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七鈴学園
4月。
桜が咲き誇る季節だ。
バスの窓から見える鮮やかな桜色を眺めながら、俺はぼんやりとしていた。
バスは緩やかに走行中。
そのバスが向かう先は、とある一つの学校だった。
―――七鈴学園。
周囲からは「魔術学園」だとか「超能力学園」だとか言われていたりするが、そんな大層なもんじゃない。
魔術や超能力だなんて、便利でカッコイイものじゃないんだ、この力は。
だからこそ、そんなどうしようもない力を、七鈴学園の校長は敢えて「能力」と言ったんだ。
ピンポンッ
我に返ると、座席全てに設置されているボタンが光っていた。
このボタンは「次のバス停で降りますよ」という意味で、よくよく考えてみれば、次は七鈴学園だった。
きっと押したのも俺と同じ学生なんだろう。
そういえば、言ってなかったような気がする。
俺の名前は、胡桃澤 直だ。
今日から、高校一年生。
よろしく。