さあみんな、がんばってね
マイは、可愛美鈴や水色あさがお、参加者を避けながら慎重に森の中を飛んで行った。上空を飛んでいるピュウアウイッチ・ピンクを目で追う。
「どうして山頂から離れないんだろう」
神器のひとつは山頂の祠に祀られている。ピュアウイッチ・ピンクはそれを守っているが、囮でもある。岩山を中心の飛んでいれば、そこに神器があると言っているようなものだ。プレーヤーの目線はどうしてもピンクに集まる。それは同時に他の神器を隠す役割を担っている。
祠の扉は呪文がないと開かない。扉を開く呪文は、マップの随所に書かれているが、ピンクを捕まえられれば答えを訊くことができる。ヒントを集めて祠を開けるか、ピンクを捕まえて答えを訊くか、あるいは別の神器を探すか、プレーヤーの判断が試される。
マイは岩山にむかって飛び、麓から芽愛の視界に入らないよう慎重に、岩の影に隠れながら頂上を目指してゆく。
『魔王VS勇者 異世界VTuber対決!』ではすでにバトルが始まっていた。魔王サイドVS勇者サイド全員入り乱れてのバトルロワイヤルだ。
魔王デビルオクトパスは墨を吐き、サキュバスのラリィ=ル・レロは超音波で幻覚攻撃する。勇者パーティは、墨を吹き飛ばす風魔法に、超音波を相殺する超音波魔法をパーティがくりだす。タンクが攻撃を受け流して剣士や魔法使いがダメージをあたえる。
魔王側は、オークがタンクになり、魔導士が後衛から補助魔法でデバフや回復をしながら攻撃魔法を放つ。セイレーンは地面を水のように泳いで勇者側に遅いかかる。
☆たこさんウィンナー「おまえら全員焼き殺してくれよう」
身体を震わせると、口から炎を吐いた。勇者パーティはダメージを受けて、数名が戦闘不能になる。賢者がすかさず回復して復帰する。
☆ちゃとら千尋「みんなだいじょうぶ!?」
参加者は一様にサムアップで応える。
砂漠の先にオアシスがあって、さくまどろっぷは迷わずダイブする。春花も続いてダイブし、遅れて参加者のメンバーが次々とダイブしてゆく。最後にPIRがダイブする。
氷山コースは、最初にアイテム『スタッドレスタイヤ』を取ればスリップすることなく走れるので、あとはコースアウトせずトラップの雪崩を避け、峠越えのU字コースをドリフトなどせず道なりに走れば簡単にクリアできる。この辺も素人が作ったゲームバランスだ。道も狭いので無理に追い越す必要はなく、むしろ先頭について離れないのがクリアポイントだ。
トップを走るさくまどろっぷは、アイテムを取ると軽快に雪崩を避け、峠越えのU字コースを走って行く。
参加者は、アイテムを取っても雪崩に巻き込まれタイムロスしたり、うまく雪崩を避け峠越えに入ってもU字コースから転落したりする。
春花は慎重に走って順位を落とすがタイムロスはしない。そしてPIRはずっと最後尾をついて行く。
ジャングルは道が別れる。別れた道の先でそれなりの障害がある。恐竜が襲う、沼地で足をとられるなど。ゲームバランスは調整していないので、選んだコースによって大きくタイムロスをする。
さくまどろっぷは迷わず恐竜コースへ入る。目の前から恐竜が襲いかかる。うまく攻撃を交わすと追ってくる。速度を落とすと追いつかれて噛みつかれる。バックミラーで恐竜の攻撃を交わしながらステージをクリアする。
追って来た参加者は、恐竜に食われる者。泥沼にハマって動けなる者。泉に飛び込んで沈む者。リスポーンしてレースを続ける。
マンハッタンの道は縦横に走る道路からなりたっている。道幅や交通量、信号で止まる車など、差はあるが規則的なので、そこを見極めれば距離を詰められる。実はこのレースで一番追い上げ可能なコースだ。
トップでこのステージに来たさくまどろっぷ。
☆さくまどろっぷ「さあみんな、がんばってね」