"元" 居住地域『ボトム・イレイヤ』
ゆらゆらと揺れるはしごに掴まる俺とルナ。
下は空中。上に王国。
そして、掴んだ縄の部分が手から流れる血で赤く染まってきた。
「てはだいじょうぶ?ろぜ」
「ん?大丈夫だ。全然痛くない。」
「ほんとうに?」
「ああ。ルナこそ大丈夫か?」
「ん。だいじょうぶ。」
「なら良かった。」
…本当は痛い。けど、それはルナだって一緒だ。必死に助けてくれたんだ。それに比べちゃこの痛みはどうってことはない。
「…上に上がるか」
「あがろう。」
揺れるはしごを慎重に上がる。
でも上がるたびに少しは揺れるので心臓のドキドキは収まらなかった。
「よし上がれた。ルナ、手を」
「ほい」
はしごは石でできた通路につながっていた。
俺はルナの手を掴み、上にあげた。
通路は、タイガーモス号の外通路のようになっており、鉄でできた柵で人間が落ちないようになっている。この場所は忘れ去られているかのように辺りはとても薄暗く汚れていた。
「「ふぅー…つかれたぁー…。」」
やっと一息つけるということで俺とルナはどっと疲れが出た。
「きょうはもうここでやすみたいきぶん。」
「それもいいなあー…」
…とはいかないもので。
「でも、少しだけ休もう。」
この通路で少し休息をとることにした。
「はい、どうぞ」
「ほいっ!」
水魔法でコップいっぱいに水を入れ、ルナに渡した。ルナはそれをおいしそうに飲んだ。癒される。
「ふぅ…。ここからの景色は結構いいもんだな。」
もちろん。柵の外側には"世界"が広がっていて、でもそれは今までで一番高い場所からの景色だった。
壁は見える限りだと、あの人間が言っていたようにこの"世界"を囲むように見えた。
「本当にこの壁に囲まれてるんだな。」
しばらくその景色を眺めながら水を飲んだ。
「さて…とロケーションスキルでどうなってるか見てみますか。」
水を飲み終わり、休憩もできたので、スキル:ロケーションを使った。
そして、ソンナト・コニー王国の構造が頭の中に浮かび上がった。
…なるほど、ここはこの国の中でも"最下層"にあたるところか。
ソンナト・コニー王国の構造は大きく分けて"下層"、"中層"、"上層"になっている。
下層は、"最下層"と"下層"がある。
最下層は人間の中でも身分が最も低い位が住む。国の地下にある。
下層は最下層よりかは身分が高いが、低い位ではある。国の地下にある。
"中層"は普通に暮らせる程度の身分。一番人間の数が多い。地上にある。
"上層"、"最上層"は地上でも中層より高い場所にある所。主に貴族や、別の国から来たお偉いさん方がいる。
上層にはいく理由はない。地上に出れればそれでいいから、俺達はその中でも"中層"へ行くことが目標になる。
「ここからが本番だ。ルナ、行けるか?」
「ん、だいじょぶ。」
「じゃあ一」
俺は立ち上がり、ルナの手を握った。
「行きますか。」
"最下層"
休憩をしていた通路を歩いていくとやがて景色が見えなくなり、たまに小さな窓から月の光が見えるようになった。
「…不気味な静けさだ。」
最下層から下層へ上がる階段は一つだけあり、そこを目指して行っている。人影は全くなく、あたりには不気味な静かさが充満していた。
ぺたぺたと足音を鳴らしながら、それでも、いるかわからない人間に気づかれないように慎重に歩いていた。
「…ちょっとだけこわい。」
「大丈夫、私がいるから。」
そう言ってルナの手をしっかりつかんでやった。
歩いても歩いても人影なぞ一つもない。それと同時に、いる気配もない。
ついには、人間の骸骨が落ちていた。ここにはもう、誰もいないのだろうか。
そんな最下層だったが、その遠くから一つの光が見えた。
「この先にちゃんとした居住地域があるらしい。そこなら、人間もいる可能性があるんだが。」
「いたほうがいいの?」
「んーなんていうか…。ここまで人間がいないなら、逆にいてほしいと言いますか。」
「…なるほど」
少しばかり期待しながら通路の出口を出た。
「…は?」
「え?」
「「もり??」」
通路の外には"森"があった。
『居住地域ボトム・イレイヤ』
最下層の中で一番大きな居住地域で、地面にも壁側にも部屋があり、少し寂れたマンションのようになっている。この空間は縦にも横にも広く、10階建てのマンションが入るくらい大きいのだ。
だが。
緑が茂り、家だったものから木が突き破り、壁側の部屋だった所からは水が流れ出て、上には鳥が飛んでいた。この居住地域は一つの大きな"ビオトープ"となっていた。そういう意味なら動物達の居住地域なのかもしれない。
「これは…。」
思わず口から出てしまった。
これは忘れ去られているのか?王国は分かっていて放置しているのか…。どちらにしろ、ここまで森化してるのはすごい。
右手で地面の土のようなものを手で軽く掘り、じっくり見た。
「…土じゃないな。何かが堆積して、それが植物が成長できる成分を含んでいた感じか?」
鑑定スキルで見た結果、これは土ではなく、どちらかというと腐敗した鉄などに近い何かで、その上に植物がめきめきと生えてきてるわけだ。
この世界の植物の生存本能やばい。
「いろんなどうぶつがいそう。」
「そうだよな。」
ざくざくと草の音を立て、あたりを見渡しながら歩いた。
普通に考えて、こんなところになんも知らされず入れられたら絶対に森って思っちゃうよな。
しかも水も食料もあるし、生活も十分できる。
「いやー…。」
この世界何だ?楽しいじゃねえか。
中層に続く道に向け、りっぱに森化した『元 居住地域ボトム・イレイヤ』を順調に進んでいった。
タイガーモス号のところ。
言い感じの言葉が出てこなかったので出てき次第、すぐに修正したいと思っています。




