〜殺し屋と家族の秘密〜
あなたはきっと、家族の愛を受けてきたと思います。
受けてきたからこそ、人を殺す主人公のイーブルに、共感できないかもしれません。
しかし、読み進めるにつれ、家族の愛に問題があった彼に、共感できるようになるかも知れません。
彼に少しでも、魅力を感じてくれたら嬉しいです。
第1投
「なかなかいけるかもな」
イーブル・アンダーソン。職業:殺し屋。
暗号名:S319。
彼は武器商人から主にクナイを買い、ターゲットを殺し、金を貰う。
血に染った彼の手には、いつだってクナイが握られていた。
“あの日”までは。
20XX年東京。
詐欺師やヤクザ、マフィアで溢れかえり、荒れ果てたこの街の一角の武器屋にイーブルは居た。
イーブルとガタイのいい男が話している。
男の名はウィル・ジャクソン。
「イブ、武器を売ってる奴はここらで激減した。お前に協力したとバレたら、組織に殺されちまうから。」組織というのは、街を現在の荒れた姿に変えた組織、「レッドコメット」の事だ。
イーブルとウィルは黙り込む。しばらくして、イーブルが口を開く。
「手軽に手に入る刃物はねえのかよ。」
ウィルはそれに、「1回包丁使ってみたらどうだ?」
と返す。
「1度使ってみる。」イーブルは頷いた。
翌晩、イーブルは、包丁を握り、ウィルは念の為、と
カッターナイフをもっていた。
イーブルはウィルを連れて暗い横道へ入っていく。
「シッ!」突然イーブルが言う。
聞こえるのは、傘を雨が打つ音だけ。
ウィルはイーブルを見てハッとする。
2人とも傘をささずびしょびしょなので、傘の音の発生源は2人ではない。
すると、今日のターゲットが右側の曲がり角から顔を出した。
ターゲットは拳銃を持っていた。
イーブルは忍び足でターゲットに近づく。
そして、なんの躊躇いもなく包丁を投げる。
しかし、包丁はターゲットから2cmほどそれ、
後ろのゴミ箱に当たった。
ターゲットはイーブル達に向かって発砲する。
イーブルは危機一髪避けたが、後ろにいたウィルに当たった。
ドサッというおととともに、ウィルは死んだ。
イーブルは、咄嗟にウィルの握っていたカッターを
取り、ターゲットに向かって投げた。
包丁やクナイにはない軽さだった。
カッターは見事ターゲットの左胸に当たって、ターゲットは死んだ。
イーブルは急いで傘を広げ、返り血を防いだ。
傘を閉じたイーブルは、ターゲットに刺さったカッターをぬき、ターゲットの屍を踏み、ウィルには目もくれずそこから立ち去った。
イーブルの家族のお話は、第一投以降で出てきます。
ぜひ、楽しみにしていてください。
※この物語はフィクションです。