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その1

登場人物


主人公

加藤マサキ 男性 50歳 身長165cm 体重65kg

趣味 模型制作、2輪、クレー射撃 など。

職業 地方銀行に30年勤務。



夕暮れ、何度見てもこの町の夕暮れは一際綺麗だ。

瀬戸内海に位置するこの小さな島は外界の五月蝿さを寄せ付けず、まるで水面で揺れる小舟のように静かにゆっくりと時は進んでいく。

マサキ「はぁ、それにしても今日も疲れた……でもこの景色を見るのも今日で最後なのかもな。」

私はそう言いながら両手に抱えたバックの荷物を落とさぬようにトボトボ歩き家に向かう。

そして木造二階建てのボロアパートが見えてきた。


マサキ「ただいま!って、何言ってんだか…もう誰もいねぇつうの。」

地方銀行に勤務して30年、妻は不倫の末に蒸発。

息子は非行に走り挙句には罪を犯して人様に迷惑をかけた。

何とか諸々の金銭は払うことが出来たが老後資金は手元から無くなり、多くの家財を売ってしまった。

そして私自信、生きる気力が無くなってしまった。


マサキ「さてと、さっさとやりますか、、、」

抱えたカバンをドサッと降ろす。中にはロープに大きな金具、ハンマーが入っていてそれを使い屋根に取り付けていく。


マサキ「よしっと、これで付けれた。あとは…」

ふと後ろを振り返る、仏壇には無き父母の写真がおいてある。


マサキ「あぁ、行く前に線香だけあげんとな。…母さん、父さん、すまねぇなこんな約立たずの倅で、もうすぐそっちに行くから…な…」


そう言うと目から大粒の涙が溢れ出し止まらない。

何故私ばかりこんなにも酷い仕打ちをうけるのか、私が何をしたっていうのか、そんな事を思うと怒りや悲しみで嗚咽が出てしまう。


マサキ「よしよし、もう行こう。グズグズしてると怖気付いて出来なくなっちまう。さっさとやろう、さっさと」


畳6畳の小さな部屋にだらんと下がったロープと踏み台を見た時に「あぁ私は今から本当に死ぬんだな」と最早後戻り出来ない崖の縁に立たされている気分になってしまう。


マサキ「ぐぐっ、以外に荒縄って絞めるの難しいな。」

新品で買った縄はスルスルと滑り中々上手く絞めれない。

そして、モタモタしていると踏み台から足を滑らせてしまった。


カタン!キュウ!!!

勢いよく台から落ちたが不幸にも首の骨は一撃では折れなかったようだ。ということはゆっくり苦しみながら死ぬんだな。そう私は咄嗟に思った。

マサキ「ガハァ!!! グギュギュゥ!!!クケヶ!!!ぐぇ…」

ニシニシと音を立て縄が閉まっていくにつれ、私の視界がぐるんぐるんと渦のようにくねり出す。

そして私はついに事切れた。


マサキ「………………………ん?あれ?ここはなんだ?」

目が覚めると全く見覚えのない場所にいた。

周りは霧におおわれ、空間全体の把握は出来ない。

とにかく私は出口を求めて歩きだす。

すると霧の中から巨大な真っ赤な門が現れた

沖縄の首里城の門のようでズラっと外壁が建ち並び門の向こうには大きな屋敷が堂々たる出で立ちで構えていた。


マサキ「何だこれは、何かの城か?…とりあえずこの門をくぐるのはやめよう。とりあえず別の道を探そう。」

そう自分に言い聞かせながら壁沿いにあるきだす。

しかし私は異変に気づいたのだ。

マサキ「おかしいなもう10分も歩いたが外壁の終わりが見えない…」

そして私はさらにあるき続けるが、全く終わりが見えない。

どんなに歩いても方向を変えても、ずぅっと同じ景色が続いていく。

マサキ「なんか、気味が悪いな。そうだ!左右でダメなら元来た道を引き返そう!そうだそれがいい!」

私は元来た道を引き返した、そして言葉を失った。


マサキ「なぜなんだ…」

目の前にはまたあの建物が、それから試行錯誤を重ねても結局アレが目の前に出てくる。


マサキ「これはもう埒が明かないな、よしアソコに入るとするか。」

でも実際怖かった。得体の知れない場所での不可思議な現象、恐らくはあの建物も普通ではないのは確実だったが私は勇気を出して門に入っていく。

するりと門をくぐるとそこには。




次回をお楽しみに…




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