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レースは最終局面へ!

 異世界の長いトンネルを抜けると、ジャングルだった。


 凍える氷山地帯から一転、蒸し暑い風がドライバーを包み、程なく、全身から粒の汗が湧き上がった。


 鬱蒼と生い茂る熱帯の樹々。隙間から射す陽が道を照らす。所々に沼地があって、足を取られてスピードが落ちる。

「沼地をかわしながら走れってことね」




ピュアウイッチ・ピンク●ライブ


「氷山地帯の次はジャングルです! この温度差を耐えられるか!?」

「温度差だけじゃない」

「なんですか? ピュアウイッチ・ピンクさん!?」

「あたしが好きな生き物が出てくる」

「好きな生き物!?」

「観てのお楽しみ」

「生き物がなにかわかりませんが、先頭のさくまどろっぷを観ましょう!」




 巧みなドライビングテクニックで、沼地を避けながら走るさくまどろっぷに、突然、ドシンッ! ドシンッ! と衝撃が襲い、バギーが跳ねる。

「今度はなに!?」


 降り注ぐ木陰を遮りながら、何かが近づいてくる。影は樹々を揺らしながら、ざわめく。突然、恐竜が姿を現し、さくまどろっぷに噛みついて、振り回し、放り投げた。

「きゃ~~~~~!」

 乗っていたバギーは、樹にぶつかって止まった。


 『ジュラシック・パーク』

 『ティラノサウルスか』

 『ゴジラ』

 『草』


 放り投げられたさくまどろっぷは、血飛沫を舞いながら、四肢がちぎれ、首があらぬ方向へ曲がり、樹にぶつかって、落ちる。


 『オワタ』

 『タヒた?』

 『草』


 傷はすぐに治る。

「イタタタ」




「トップを独走していたさくまどろっぷが、まさかの離脱」

「恐竜大好き」


 続いて、春花(はるか)夏海(なつみ)秋月(あきつき)冬雪(ふゆき)が、ジャングルエリアに入って来る。


 配信を見ている、とげ蔵は、檄を飛ばす。

「春花がんばって!」


 沼地を慎重に避けながらバギーを走らせたが、恐竜に食われる。

「キャー!」




 3番手にやって来たのは、可愛美麗だ。彼女は、スピードを出しつつも、巧みに沼地を避け、さらに、恐竜の攻撃をドライブテクニックで華麗にかわし、トップに躍り出る。


 ジャングルを抜けるとそこは、高層ビルの林立する、マンハッタンだった。




「トップで最終ラウンド『マンハッタン』に来たのは、可愛美麗です!」

「恐竜かわされた。悔しい」




 マンハッタンの道には、車や歩行者が多数、行き交い、混雑している。道が多数に分かれ、交差点には『←』『↑』『→』の道路標識があって、どの道が正解かわからない。

「どの道行ったら良いの!?」


「マンハッタンは多数の道が碁盤目状に張り巡らされています。この道を効率良く走ってゴールするのが最速。逆にいえば、迷っている相手を抜き去るチャンスでもあります!」


 『信号があるぞ』

 『車の量、えげつない』

 『タワーが見えた』

 『GHOULって書いてある』


「そうです! タワーがゴールです! このレースを制するのはいったい誰だ!?」




 最下位の水色あさがおは、沼地にはまっている。

「あたし、車運転するの初めてなんですけどー」




 春花と、さくまどろっぷが、マンハッタンにやって来る。

「車多い!」


 とげ蔵『裏路地へ逃げるんだ』


 裏路地は、バギー一台が走れる程度の幅しかないが、人や車の往来がないので、走りやすい。

 それを見ていた、さくまどろっぷが続く。

「これは、裏路地をぬって走るのが近道とみた」


 さくまどろっぷは、路地を途中で曲がった。春花は、表通りに飛び出した。そのとたん、走ってきた車とクラッシュ。バギーはスピードを失って、一定時間コントロールできなくなる。

「なるほど。交通ルールは守りましょうって訳ね」




 沼地からなんとか抜け出した、水色あさがおは恐竜に食べられていた。

「痛ーい!」

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