド 盾 F級
バレルヘルム 防具 F級
レザーヘルム 防具 F級
キュイラス 防具 F級
ハイドアーマー 防具 F級
ハードレザーアーマー 防具 F級
サンダル 防具 F級
レザーブーツ 防具 F級
ゴブリンの左耳 素材 D級 ×4
※鞄に収納できる物は無生物に限る。
矢、小石など小さなものは同種のもの1枠99個にまとめられる。
薬の小瓶など、片手に収まる程度のものは1枠12個にまとめられる。
両手で抱える程のものは1枠1個。
あまりに大きすぎるものは収納できない。
※冒険者の鞄は緩やかな時間経過有り。
魔術師の鞄は時間経過ナシ。