第七話 「防衛への協力」
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カボチャは血の雨の中に一人、最後の魔族と睨み合っていた。そんなところに一人の青年が、新しい真紅の足跡をつけて向かってきた。
「誰だ」
そいつは血の雨の中でも黒髪が美しく輝き、よく顔が整った好青年だった。防衛軍の退魔の紋章がついた細剣を片手に握っている。その歩き方の威圧感はそれだけで彼を強者だと証明していた。
(防衛軍がついに来たか。さて目的は殺すことか?それとも…)
俺が望んでいるのは防衛軍に入ることだ。そのためには話し合いがしたいんだが、片手には剣か…。だがこの世界なら武装は必須だ。これだけで敵対するとは限らない。
「防衛軍の副団長をやってるリクだぜ。話はできるのか?」
リク…レイクランドの言ってたやつだ。話はできるのかか、望みどおりだ。
「おれも話がしたい。そっちの要件はなんだ?」
返事をすると彼は驚いた様子だった。確かレイクランドは魔族との対話、ましてや裏切りなんてこれまで無かったといってたっけ。それなら驚いても不思議ではないか。
「すごいな。ほんとに魔族なのか?こんなところで話してもあれだ、場所変えるか?あそこの森あたりどうだ?」
彼は剣についた血を振り払って言う。気づけば魔族たちは全員死んで、足元には血と肉塊の海が広がっていた。とても今から大事な会話をするような場所では無かった。
「わかった」
◆
リクについて行くと開けた場所にでた。緑が美しい場所だが、不気味なまでに静かだった。まるで何もいないかのように。
これはなにかあるぞ。だがなんも掴めない。ここはレイクランドに連絡をとるか。
そうするとカボチャは帽子を触り、念じた。
(……聞こえるか?俺の今の現状は理解してるか?)
(…あぁ全部わかってるさ。その森の中には34名の兵士が潜んでいるよ。そして森の四方でいつでも結界を貼れるようにしているね。この感じ全員がとんでもない手練れだね。気配はゼロ、心音でなんとか特定できたぐらいだから、気を付けてね。暴れたら即始末されるよ。)
(わかった。できるだけ説得するが、無理そうだったらすぐに逃げる)
(了解。がんばってね!)
そこで帽子秘匿魔法回線を切った。
そうか包囲されてるのか。そうなると正直逃げ出すのも難しいな。だけどそれより、リクのほうがやばい。あいつの後ろをついて行ってたのにまったく隙がない。少しでも変な動きをしたら一瞬で殺されそうな気がしてならない。
「じゃあ俺が聞きたいことを言おう。お前は何者だ、そして目的はなんだ?」
何者かの質問は大丈夫だが、目的か。スカウトされるために魔族を殺してたなんて言えないしな。とりあえず答えるしかないか。
「俺はカボチャという。家族は全員処刑されて俺だけ生き残って、この世界に逃げてきた。俺はあいつらに復讐がしたい」
リクはハッとした顔で返した。
「復讐か。だったら行動は納得がいくぜ。じゃあ処刑の理由はなんだ?」
カボチャの胸がドクっとする。あの日の光景を思い出してしまう。
「……父がなにかの研究をしてたらしくて、そのまま一族も狙われた。詳しいことはわからない」
そういったときにカボチャに疑問が生まれる。父は元幹部で戦闘がメインだったはず。指揮も得意だったが、研究なんてしてた記憶がない。処刑されると知ったときは絶望と悲しみであまり考えていなかった。
処刑人はたしか「”深淵の契約"を拒み……」とか言ってた気がする。深淵の契約ってなんだ。それが研究になにか関係があるのか。
「詳しいことはわからない、か。次は魔族の内情について教えてくれよ」
リクは思考する。
(接近するためにやってたとするなら、設定なんかはもっと作り込んでてもいいと思うんだがな。これは本当なのか?もし復讐だけが目的なら、戦力になるかもしれない。ここはもう少し引き出すか)
魔族の内情か、レイクランドにも聞かれたな。だが親がほぼ外に出してくれなかったし、家族以外とは関わるなと言われてきた。ほぼ知らないからレイクランドみたいに落胆するかもしれない。情報がなにも入手できないとなると、始末される危険もある。だが嘘をつくのもまずい。
そんな中、カボチャが選んだのは…。
「親が外にでるなと言うから他の魔族についてはわからない。何もしらなくてすまない」
リクは再び思考する。
(情報源としては使えないか、でも素直に答えてる雰囲気はある。こいつの言葉が全て真実なら防衛軍に欲しいくらいの戦力だ。今ここで真偽を判別はできねぇし。
”ノア"を呼ぶか?だが本部からここまで来るには三週間はかかるぞ。その間のこいつの処遇をどうするべきかも考えなくては。とりあえず捕らえるのが正解か?しかしこいつとは協力関係の方が得策なのか?一回勧誘するか……ノアが来るまでは捕えておこう)
「そうか、ならしょうがない。一つ提案なんだが、お前 防衛軍に協力してくれないか?」
きたきた!やっと欲しい言葉がきた!これで魔族を滅ぼすのに一歩近づいた。返事は一つしかない。
「もちろんだ。復讐にはいくら力があっても足りない。そっちの力もぜひ欲しい」
「ありがとう。しかしその前に検査を受けてほしいんだ。それができるのがだいたい3週間後だから…」
そこでリクの雰囲気が変わる。
「静かにしていてくれ」
おい!協力してほしいんじゃないのかよ!
俺は瞬時にその場から離脱を試みる。しかしその瞬間、森の四方から光の筋が伸び、天で一箇所に結ばれた。結界が構築されたのだ。この森から脱出が困難になる。
そして前から音もなく数名の兵士が降ってくる。慌てて方向転換しようとしたとき、後ろからリクの手刀が入る。頭に割れたような痛みが流れ、視界は暗転する。
そこでカボチャの意識は途絶えた。
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