セリナ
この小説を書きはじめ、初の1日で2話投稿です。
朝投稿したのは少し前から描いていたものなんですが、第9話に関してはほぼ、今日書きました。
新キャラが登場しますよ!!
ps.一部修正、加筆を行う可能性があります。修正、加筆部分に関してはここ前書きにて伝えたいと思います。
今日も朝が来る…
俺は目を覚まし、衛兵が牢屋の扉を開けに来るのを待っていた。
扉の方からギイッと扉を開ける音がし、コツコツと足音が聞こえてきた。足音が止まると
「さぁ、今日も朝が来ましたよ。起きなさい。」
と声をかけ、眠っている亜人を起こしに来た。声の主はゴドフロワだ。
一言言った後、次は俺が入っている牢屋に近づいてきた。
「おはようございます。君もなかなか死なないですね。気分の方はどうでしょう。」
「見れば分かるよ。」
最近はゴドフロワが俺のいる牢屋の前まで来るようになった。俺の様子を見に。
俺は見れば分かるほど衰弱しきっていた。髪の毛につやがなく、土や色々な液で汚れ、目にはもう、光り輝くような色はなくなっていた。(一応、体の汚れを流す機会はあるが、1か月に1回ほどで十分に体の汚れを落とすことはできなかった。)
それなのに声に出して言うゴドフロワは少し顔がにやけているようにも見えた。
「君も早く起きなさい。」
俺に背中を見せ、こう一言。
「今日も労働の時間ですよ。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今日の労働内容は城の地下にある鉱脈の採掘と運搬だ。
今まで一番多くやった労働内容だった。
自分のスキルを見ればわかる。
俺は手慣れた作業で今日も休み時間なしで労働をしていた。
だが、どれだけ慣れていたとしても体力だけは違う。
体への負担は日に日に増すばかりだった。
ハァ…ハァ…
目の前が歪んで見えてきた。
ハァ…ハァ…あっ……
長時間の採掘作業の途中、振り上げたツルハシの重さで後ろに倒れかけてしまった。
やべぇ…体が動かねぇ…
体を起こし、何とか体勢を整えようとしたが体は何も言うことをきいてくれず、そのまま倒れかけた。
まずい…倒れ……
その時だった。
トンッ…
と後ろから俺の体を誰かが支えてくれた。
「大丈夫…ですか?」
と心配した声でそう言った。
「すみません…助けていただいてありがとうございます。」
体を支えてくれたことに俺は感謝の言葉を言った。
奴隷生活で初めてゴドフロワ以外に話した。
支えてくれた人を見るとそこには黄色の髪をして、俺よりも耳が長い、狐のような亜人の女の子がいた。この子を見て、俺はゴドフロワが最後に捕まえた子の特徴を思い出した。
ゴドフロワが言っていた特徴にとてもよく似ていたのだ。
「いえいえ、普通のことをしただけですよ。」
彼女も疲れているはずなのにフフッと笑い、明るい声で話す姿を見て思わずくるものがあった。
「とても辛いですよね。」
彼女がそういうと続けてこう言った。
「ですが、ここでこのまま倒れてしまったらまた人間笑われてしまいます。だから、耐えましょう、耐え抜いていきましょう。いつかここから逃げ出すことができるその日まで。私たちは生きる意味を持ち、この世界に生まれてきたのだから。」
「ッ…!」
彼女の言葉はとてもやさしく、そして力強かった。
彼女の言葉に俺は気づかされた。ここで倒れてしまったら、地球での人生と同じになってしまう。
そんな風には絶対になりたくない!
「あ…ありがとうございます。あなたの言葉でとてもやる気が出ました。そうですね。ここで倒れてしまってはいけませんね。」
俺は彼女にもう一度お礼をした。
彼女は笑顔で
「はい!一緒に耐えていきましょう!」
と答えた。そして、ハッとした顔で
「そういえば…名前がまだでしたね。」
と言い、自己紹介を始めた。
「私の名前は『セリナ』です。呼び捨てでいいですよ。」
「私の名前は『ロゼ』です。よろしくね、セリナ。」
「こちらこそ!よろしくねロゼちゃん!!」
お互いの名前を教え合い、仲が良くなった…と思ったのもつかの間
「お前たち!!そこで何を話している!!さっさと働け!!!」
と言われ、すぐに持ち場についた。
「と…とりあえず頑張りましょうか」
とセリナが言ったので
「そう…ですね…。」
と俺は答えた。
これが俺とセリナの初めての出会いだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
セリナとはその日の夜のうちに仲良くなった。
セリナはゴドフロワが最後に捕まえたと言っていた子で合っていた。
俺よりも耳が長いのは亜人の中でもあまり少なく、珍しい"狐族"という種族だからだ。
俺はセリナの黄色い髪はとても桃色が合うと思った。
次の日も、その次の日もお互いのことを支え合ってきた。
牢屋内の人たちの顔が新しくなっていくなか、セリナと俺だけはこの生活を耐え抜いてきた。
セリナと生活をしていくうちにしだいに互いのことをよく知る存在となった。
好きな食べ物は何か。好きなこと何なのか。いろいろなことを話した。
夜の会話が増え、セリナと会話する夜の時間が唯一楽しいと思える時間となっていた。
セリナと話していると空腹さえ忘れるぐらいとても楽しかった。
奴隷としての生活がもう5か月を経とうとしていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今日も朝が来た。
「セリナ、起きてください。朝ですよ。」
俺はセリナと仲良くなってから朝、セリナを起こす習慣が出来た。
「むにゃ…おはよう…ございますロゼちゃん…」
彼女はまだ眠そうだ。
コツコツコツ……
扉の方から足音が聞こえてきた。
「君もなかなか死なないね。さすが、私が見込んだだけありますね。」
すらっとした声でそう言うゴドフロワに
「私のこと、一回殺したのにな。」
と一つ指摘をしてやった。
「おやおや。そんなことをまだ言えるなら元気はありそうですね。」
そして、ゴドフロワは背中を向けいつものように
「今日も労働の時間ですよ。」
と言った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
夜、俺とセリナはいつものように会話をしていた。
そこで俺は一つ質問をした。
「セリナはなんであの日、私のことを助けたの?」
「あの日も言った通り、普通のことをしただけですよ。ただ…」
「ただ?」
セリナは少し暗い顔をして、こう話した。
「捕まったたくさんの亜人の人たちが次々に亡くなっていくのを見るのが嫌だった…というのもありますね。この国に捕まらなかったら今頃いつもどおりの生活をしていたはずなのに、この国にいいように使われ、そのまま人生が終わってしまう…というのが本当に嫌だったんです。そのまま見殺しにしたくなかったんです。」
「……」
「だからロゼちゃんが倒れそうになった時に思わず助けたい、支えてたい…と思ったんです。」
セリナがまたあの日のようにフフッと笑い、明るい声でそう言った。
「…セリナはすごいね。私にはそんなこと絶対にできないや。」
俺がそういうとセリナは
「そんなことありません!」
と俺を励ますように言った。
「ロゼちゃんがいなかったら私、今日まで生きてこれなかったと思います。ロゼちゃんがいてくれて、支えてくれたからこそ私は生きてこれたんだと思います。だから、自分に自信を持って。」
「セリナ…ありがとう…!」
「フフッ、いいですよお礼なんて。」
牢屋の中はとても暗いがセリナだけは太陽のように光輝いていた。
セリナは本当に優しい子だな。俺はこんな子になれるかな…
「…ねぇロゼちゃん?」
「なんですか?」
「ロゼちゃんは…もしこの国から出ることが出来たら…何がしたい?」
セリナは少し照れくさそうに聞いてきた。
「そう…ですね。」
俺はいままでずっと奴隷として生きていたから何がしたいかなんてあまり考えてなかったな。
「うーん……あっ。」
「何かあった?」
セリナがそう聞いてきたので俺は答えた。
「私は…」
「セリナと一緒にこの世界の色々な場所に行ってみたい。」
「ッ!…ロゼちゃん…!!」
俺はセリナに素直にそう伝えた。
「もともとこの世界のいろんな場所に行ってみたいと思ってたんだけど…セリナと一緒ならもっといろいろなところに行けるし絶対楽しいと思うんだ。だから私は、セリナと色々な場所に行きたい。」
俺が一緒に行きたい理由を伝え終わり、セリナの顔を見ると
「ううぅぅ…!」
「セリナ!?」
めちゃくちゃ泣いてた。
「私、なんかひどいこと言っちゃった!?ごめん!なら一人で…」
「違うの!」
セリナがそう言うと
「うれしかったの…今までこんなこと言われなかったから……!!」
「セリナ…」
この子も色々あったんだな。今までほんとに頑張ってきたんだな…
セリナは涙を手でぬぐい、一度深呼吸をしてから笑顔で
「はいっ!私もロゼちゃんと一緒にいろんな場所に行きたい!!」
と言ってくれた。
今日は外から見える月がとてもきれいだと思った。
その日、俺が寝ているときに、後ろから物音がする気がした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
朝が来た。
俺はいつものようにセリナを起こそうとした。
「セリナ、起きてください朝ですよ…てあれ?」
そういいながら俺はセリナの方を向いたがそこにはセリナの姿は何もなかった。
「セリナ?どこに行ったんだ?」
俺は周りを見渡したがこの牢屋の中にはいなかった。
コツコツコツ…
扉から歩いてきたのはゴドフロワだった。
「おはようございます。朝ですね。」
といつもより、元気な声でそう言った。
「おい!お前セリナはどこに行った!?」
強い口調でそう言った俺に対し、ゴドフロワはこう伝えてきた。
「セリナ?あぁ、君と仲が良かった狐族の子かな?あの子なら…」
「死にました。」




