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吸血鬼の少女が一族を救う救世主になるまでの話。  作者: ハニィビィ=さくらんぼ
第0-1章:変わり髪の少女
6/12

5―収穫

~アルスワルド新世歴2900年・ミラ・11歳~


「オラァ!起きろ家畜!!」


独房の扉が開いて、床で寝ていた私は中に押し入った兵士に腹を蹴られて叩き起こされた。


「ガハッ!ゴホッ!すっ、すみ、ません・・・。」


蹴られたせいで息ができなくなりながらも、私は自分を蹴った兵士に腹を押さえながら謝った。


本当は何も悪くないけど、反抗すると更に暴力を振るわれるからだ。


「ったく!いちいち余計な手間かけさすんじゃねぇよ。」


兵士はぶつくさ言いながら、牢の奥と手枷を繋ぐ長い鎖を解いて、その先を持って私を強引に部屋から連れ出した。


「ほら!いくぞ!!今日もじゃんじゃん、()()()()もらうからな。」


下卑た笑いを浮かべると兵士は私を、()()が行われる部屋へと連れて行った。


廊下を歩く時に、すでに()()が終わったであろう他の吸血鬼とすれ違ったが、私と同じように兵士によって鎖に繋がれて歩く彼等はゲッソリと痩せこけていて、血の気がない顔色をしていた。


最初こそは、何をされるか分からなくて怯えていたが、4年もこのような毎日の繰り返しとなると慣れた・・・というか感覚が麻痺してしまい、「早く終わってくれないかな・・・。」と項垂れながら思った。


やがて目的の部屋の扉が見えてくると、向こう側からまだここに来て日の浅い人達の、激痛で悶える声がしたが、私はそれに対して、特に恐怖はおろか関心すらしなかった。


そして、私はとうとう()()が行われる部屋へと入った。


中には鉄製の椅子が何百と並んでおり、そこに手と足を繋がれた吸血鬼達が、服を全く来ていない状態で、全身に管を刺されて血を抜き取られていた。


「ここが今日のお前のイスだ。じゃあ査官さん、よろしくお願いします。」


「分かりました。」


兵士は私を、イスの横に立っていた白い帽子と、白衣を着ていた男性に明け渡した。


白衣の男の人は私の服を・・・といっても白いエプロンのようなみすぼらしいものだったが、それを脱がし、私の身体をチェックし始めた。


「んん?何ですかこの、腹部のアザは?」


「すいません。床で居眠りこいてたんで、ついムカついて腹を蹴っちまいまして・・・。」


兵士がアザの原因を話すと、白衣の人は「はぁ~!」と大きなため息を吐いた。


「いいですか?心身ともに良好な状態を保たないと良い血液は収穫できないのですよ。今後はこのような行動は慎んで下さい。彼等は人間(わたしたち)にとって大切な()()()なんですからね!」


白衣の人に叱られると、兵士は頭をかきながら「すんません」と謝った。


「では、気を取り直して、収穫を始めます。“畜隷(ちくれい)番号865”、イスに座って下さい。


白衣の人が()()()()()()()()を呼ぶと、私は裸の状態でイスに座り、手足を固定された。


そして、固定された手足に、先端が鋭利な針になっている管を幾つも刺され、私は痛みで「グッ・・・!」と声を出してしまった。


やがて採血、もとい()()が始まり、管を通って私の血が天井に向かってどんどん上っていった。


上の部屋で、吸血鬼(わたしたち)の血は色んな物に加工される。


回復用のポーションや栄養ドリンク、中には化粧用パウダーの原料になるのもあるらしい。


「はい。865番の本日の収穫はこれで終わりです。」


身体の半分くらいの血を抜かれて、すっかり力の入らない私を、白衣の人はお構いなしに立たせて、服を着させると、連れてきた兵士に明け渡した。


「では明日もこの時間に。くれぐれも、今度は余計なケガをさせないようにお願いしますね。」


「分かりました。じゃ!俺はこれで。」


兵士は私を連れて、元居た独居房に連れ戻しに行った。


「イヤだ!血を抜き取られるなんて・・・!!父さんと母さんに会わせて!!イヤだイヤだ!!お願いだから、誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


途中、ここに連れて来られたばかりと思われる年上の若い女性の吸血鬼と出くわした。


半狂乱に暴れる彼女を見て、私はここに来たばかりの自分のことを思い出していた。


私もあんな風に暴れては、よく兵士の人に殴られてたなぁ・・・。


独房に着いて、兵士は私を再び部屋の奥に鎖で繋いだ。


そして座り込む私の髪を引っ掴んで、苛立った顔を向けた。


「テメェのせいで小言言われたじゃねぇか。夜のエサの時間はきちんと起きてろよ家畜ぅ。」


兵士は私の顔にペッと唾を吐くと、乱暴にドアを閉めて去って行った。


私は顔に吐かれた唾を拭くこともなく、横になってまま寝落ちしてしまった。


「夕ご飯の時は起きて、なきゃ・・・。そうしな、きゃ、また、怒られ、ちゃう・・・。」


また怒られるのはヤダな~と思いながら、私は鉄格子から差す強い朝の日差しを浴びて、深い眠りへと落ちて行った。

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