世界を救うのに100回死んだ
掲載日:2026/05/17
小さな世界、誰かたちが、娯楽のために作った世界。
現実の命になど一人たりとも影響がない。
エーアイすらいない。ただ世界が作られた時に定められた言葉を「話す」だけ。
「助けて」
「助けて」「どうしたらいいのか……」
「死を待つだけだ……」
「すぐにこの街を離れなさい」
そんな悲痛な言葉を画面の向こうでニヤリと笑いながら眺める。
「やっと面白くなってきた」「お、次の展開か?」「ふーん」
ムコウの勇者はそんな感じで世界を読む。
「あ」
「くそっ次だ」
「うわ、まじか」
創造主の予想通りに、又はそれよりも容易すく、勇者は力尽きる。
かと思えば、しばらくして、或いはまたたく間に蘇り、少しずつ、世界の闇を払う。
いずれ、止まる世界だとしても、闇に覆われて留まるよりはよい。
世界は晴れる。
勇者の退屈しのぎだとしても、ちっぽけかもしれない私の見える小さな世界、世界を救ってくれる。
その勇者ならムコウの世界の困難も必ず乗り越えてくれる。
この小さな世界の救世主に、大きな世界での幸福を……祈る。




