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ビールってなぜジャンクフードと合うんでしょう

 今夜は、春花(はるか)夏海(なつみ)秋月(あきつき)冬雪(ふゆき)と、たこさんウィンナーの、コラボ配信。内容はもちろん、夏祭り。




 『タコがたこ焼き焼いとる』

 『タコがたこ焼き食べてる』

 『共食いだ』


「たこさんの足、っていうか腕? 意外と自在に動きますよね」

「ぬるぬるだろ」

「言い方がいやらしい」

「8本あるからな」


 生地を流し込んで、具材を入れて、丸める。実に手際が良い。


「あはははは。なんか、笑える」

「だろ」


 『うまい』

 『手際良い』

 『うまそう』

 『腹減った』

 『そのたこ焼き食わせろ』


「ソースが良い香りなんですよ」

「皮がカリっとしてて、中がふわとろな」

「熱々、美味しかったす」

「ちゃんとタコ、入ってたろ」

「はい」




 さくまどろっぷ、可愛美麗、ピュアウイッチ・ピンクの三人も、夏祭りの動画鑑賞会を開いていた。


 手際良く、焼きそばを焼く、美麗。


 『うまい』

 『手際良い』

 『うまそう』

 『腹減った』

 『その焼きそば食わせろ』


「美麗ちゃんは、料理、得意なの?」

「そうですね。よくやってました」


 『味付け醤油か』

 『ソースがいい』


「焼きそばは醤油派?」

「たこ焼きがあったので、味がかぶっちゃうと思って、醤油にしました」




 花火を観ながら、たこ焼きや焼きそばを食べる。その時、さくまどろっぷの手元に、モザイクで隠された飲み物が。


 『ビールじゃん』

 『ビールでしょ』


「あれは、ノンアルコールよ」


 『ウソだ』

 『嘘だな』


「夜風にあたりながら、ビールを飲んで、花火を見る。最高じゃない」


 『やっぱりビールじゃねーか』

 『タイーホ』




 同じ頃、春花とたこさんウィンナーもビールを飲みながら、花火を観ていた。


 『たこさんウィンナーの口ってどこ?』



 春花がたこ焼きを、あーんと、たこさんウィンナーの口に運ぶ。それを、パクリと食べる。


 『口があった』

 『普通に口だった』

 『本物のタコと違う』


「たこさん、口にソースが」

「拭いてくれ。口で」

「それセクハラですよ」


 春花は、浴衣の袖でソースを拭う。


「せっかくの浴衣が汚れるぞ」

「だいじょうぶですよ。ここはサイバー空間なんですよ」


 春花が、袖をパっと一振りすると、汚れは消えてなくたった。


 『便利な世界だな』

 『洗濯機いらずです』


「あたしに焼きそば、食べさてくださいよ」

「なんでだよ」

「照れてるんですか」


 焼きそばを箸でつまみ、春花の口元へ運ぶ。パクっとそれを食べる。


 『リア充爆発しろ』

 『爆発しろ』

 『末永く爆発しろ』


 ふたりそろって、ビールを煽る。


「ぷはー」

「ぷっは」

「美味しい」

「うまうま」

「なんでビールとジャンクフードって合うんでしょうね」

「ビールはなんとでも合うぞ」

「ウインナーとも合いますよね」


 ドーンと、大輪の花が夜空に咲く。


「花火の物理演算。タコさん作ったんですよね」

「いや。コピペ」

「褒めどころだとおもったのにー」

「音が遅れてくるのは現実的(リアル)ですね」

「そこは作ったな」

「さすが。元SE」




 花火を見上げる、可愛美麗、さくまどろっぷ、ピュアウイッチ・ピンク。


「打ち上げ花火を、直で観たのは生まれて初めてね」

「あたしも初めて」

「地元で花火大会、ありませんでしかたか?」

「あったけどね、観る機会に恵まれなくてね」

「花火は音だけ聞いたことある」


 『楽しめ』

 『十分楽しめ』

 『たのしんで』




 その配信を見ている、ひとりの女子高生がいた。

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