第三話 ロバート「ライバル出現!?」
「今日何があったか? うーん、そうだな──」
週に一度の婚約者とのディナー。
珍しくオルカの方から近況を聞かれて、ロバートは戸惑った。
まさか、偽の身分を与えられ、ついでに昇進した──婚約者だとしても軍の機密ゆえに言えない。
ない知恵を絞って考える……が、浮かばない。
(そりゃそうだ、頭脳明晰なら実力でとっくに出世しているはずだ……)
「──いや、特に変わったことはなかったよ。君の方は?」
雑誌に書いてあった。
『女性の質問は知りたいからではなく、聞いて欲しいから』
まるで理解できなかったが、“モテる男は実践している”と書いてあった言葉だけ信じることにした。
「そうね。秘書官として配属されたわ」
「それはおめでとう!」
彼女の鼻が膨らんでいる。
気持ちが高揚している時に出す癖だ。かなり機嫌がいいらしい。
「それで、相手はどんな人なの?」
「レオナルド・フォン・サテン、28歳。独身、子爵の爵位持ち」
オルカが順番に指を折っていく。
「趣味は映画鑑賞と読書。三つ下の妹が一人いるそうよ」
暗記しておけと渡された“レオナルド”の経歴書と一字一句違わない。
「よくそこまで知ってるね。本人に聞いたのかい?」
オルカが静かに首を横に振る。
「そんなこと、根掘り葉掘り本人に聞けるわけないじゃない!
秘書課の女性陣で集めた情報を共有しただけよ」
(軍規とか機密情報とか──もう、何を言えばいいのかわからない)
女性陣のネットワークの恐ろしさに、思考が一瞬停止する。
「き、聞かなかったことにしておくよ」




