謝罪話 「ほんとうにすいませんでした。」
…カタカタ
カタカタタンッ…カタタタ…
それは心地よく、リズミカルに音を出していました。
ある家の一室。電気はついておらず、ただ一つの電子機器の光で部屋をぼんやりと照らしていました。
「…最近やっと更新されたからやってみたけど、前よりもうんっと難しくなってたな、自分としても打ってて楽しかったぞ。」
とあるリズムゲームをやっていた彼は電子機器に向かってそう言ました。
「だが、俺にかかればこんなものも余裕だぜ。(キラーン)」
そう自慢げに言う彼には友達なんてそんなものはいません。この画面を誰かに見せることも、そして誰かと会話をすることも未来永劫ないでしょう。同時にこの世界で彼のことを知るものも誰もいないでしょう。
ですが、彼のそんな人生は突然終わりを告げました。
「へぇ、ここがあなたの部屋なのですね。」
「…へ?」
彼の背中より後ろから声が現れたのです。
そして彼はその声の持ち主を知っていました。
「おいおい…嘘だろ…!?」
彼は恐る恐るその声が聞こえたほうにゆっくりと振り向きました。
そこには…
「……ロゼ…だと…!?」
それは、彼の作った小説の主人公、「ロゼ」がいたのです。
「何でここに…いや、どうやってこの世界にやってきた…?」
彼はロゼに質問をしました。
すると、ロゼはゆっくりと口を開き
「…簡単なことです。」
と微笑みを浮かべ言いました。そして優しい声で続けてこう言うのでした。
「はやく新しい話を書いてくださいということです。」
「………すいませんでした。」
「一番最後に更新した話はいつか知っていますか。」
「………すいませんでした。」
「2024年2月23日16時17分ですよ。もう二か月半くらいたってますよ。」
「………すいませんでした。」
「話の構成はできてるんですよね。」
「………はい。」
「なんで新しい話を投稿しないんですか。」
「………すいません…サボってました。」
「小説投稿をサボり、ゲーム沼にはまったというのですか。」
「………すいませんでした。」
ロゼは此の間ずっと微笑みを浮かべていたが、その笑顔からは怒りを感じました。
そしてロゼからゴゴゴゴという擬音が聞こえてくるようにもみえました。
「で、いつ出すんですか。」
ロゼは彼に聞きました。
「………。」
彼は黙り込んでしまいました。
「…聞き方が間違っていましたね。」
ロゼはそう訂正して言いました。
「”いつなら出せますか。”」
ロゼがそう言うと彼はやっと口を開け、細々とした声で言いました。
「あともうちょ」
「いつなら出せますか。具体的にお願いしますね。」
「………。」
彼はまた黙り込んでしまいました。
「いつでしょうか。」
ロゼはそういうと微笑みを浮かべたまま、彼の発言を待ちました。
「へぇ、ハイスコアじゃないですか。すごいですね。」
電子機器の画面を見てロゼは皮肉と笑顔をたっぷりと込めて言いました。
「………すいませんでした。」
彼はまた謝りました。
「…でいつなんでしょうか。」
数秒が経ち、彼は言いました。
「…3か月後?」
彼とロゼの間に沈黙がやってきました。
「今週です。」
「…はい?」
「今週中に一つ投稿しなさい。」
「そんな!突然そんなこと言われても無理だよ」
「今週中に一つ投稿してください。」
「命令から丁寧語に代わっただけだよ!」
彼は必死に抵抗しました。ですが
「あなたは今そんなことを言えるような立場にいますか。」
ロゼのその一言にぐうの音も出ない彼でした。
「………すいませんでした。…ていうか」
そう言うと彼は続けて言いました。
「お前もともと男だろ!?なんでそんな女の子っぽい話し方してるん…」
「今そんなことを言えるような立場にいますか。」
ロゼのその一言にまたぐうの音が出ませんでした。
「…では今週中にお願いしますね。」
ロゼがそういうとすうっと陰に飲まれていくように消えていきました。
ロゼがいなくなった数秒後に彼は口を開けてこう言いました。
「………ほんとうにすいませんでした。」
今週中に頑張って次話を投稿します。本当にすみませんでした。




