第四話 「鉄の兵器」
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「街の中から魔族っぽいオーラがないか?」
一人の兵士の声が聞こえたことによって、オーラが漏れてしまっていたことに気づく。カボチャは慌てて気配を消した。
「俺はなんも感じないぞ。戦闘の後だから敏感なんじゃないか?まず魔族が結界を破壊せずに素通りできるわけないだろ」
「そうか?まぁそうだよな。今回の襲撃での結界破損は確認されてないもんな」
兵士たちはそう会話しながら去っていた。
(帽子があっても制御が難しいな)
その後、細心の注意を払いながら隠れられる場所を探した。しばらく歩いた末に町外れの雑木林に入った。
(とりあえず朝まで過ごすか)
しかし体と心を休ませる時間を世界はくれなかった。林の中に地響きがしたのだ。すばやく身を隠し、周囲を見渡すと、奥から熊ぐらいの大きさをしたロボが近づいてきた。全身を重装甲で覆い、片腕は砲、もう一方は分厚い盾。背からは光を噴き出し、巨体を支えていた。その盾にはさっきの兵士と同じ模様があった。
(まさか防衛軍の兵器か!)
彼のセンサーが隠れているはずのカボチャを的確に捉える。
「魔族反応を確認――排除対象」
次の瞬間、砲撃が放たれる。カボチャは紙一重で回避し、帽子を刃身化させて応戦する。刃と砲撃が激しく衝突し、街外縁に轟音が響き渡る。
(は?なんでバレるんだよ!どういう性能してるんだ!)
「ちょっと待て! 俺は――」
カボチャは叫んだ。
「お前らと戦う気はない!俺は魔族に家族を殺されたんだ! あいつらに復讐するために、生きてる!」
機械には話なんて通じないかもしれない。でも必死に訴えた。
だがその兵器はカボチャの叫びが理解できたようだった。その言葉に、兵器の動きが一瞬鈍る。センサーが赤から揺らぎの色に変わり、機械の心臓に迷いのようなものが生まれた。
その隙を突くように、木の陰から魔族が飛び出す。
黒い皮膜の翼を持つ悪鬼が槍を突き出し、兵器の装甲を貫こうとした。
「……ッ!」
カボチャは飛び出した。
輪刃が閃き、魔族の喉を切り裂く。赤黒い血が散り、巨体が崩れ落ちる。
だがそれは先触れにすぎなかった。
さらに数体、追っ手の魔族が姿を現す。鋭い眼でカボチャを睨み、吠えた。
「いたぞ!カブルの息子だ!」
「先攻隊がまさか気づかれずに穴を開けるなんて思ってもなかったぜ!」
「小僧が結界の中に入っていったときは終わったと思ったが、なんとかなりそうだな」
兵器のセンサーが再び点滅し、低い声を放つ。
「敵勢力……脅威評価 平均B、再計算。――提案、共闘」
カボチャは唇を噛み、頷いた。
「望むところだ。……俺もあいつらは敵だ」
二人は並び立ち、襲い来る魔族を迎え撃つ。
砲火と刃が交差し、爆炎が夜空を照らす。
数的不利を跳ね返し、やがて最後の一体が地に伏した。
「まだ死にたくない...せっかく罪人を見つけたのに....。チルド、アンナ、家に帰れなくてごめんな..」
そんな呟きは気にせずカボチャは魔族の頭を踏み潰す。地面とカボチャの目は真紅に染まっていた。
戦いの終わった静寂の中。
兵器はゆっくりと盾を下ろし、カボチャへと向き直る。
「……観測結果、更新。対象――敵勢力を撃退。……暫定的に、信用を付与」
硬質な声に、かすかな温度が宿っていた。
カボチャは荒い息の中、かすかに笑った。
「助け合ったんだ。当たり前だろ。名前とかあるのか?」
「...レイクランドだ。対象――名を」
「俺はカボチャだ。よろしくなレイクランド」
「名――確認した」
その瞬間、少年と機械の間に脆いながらも絆が生まれた。
「あの爆音はこのあたりからか!」
騒ぎに兵士たちが駆けつけてきた。
「俺は逃げる。お前はどうするんだ?」
「個体名−カボチャの観測を続行する」
「ついてくるってことでいいのか?いくぞ」
カボチャ”たち”は走り出した。
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