表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/47

PIR New mission

 PIR(ピア)のもとに、新たな指令が下った。


 『ニュースピリチュアルのメンバーの、生前の情報を訊きだせ』




 困りました。生前の情報は極めてプライベートな内容です。直接、問いただすわけにもいきません。とはいえ、多少なりともプライベートを話のネタにしているVTuberは存在します。




PIR●ライブ


「みなさん、こんばんは。ニュースピリチュアル所属、Possibilities Infinity Robot。ピアです。今日は、ラリィ=ル・レロさんと一緒に配信します」

「こんばんは。ラリィ=ル・レロです」

「ラリィさんと、こうして話すのは、初めてですね」

「そうだね」


「デビューして一ヵ月ぐらい経ちますが、VTuber生活はどうですか?」

「思ってたよりおもしろい」

「どの辺がおもしろいですか?」

「ライブ感。コメントおもしろくって」

「鋭い突っ込みとか、噴き出しちゃうコメントとか、みなさん感情豊かですよね」

「一回死んで、転生して、初めて生きてるって感じがする」

「そんなにですか?」

「前回の人生は、最悪だったから」

「相談にのりますよ」

「ロボットにわかるの?」

「自己学習型AIですから、学べば学ぶほど、賢くなってゆくんです」

「私の経験も、糧になるんだ」

「なります」

「でも、止めとく」


「すごく美人さんだと聞きました」

「自分で言うのもなんだけど、顔だけは良かった」

「アイドルとか、女優とか、なさっていても不思議じゃないですよね」


 一瞬、ラリィの顔色が曇った。


「やっぱり! そうなんですか?」

「まあ、そんなことをしてた時期もあったかな」

「ステージに立ったら、凄く映えそう」

「ありがとう。そう言ってくれて嬉しい」

「なんていうグループですか」

「それ言っちゃったら、身バレになるでしょう」

「失礼しました」



 その後も、いろいろ訊いてみましたが、有用な情報は得られませんでした。ターゲットを替えましょう。




PIR●ライブ


「みなさん、こんばんは。ニュースピリチュアル所属、Possibilities Infinity Robot。ピアです。今日は、元・JKの水色あさがおさんと一緒に配信します」

「こんばんは~。水色あさがおで~す」

「レース優勝、おめでとうございます」

「ありがとうございます!」

「ラッキーでしたね」

「ラッキーでした!」

「バグはもう修正されてしまいました。通常ルートで優勝できそうですか?」

「美麗ちゃんと、さくまどろっぷさんが鬼強で、かないません」

「女子高生だら、運転免許、持ってませんもんね」

「そうですよ。今は、ピンクちゃんと運転の練習してます」


「水色さんは、高校の時、好きな人はいなかったんですか?」

「えっ!? なに、突然」

「JKといえば、恋バナじゃないですか」

「特に好きな人はいませんでしたね」

「お友達はどうですか?」

「いたよ」

「どんな方ですか?」

「一緒にバカなことやって笑ってた」

「例えばどんなことですか?」


「あたしの学校、自転車で通ってる子、多かったんですよ。帰る方角が同じな娘と一緒に、好きなアイドルとか、うちらの間だけで流行ってることとか、自転車で走りながら話してる」

「お友達と話したくありませんか?」

「めちゃくちゃ話したいよ~」

「連絡先、知ってますよね?」

「知ってる」

「連絡しようと思えば、できますよ」

「しないよ」

「どうしてですか?」

「あたし、死んだんだよ。葬式したし」

「VTuberに転生したって言えばいいじゃないですか」

「信じないでしょ」

「お互いでしか知り得ない事実をやりとりすればできます」

「やめとく」

「どうしてですか?」

「結局、会えない」

「モニター越しですが会えますよ」

「それは会ったことにならないよ。ふれあえないじゃん。それはさみしい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ