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【F】

  ひとつ、昔話をしようか

  悪魔がそう囁いた

  振り向くな そこには何もないから

  今背中で煌めいたのは 君が砕いた夢の欠片

  今夜空で煌めくのは 誰かが砕いた夢の欠片

  打ちのめされた世界を追う程に

  傷だらけの僕の手にどんな意味があるのかを知る


ここは、賑やかなのにすごく静かだ。

ボーカル

ギター

ベース

ドラム

正常に流れる血液の音を、心臓の音を、呼吸の音を

意識しないのに似ている

ずしんっと、後ろからバスドラムが聞こえる

真っすぐに心臓を貫くみたいだ

油断するなよ

油断するなら寝首を掻くぞ

そう言ってる

でも、アッキーのドラムは

いつだって一番後ろからオレたちを守ってくれてる

とんっと向かって右側から軽い衝撃

きょーちゃんが背中合わせにぴったり寄り添う

肩越しに顔を見合わせれば

そこには笑顔がある

ありがとうきょーちゃん

いつも何も聞かないで

いいよって言ってくれる

気ままに見えて正確無比なリズムキープ頼りにしてる

そして

いつだって真央がいてくれる

自由だ

行こう

何も怖くない

二本のギターと、一本のベースが首を揃えて並ぶ

視線が一瞬絡む

ヘッドが高く掲げられる

手の甲に描いた、赤いキスマークをかざすように

振り下ろす

跳んだ


  ひとつ、昔話をしようか

  悪魔がそう囁いた

  振り向くな そこには何もないから

  今背中で煌めいたのは 君が砕いた夢の欠片

  今夜空で煌めくのは 誰かが砕いた夢の欠片

 

「でね、ゆっちは彼氏とグアムなんだって。ランランとはりょーはリゾバで北海道だって……ねえ、たあくん聞いてる?」

GWも終えて学校にも慣れて、ぼちぼち夏休みの予定も立てたい時期。

彼女の真美ちゃんのお喋りは可愛いけれど、聴覚を上滑りしていくだけだ。

付き合い始めたのは恭慶(やすたか)が予備校生で、真美ちゃんはまだ女子高生の頃。

真美ちゃんが忘れた共通科目のテキストをコピーしてあげたのがそもそもの始まりだった。その次の授業の時に

「これ、あの時のお返し(・・・・・・)なんですけれど(・・・・・・)

とやたら凝った包みのクッキーをくれた。

受験生としてそれはどうかと思うのだが、こちらとてお年頃である。

それがきっかけで何ともぬるいオトモダチ関係がしばらく続いた。決死の「付き合ってください」を「コンビニ行きたいので、ちょっと後で付き合(・・・・・・・・)って欲しいんだけど(・・・・・・・・)」と勘違いした恭慶は「うん、いいよいつもんとこでいいの」と安請け合いしてしまい、最初の痴話喧嘩になった。

そして現在。真美ちゃんは晴れて女子大生に、恭慶は二浪目を迎えた。

それでもまだ、彼女はこんな赤毛のバンドマン志望というもっとも付き合ってはいけない男と付き合ってくれている。

バンドの目印、左手の甲のキスマークが模様ではなくただ一人本物のキスマークであることは恭慶の数少ない自慢だった。

けれども。

たあくんは私の(・・・・・・)全てだった(・・・・・)けれど、たあくんにとっては、私は全てじゃなかったみたいだね」

別れ際、いつものように手の甲にキスが落とされる。

甘く食まれた。恭慶とのコトにおいて、一度だってそんなことはしたことなかったのに。

「真美のこと、どうか、忘れないで(・・・・・・・・・)ね」

真美ちゃんは、いつの間にかグレイの大人っぽいカーディガンがよく似合うようになっていた。

受験勉強の合間を縫っての夏祭りデート、合格祝いの春休みのお泊りデート、色々な事を経験させてもらった。

「ごめんね、もう行くね」

恭慶が一言も口を開かぬまま、自己完結した真美ちゃんが立ち上がる。

いつの間にか恭慶が支払うことが当たり前となったデートのお茶代、千円。

アルバイト先との往復が四百七十一円×二で九百四十二円。

占めて千九百四十二円。

これだけあったら、駅前のカラオケボックスのフリータイムに二日、通える。


 ちゃーっす、と指定のスタジオへ行くと、他のメンバーはもう揃っていた。

(こう)(すけ)(まお)央は壁に向かって座り込み、相も変わらず楽しそうにギターを弾いている。短いフレーズを追いかけっこするみたいに弾き合って、にしししし、と笑っている。何がそんなに楽しいのか、たまに問いただしたくなる恭慶であった。

椅子があっても、床に座ってる方が落ち着くそうで、二人の定番スタイルだ。その様子を少し離れたところで(あき)(よし)が見守っている。手元にあるのは学校の課題らしい。こちらに気づいて軽く手を挙げた。

各々チューニングを済ませたら練習開始。

ここはやっぱりいい。同じ中学の二年生から、浪人生と無職と、名ばかり大学生と、音楽専門学校生になっても同じFlemingでいられる。

 たとえインディーズデビューが来月に迫って尚、表題曲が書き上がっていないにしても。


 結局この日も曲は見えてこず。夜勤バイトを終えて帰宅したのは空が白む頃。

すぐに帰る気になれず、駅前の公園に立ち寄った。

恭慶たちが高校を卒業してすぐ再開発があって、駅前は軽く走れるコースになっていた。

こんな時間だというのに、ぽつぽつとランナーの姿がある。

ベンチにぼけらっと座って、しばらくその人達を見ていた。

あれ、と思ったのはその中に見知った横顔を見つけたからだ。

面白いと思って、しばらく斜め後ろを並走してみる事にする。

小声で口ずさんでいるメロディは恭慶の知らないもの。また知らない曲を作ったらしい。

すっぽり被ったパーカーのフードから零れ落ちる癖毛とTシャツの裾が捲れる度にちろりとのぞく白い生肌。どちらもスイングしているみたいだ。

ファンの子ら、見たら大騒ぎだろうな。

アイドル的なルックスで一部ファンから絶大な人気があるのはやはり航輔だが、全体に整っているのはむしろこちらの方だ。

「楽しそうやの」

後ろから声をかけると、そこで初めて気が付いたように、きょーちゃん?と叫び声に近い声が上がった。あ、わっと、転びそうになる。

「真央一人か。珍しいの。航輔はどうした?」

「秘密にしてる」

真央の答えは意外なものだった。

「内緒なんだけど、コーラス出来たらいいと思って。そしたら色々歌詞も遊べるじゃん。それにはまず弾きながら歌える体力だなって」

ランニングを終えてストレッチをしながら教えてくれた。

来月発売予定のミニアルバム。

恭慶たちのバンド名から取ってタイトルは【F】。併せて収録曲も全部Fから始まるタイトルにした。何徹もして苦心して作った曲を前に偉い人は

『じゃあ、表題曲を作ろうか』

そう宣った。以来、バンドは混迷を極めている。

「昨日、航輔がこんなのどうかって。今日中に返事したいんだけど」

差し出されたイヤホンからは、短いフレーズが大音量でリピートしている。

「いいやん、これ」

素直にそう思えた。

懐かしいのに、古びてない。独創的で新しいのに、親しみやすい。

それはフロントマンの航輔が歌詞で大切にしている

「難しい言葉を使わない。無くなってしまいそうな言葉に頼らない」

にぴったりだった。

それでも、何かが足りないのは明確で。

「薄っぺらいんだよね」

「そうなんだよな」

何処を探れば、必要な厚みが手に入るのか。手探りの一つがコーラスの追加だったらしい。

航輔は高温が綺麗で低音がノイズィで艶っぽい。反面中音部は迫力がないと言われやすい。

「楽器も同じように考えたらどうかの」

何の気ない恭慶の言葉に、ん?と真央が首を傾げた。

「だから」意見を普段求められ慣れていないので、うまく説明できない「音が、違うよ。航輔のギターと、真央のギター」

続けろ、と眼差しが言う。

普段おっとりとした彼に珍しく貪欲な眼差しだった。そうすると細いたれ目にぐっと迫力がつく。

「航輔のギターはカッカッカッカッて歯切れがいいけど、真央のギターはもっとまろい。ちょっと歪んで聞こえるけど、その分余韻まで丸くてやらかい」

「奏法の違いじゃなくて?」

「うん、もう音が違う。だから、その違う音をうまく組んだら、いいんじゃないかって。カッカッカッカッでジュワーンでベースはあくまで端正に、ドラムアッキーならばらばらの音をうまく包んでくれそうだし」

「良く、聞いてるね。驚いた」

真央は心底驚いたようだ。

「うん、まあ」

面と向かって褒められるのは面はゆい。

カッ、じゅわー、と真央は繰り返し呟く。何か思うところがあるらしく、また後で連絡する、と足早にその姿が見えなくなる。

 連絡は早くて、その三時間後。

微睡みをぶっ潰したのは、これからスターダムを駆けあがる男の声。

 「きょーちゃん聞こえる?聞いてる?ありがと!あんね、曲が出来そうなんだよ!」

思わず立ち上がる。どうやら、あのまま真央は航輔の家に直行したらしい。

「真央のギターを目いっぱい歪ませて、ぎゅわーーんって感じにしたら、これがノスタルジックな感じでいいんだよ!このまま行けそうだから、急なんだけどみんなで集まろう!じゅにじに駅前のカラオケ!来れそう?来れるよね?」

興奮して捲くし立てる航輔の声に一気に覚醒する。

「んでね、タイトルなんだけどやっぱり【four】がいいと思うんだよ!って、きょーちゃん聞いてる?きょ―ちゃん、きょーちゃん?」

昔から変らぬその内弁慶に、思わず苦笑する。

「わかった、わかった、十二時ね。大丈夫だから、もう少し寝かせて」

実はもう一通、携帯に着信があった。

でも、それは無視する。

もう、デートとカラオケでの自主練を、天秤にかける必要はない。

 ばいばい、真美ちゃん。

可愛くって、優しくって、最高にエロかった、恭慶の彼女の真美ちゃん。




  ひとつ、昔話をしようか

  悪魔がそう囁いた

  振り向くな そこには何もないから

  今背中で煌めいたのは 君が砕いた夢の欠片


 風が、酷く強く吹いていた。

 まるで高い壁の様に、俺の前に立ち塞がっている。

 前方に立つ三人までの距離がはるか遠い。

その先にある観客席はもっと遠い。

何でウケなかった。

ずっと温めていた曲をバンドメンバーに差し出したのは二か月前。

誰よりも音楽に向き合ってきた。

誰より理論も勉強してきた。

みんな、やってみよう、アッキーの曲も弾いてみよう、って受け入れてくれたのに。

好んで使うちょっと独特のコード進行も、

よく歌詞に選ばれている、夏も、夜も、雨も、全部組み込んだ。

なのに、届いていない感じがする。

酸素が足りない。何でだ、何でだ。何でだ。

観客席の熱が上がらない。

まだ曲の序盤だ。酸欠になるほどこの空間はあったまっていない。

畜生、息が出来ない。目がかすむ。何でだ。汗だろ。涙なんかじゃない。

落ち着け、落ち着けよ、俺。

指が冷たい。感覚がない。手、無くなっちゃった訳じゃないよな。

左手の甲を見る。

お揃いの赤いキスマークが描いてある。

まだ指も、足もついている。何処にもなくなってない。よかった。

ドラムスティックは、大丈夫だ。まだ握っている。

耳はどうだ。聞こえてるな。リズム隊はリズムキープが命だ。

同じようにどんどこ鳴らさなきゃな。

 何のリズム隊の相方ときたら、

(やっちゃったねえ)みたいな顔をしていつもみたいに超絶正確なリズムを刻んでいる。

にへらっと笑うとじゃかじゃか鳴らしながら観客席の方へ歩み寄る。

俺との距離がまた開く。

ステージの端、目印をつけて(バミって)ある所を綱渡りするみたいにぐるりと一周。

俺はこいつのこういう器用な所がちょっとだけ苦手だ。

もっと露骨に(大丈夫?)と不安げな顔をしているのがギターで、こちらは偶にフレーズが飛んでいる。こっちの心配してる場合じゃないだろう。

十七才の文化祭は、あの日一日だけで終わらなかった。

あの日のステージをきっかけに、俺たちはあちらこちらにデモテープを送るようになる。

ステージへの希求が、渇望があった。

皆が羽撃たきたがっていた。

ひとつひとつの封筒を丁寧に書いていたのはギターで印刷でいいじゃんと言う俺達をいつも厳しく言い諭した。

心が籠もっていないのはばれるよ、と。

ああそうだ。お前の言うとおりだったよ。

今の俺達の演奏に心は籠もっているか?もうばれてるだろう?

ついでに言うと、俺はギターのこういう生真面目で常識人で何だかんだ育ちのいいところが、ちょっと苦手だ。


何十通も送ったのち、目を止めてくれたのが、このライブハウス。

元々は滑空飛行機の格納庫だったという『ハンガードッグ』

河川敷に建てられた収容人数(キャパ)二百ほどのステージに俺達は度々立たせてもらうようになる。

そして今日。

今日は大事な日なんだろう。

興味を持ってくれたレコード会社の人が、聞きに来てくれているんだろう。

ここで上手く行けば、一気にメジャーデビュー、そしてグラストンベリーフェスティバルへと続いていく道が繋がるんだ。

ここみたいな、この河川敷の広大さがちょっと似てるかも、なんて冗談じゃなくて済むんだ。

いつの間にか二つ目のサビに差し掛かっていた。

相変わらず観客のノリは今一つのまま。当たり前だ。演っている本人が一番ノッてない。

それなのに、ボーカルは。

無心に、

愚直なまでに、

声を、音を、届けようと、前線に踏みとどまっていた。

少々長めの髪が首筋に張り付き、薄手のTシャツの背が汗で変色している。

背の低さに比例して線も細く、青白い肌に長めの髪はいっそ女性的と言ってもいい。

メンバーの誰よりも小さな背中が吹き付ける風によろめき、たまにふらついても。

それでも、自分は大丈夫だと。

ここを誰にも譲りたくない、と言うように。

こんな時だというのに、美しいと思った。

歌う彼は、何のお世辞でもなく、本当に美しいのだ。

束の間見惚れていると、不意に彼はマイクから離れた。

一瞬、静寂が訪れる。

ぎりぎりの危ういバランスを駆け抜け切って、場内にホッとした空気が漂う。

今の、一体何?

そんな曲が、俺の作った曲が終わったのだ。

地獄のような三分二十八秒が終わって、はっと息をつく。

本当ならここからすぐに三曲目、ポップな奴に行くはずだった。

色んなの作れますよっていうのを見せるつもりだったんだ。

ピックを振り上げようとするギターを制して、ボーカルがもう一度マイクに近づく。

「こんばんは、Flemingです」

大人達と一対一で話が出来ないくらいの人見知り。フリートークのMCだって他人任せ。いつだって誰かがついていてやらないと、まともに会話が成立しない。

それなのに、急場には堂々と場をコントロールする。

普段より低く、ゆったりと話す声が戸惑っていた場内の雰囲気を和らげる。

高音部は雲を割るように高く澄むのに、低音部では微かにノイズが混ざって少し色っぽい。

その声で穏やかに囁くように話されて、腰から力が抜けるのを感じる。

二言三言、短く喋ってマイクスタンドからピックを抜き取る。

同じ静寂でも、期待に満ちた静寂が、空間を満たす。

じゃあん、っとかき鳴らされる二つのギター。

飛び出してきた極彩色の旋律。

場内が一気に興奮に染め上げられていく。

あらゆる期待を一身に背負って、ボーカルが奔り出す。

行こう、一緒に。

いいよ、連れて行ってよ。

逸るボーカルに絡みつくように、じゃれつくように、ツインギターが鳴る。

落ち着けと、笑ってベースが律儀なリズムを刻む。

今までとは違う、祝祭に満ちた空間。

割り入るように、ハイアットシンバルを打ち鳴らす。

俺は、こいつのこういう音楽の神様に愛されたみたいなところが、結構苦手だ。


 二曲目でちょっと違和感を生んだものの、全七曲三十分ほどの出番は大盛上がりで終わった。

なんか飲み物でも買って来い、とハンガーステージのオーナーから千円札を一枚貰って、一番近く、と言ってもたっぷり十分は歩くコンビニへ。

何故か、ボーカルと二人で。

だって仕方ないだろう。アッキー行こうよ、と誘われたんだから。

こちらの思惑などどこ吹く風、ボーカルはドリンクのおまけ選びに夢中で

「ううーらべぺこが見つからないよー」

なんて悩ましげに唸っている。

持ち合わせの小銭を出した後は

「お茶が四つで四百八十円でしょ。んでオレのは百三十円で、アッキーのは九十八円で千円と八円出したから八百八円でおつりが二百円?」

その計算、(・・・・・)合ってるのか?(・・・・・・)

あれ、と首を傾げた姿は十九歳の無邪気そのもの。

はちでさんできゅうで、ととうとう指を折って計算し始めたその表情に、さっきまでの崇高なまでの美しさとか、荘厳さはなくていつもの航輔だった。

それでようやく、ごめん。と口に出せた。

「計算、合ってた?」

「いや、そうじゃなくて……ごめん。あの曲、盛り上がんなくて」

航輔は急に困った顔をする。

「あのさ、俺もう言わないから。曲作りたいとか、そういうの」

俺はバンドメンバーの事が、結構苦手で、ちょっと苦手で、少しだけ苦手だけれど

自分自身の事もかなり苦手だ。

独占欲が強く、ドラムの癖に前に出たい気持ちが強く、承認欲求も人一倍強い。

なのに、前に出ていいだけの才能はないのだ。

なんで?と航輔は朗らかに聞いてきた。

「また書いてよ。オレ、アッキーの曲好きだし」

え、と呆然とした声が漏れた。好き?俺の曲を?

「だって、アッキーの曲オレらのこと好きだ好きだ大好きだー!って言ってるみたいじゃんか」

「……別に、好きだなんて(・・・・・・)言ってねぇし(・・・・・・)

あはは、と航輔は心底楽しげに笑った。

「まだ内緒なんだけど。でもさ、いつか俺アッキーがオレたちの前に出てくるとこも見てみたいんだよ。前みたいにさ、弦楽器とかブラスバンドとか従えてさ、ドラムスティックじゃなくて指揮棒持って、かっこいいだろうなあ」

「メジャーなんなきゃ無理だろそれ」

じゃあ、約束しよう(・・・・・・・・)よ。オレ、メジャーになったらやろうよ。そういう曲作るから」

もう航輔の頭の中は次の曲に取り掛かっている。

俺も想像してみる。

どこか大きなステージ。バンドをぐるっと取り囲むオーケストラ。

俺はドラムの後ろから前へ進み出て、航輔の正面に構える。

普段は見えない三人の表情を一つずつ確かめて、皆いい顔をしてる。

タクトを振り下ろすと、一斉に楽器が鳴り出して

 「おおーい、アッキー!航輔―!」

土手の向こうから(まろ)ぶようにして相方とギターが、玉井と真央が走ってくる。

「レコード会社の人が、話がしたいって!」

俺達は顔を見合わせた。

飲み物を放り出して、代わりに俺の手を掴んで。航輔が走り出した。

つくづく小さな手だ。でも、マメが出来て指先が硬い。

馬鹿みたいに練習して、馬鹿みたいに音楽を愛している者の手だ。

俺は自分がかなり苦手で、

バンドメンバーの事が、結構苦手で、ちょっと苦手で、少しだけ苦手だけれど

同じくらいに全部を、愛しいと思っている。





  ひとつ、昔話をしようか

  悪魔がそう囁いた

  振り向くな そこには何もないから


 僕らのバンド活動が順調だったかと言えばそうでもなかった。宣言通りアッキーは吹奏楽部の部長として忙しかったし、きょーちゃんはきょーちゃんで卓球部のレギュラーだったからだ。それでも、一つ二つと曲が弾けるようになるのは嬉しかった。図書館でコピーしてきたtab譜はどんな教科のプリントよりもボロボロになるまで読み込んだし、誕生日に買って貰った中古のエレキギターは最高の相棒だった。そのうち航輔が曲の欠片みたいなものを出してくるようになり、僕らはそれを拙いながらも一つの曲として歌えるようになってきた。そんな曲も三つ四つ、五つ六つと増えて。

そして、バンド結成から二年半後。

僕らは高校二年生になっていた。

バンドにこれ以上ないくらいお誂え向きの、年がやってくる。

軽音楽部があるからという理由で僕と航輔は揃って近所の私立高校の普通科へ。本命の受験当日にインフルエンザにかかる不運に見舞われたきょーちゃんもまたしても同じ高校の、こちらは特進クラスに進学した。アッキーだけはもっと音楽をちゃんとやりたいから、と音楽科のある県外の高校へ進んでいた。

 そして今、僕は航輔の部屋の前にいる。

商店街の中の不動産屋の二階。駅前再開発の工事の音は今日も喧しい。

「航輔、開けるぞ」

躊躇いながら、襖に手をかける。

 「真央」

その中にあって、かすれ気味のその声は、それでも心地よく僕の耳に飛び込んでくる。

ただ、その声はひどく困り果てていた。

ジャージに半袖のTシャツという格好で布団の上に航輔はしゃがみ込んでいた。

生きていることに、ひとまず安堵する。

見慣れた四畳半を埋め尽くす沢山のCDと、同じくらいに散らばった文庫本。

「おれ、もう、やだ(・・・・・)……!」

そして、その間を埋め尽くすもっと沢山の手描きの楽譜。そこここでびりびりに千切れているのは、書きそこないの歌詞だろうか。

音に溢れたこの世界で、彼は櫂を失った小舟に乗っているみたいだった。

僕等は航輔の舟にはなれたけれど、櫂にはなれない。

僕等にとって、航輔自身が櫂だった。

一つずつ楽譜を拾い集める。どれも知らない曲ばかりだった。二年半弾いてるから、少しは分かる。手直しは必要だけれど、キラキラした宝石みたいなメロディーが幾つもあちこちに跳ねている。

「航輔」僕は、膝をつく。「文化祭に、出ないか」

諦めてなんか、やらない。

この舟がとんでもなく素晴らしい場所に辿り着けると知っているのに。

やめるという選択肢は、最初からない。それは航輔以外の三人の、結論だった。

櫂がないのならば、一緒に月夜の海に浮かび続けてやる。

「文化、祭?」

昏く濁っていた瞳が、急速に澄んだ黒を取り戻していく。

「そう、文化祭に一緒に出よう」

でも、と航輔は戸惑った様子だ。

僕はあらかじめ用意してあった紙を眼前に掲げた。

「部活じゃなくて、一般の部門で。そしたら、きょーちゃんもアッキーも、一緒に弾けるから」

航輔は完全に学校での居場所を見失っていた。

それでも一年生の内はどうにか通っていたが、二年生になってからは完全にアウトで新学期からの一週間、一日も通えていなかった。

軽音楽部が目的で入学した僕等だったけれど、それもまた航輔が居場所を見失う原因の一つだった。

学校が違うアッキーはともかく、特進クラスのきょーちゃんは滅多に部活に参加できなかった。だったら部活は部活と割り切って、と思ったが、バンドメンバーが変わると、途端に航輔は歌えなくなった。

歌詞が飛ぶ、音程を外すなんてのは可愛いもので、声はか細くなりギターにしたって指は全く動かず。そこそこ弾けるから、という理由で集まった部内バンドはあっという間に離れていった。

どうしたらいい、何がいけない。

藻掻けば藻掻くほど、上擦って。航輔と他の人との距離は開いていく。

人見知りで少々内弁慶、が、他人と目を合わせるのが怖い、になるのにそう時間はかからなかった。

「でも、真央。そしたら真央が」

いいよ、僕は言う。

「部活は別に辞めても。でも航輔。文化祭に出るなら、学校は行かなくちゃ駄目だよ」

うー、うん。と航輔はノロノロ立ち上がる。

中学生の内は『一番に近い位小さい』だった航輔は、一つ格上げして完全に『一番小さい』になっていた。低いところにある肩をグイっと引き寄せる。

「ほら、行こう。完全に遅刻だけど」

 

 文化祭に出る、と決めてから航輔は少しずつ安定していった。たまにお尻を叩かないと駄目だったけれど、学校も毎朝ちゃんと来たし、一週間遅れのクラスにもどうにか馴染んでいた。

夏休みの準備期間も学校に出向いていたようだ。勉強の方はよく知らないけれど。

 僕らの文化祭での出番は演劇部とチアリィーデング部の間の二十五分。五分ぐらいは移動でとられるし、セッティングにもやっぱり五分はかかるから、演奏は賞味十五分。

四人に説明して、今回はオリジナル曲はやらないことにした。

学校に出す書類があまりにもめんどくさくなりそうだからだ。不満げなメンバーに僕は妥協案。指をびしっと一つ突き出して

「セッティングの時に一曲だけAサビを弾こう。うんとガツンと」

航輔がニヤッと笑う。

「お楽しみはこれから、って奴だな」

きょ―ちゃんが嬉しそうに言って。

「ばっちりいい音録っておくからな」

本番は出られてもリハーサルには出られないアッキーがカチカチとスティックを打ち鳴らす。

先生方が喜びそうな一曲に、去年の流行曲。

絶対にやりたいと満場一致で決まった僕らの大好きなバンドのコピー曲。

そのバンドが影響を受けた邦楽ロック。

そのまた一世代上の代の洋楽ロック。

グラストンベリーフェスティバルでも演奏された曲まで辿り着く。

それは僕等の系譜を辿るみたいで、酷く楽しかった。

この頃にはグラストンベリーフェスティバルにいつかは、と言うのは僕等の共通認識になっていた。


そんな僕らの、初舞台が始まる。

そのはずだった。


(ちょっと巻き気味で自分の分の楽器チューニングして。そのあと、航輔の分も頼んだ)

こういう場に一番慣れているアッキーが、言葉少なに僕らに指示を出す。

一昨日の予行練習で浮ついた雰囲気の中練習していた運動部が動きを止めて、代わりに何処かのクラスの横断幕をずるりと落とした僕らのキラーチューンが何処かあくせくと終る。

真ん中にいるはずの航輔の姿が、まだない。

直前までクラスの模擬店の当番があるから、ぎりぎりになると思う。

でも、絶対に時間までに間に合うから。

 (航輔来たら二曲目から)

 きょーちゃんが神妙な顔で頷く。

僕はパイプ椅子の上のギターを手にした。調整の事は分からないから、音がずれていないかだけ確かめる。

三人で顔を見合わせて、一つ呼吸を入れて。二度目の短いイントロを弾く。

同時に、体育館のドアが横開きに開く。

青い、空が見えた。



  ひとつ、昔話をしようか

  悪魔がそう囁いた

 

後ろのドアから、航輔が歌いながら走ってくる。


  振り向くな そこには何もないから


演出だと思ったのだろう。観客からわあっと声が上がった。

ステージへの階段を、二段飛ばしで駆け上がる。

上品な丈のスカートがふわりと舞い上がり、中でたくし上げた臙脂色のジャージがちらりと覗いた。

「悪い、遅れた!」

航輔は何というか、すごく愛らしいメイドさんだった。

そうだ、航輔のクラスの模擬店は喫茶店。

二日目の午後ともなると、これ位の緩みは許容範囲になるらしい。

片手に持っていた金髪のかつらをぶん、と放り投げて、女子の声でまた一つ歓声が上がる。

「このまま続けて!いいから!」

赤い口紅だけを左手の甲でぐいっと拭い、航輔が鋭く言い放つ。

僕らのロゴマークが、『フレミング左手の法則』のポーズに、赤いキスマークになるのはこの日から。

声変わりをしてもまだ高い声が、今度こそ全開で放たれる。

いっそ暴走しているのではないかという程の大音量。

僕らはそれぞれに応じて、短く畳むはずだった一曲目を続ける。

もうフレーズは耳だけじゃなく体にも馴染んでいて、何処にいたって同じように弾ける。

心地よくせり上がってくる鼓動が曲のBPMと重なっていく。

決して多くを望まれなかった。期待もされていなかった。

それが少しずつ、熱を、イロドリを帯びていく。

そこかしこで顔を見合わせてふわっと、花が咲いたようになる。

自然と頭上で掲げられる手が、oi!oi!と前に振られる手が、ああ、フレミングのポーズだ。

さっきまでの不安はどこへやら、すっかりバックバンドと化した僕ら三人は視線だけで微笑み合う。

みんなの視線の先、恍惚とした表情で歌う航輔の姿。

目に灼き着いて離れないのは、左手の甲の赤い痕跡。

ああ、いいな。

歌うのって、まるで祈るみたいだ。

いいだろう、うちのフロントマンは、すごく。

胸の中でみんなに向かって盛大に自慢しながら、僕らは初めての名乗りを上げる。

「こんにちはFlemingです!今日は楽しんでいってください!」




  ひとつ、昔話をしようか

  悪魔がそう囁いた


 声出し、と言うのを知っているだろうか。

「光中ファイオ、ファイオ、ファイオ、光中ファイオー」

簡単に言うならば、練習中の応援だ。

決して強くはない市立中学校の卓球部。それでも夏の大会の前には先輩たちを鼓舞するべく、こうして後輩たちが一列に並んで後ろから声を出すのだ。

「光中ファイオ、ファイオ、ファイオ、光中ファイオー」

その中に一つ、やけに澄んだ声が混ざっていた。女子の声じゃなくて男子の声。でもあまりに伸びやかな高い声。

持ち主は誰だろう。横一列を眺めたら答えはすぐに分かった。

列の中でぴょこんと一つへっこんだ頭。

(やなぎ) (こう)(すけ)

幼稚園から小学校、中学校とずっと一緒の幼馴染。

 小学校の時はクラスが別々で、中学校で再会して、そして何となく一緒に卓球部を選んだ。

かっこん、かっこん、かこかっこん、と少しずつラリーの音が速くなっていく、

「光中ファイオ、ファイオ、ファイオ、光中ファイオー」

ピンポンの音に煽られるように、航輔の声が鋭さを増していく。

「二年もっと声出せー」

わかってる。もっと大きく声を出してほしい。

視線に気づいたのか、航輔が小さくニヤッと笑った。

そして、すうっと息を吸うと、声を張り上げた。

びわん、と耳が震える。

何事が、とほかの部員が見守る中で、一番に近いくらい小柄な航輔が、気持ちよさそうに声を出す。僕も同じように、声を出した。

先に変声期を迎えた僕の声の方が、少し低い。

もっともっと、大きな場所が欲しい。こんなところじゃなくて。

航輔の声だけを。

そして傍でそれを、ずっと聞いていたいと思った。

 夏の大会は案の定一回戦で負けて、あっさりと代替わりをした僕たちは、自然と一緒に居る時間が増えていった。

ランニングはいつも最後尾で、列からギリギリ離れない所。小声で歌いながら、僕らは駆けていく。

それは時に校歌であったり、航輔が好きだというアイドルソングだったり、合唱コンクールの課題曲であったり、昔見た幼児アニメの主題歌だったり、本当に様々だった。

いつも航輔が主旋律を歌って、僕は適当に低音部を作って歌ったり、二部合唱にしたり、メロディーを歌ってみたり。

僕等は卓球台に向かっているよりも、後ろでしゃがみ込んでいる時間が長くなって、外練習の時にはでたらめな楽譜を靴の先っぽを削りながら地面に書くようになって。

どんどんそれが楽しくなって。

 そんなある日の事だった。

()()―!」

廊下の向こう側からとんでもなく晴れやかな声が聞こえてきた。それは廊下を歩いている同級生たちが、びっくりして振り返るほど。

「真央真央真央―!」

相変わらず頭一つ小さな航輔が、こっちへ向かって全力で走ってくる。

普段は真っ白な顔が、耳まで上気している。

がっと首を締めるぐらいの勢いで航輔が掴みかかられる。

「おれと、バンドを組んでくれ――――!」

両手でぐちゃぐちゃになるまで握り占めた雑誌。

「それで、これに出よう!きっとめちゃくちゃ、気持ちいいから!」


 ストンヘンジを辿ったずっと先。セント・マイケルズ・レイラインの真っただ中。

小高い丘陵を埋め尽くす人、人、人。

数えきれないほどのテントと、翻る七色のフラッグ。

そして、ぽかん、と口が開いてしまう程に、青い空。

グラストンベリーフェスティバル。

世界最高で最大の、音楽フェスティバル。


僕等が無謀さを含めてそれをちゃんと知るのは、ずっと先の事。

けれど、根拠なく思えたんだ。わかったんだ。

遠い外国の青い空に向かって吼える、航輔の横顔を。

「うん、いいよ」

航輔がぱっと笑顔になる。

この光景は、きっと見える。

お願い(・・・)だから、連れてって(・・・・・)よ」


 僕らは幼い頃みたいに連れ立って、もう一つの目的地に向かった。手こそ繋がないけれど、スキップみたいな駆け足みたいな、それはまるで互いの誕生日の後に貰ったプレゼントで遊ぶ約束をしたその日のような。

僕の背中には、とっておきのプレゼントがあったしね。

僕らの住む商店街から少し離れたところにあるアパート。

空き店舗だらけの商店街を抜けた先。その二階に向かって僕らは初めての二重奏を響かせる。

「「きょーちゃーん バンドやろう―」」

僕等のもう一人の幼馴染はいつもみたいに窓をガラッと開けて何も聞かずに、おう、っと笑ったんだ。

きょーちゃんこと玉井恭慶(たまいたかみち)。アパートの駐車場はいつも僕らの遊び場だった。

「んで、何やったらいいの?」

同じ卓球部。ただしこちらはひょろっと高い身長を活かしてのレギュラーで、万年補欠が早くも確定している僕等とは大違いだった。

「おれがボーカルで真央がギターだから、きょーちゃんはベースだね」

僕の背中には父さんのおさがりの古いギターがあった。

いいよ、ときょーちゃんはまるで教科書忘れたから貸してくれって頼んだ時みたいに気さくにOKしてくれた。

航輔が持っていた音楽雑誌にはギターコードが巻末に載っていた。弦が危なっかしく切れそうな古いギターを順繰りに回して、早速僕らの初めての練習。

ベースはコードを押さえないから、きょーちゃんはドレミファソラシドを繰り返し

航輔と僕は一つずつコードを押さえていく。

A、C、Eと順調に進んで

「これ、むずくない」

「ってか指、指つるわ」

Fのコードに僕らはぶつかった。

とにかくいっぺんに、沢山の弦を押さえなくちゃいけないというのが難しい。

少し手を傾けると弾きやすいというのを探り当てて、ようやっと二人とも抑えられるようになった時には思わずため息が漏れた。ずっと押さえ続けていたから手が痛い。卓球のラケットだってこんなに握った事はなかったから、掌が真っ赤だ。ふうふうと息を吹きかける僕らに

「なんていうか、あれに似てるな、理科のあれ」

きょーちゃんが左手を三方向に伸ばして呟いた。


 ボーカルと、ギターと、ベースが見つかって後一人。

バンドにはキーボードかドラムが欲しいところだ。

あてがある、ときょーちゃんが言って僕らは翌日、彼のクラスに向かった。

佐藤(さとう) (あき)(よし)

吹奏楽部でパーッカッションを担当している彼に、代表できょーちゃんが事情を説明する。

「それで、どうかな。いっしょに、バンド、して、くれない、っかな」

ひとつひとつ、半分涙目になりながら、航輔が懇願する。

去年クラスメイトだったみたいで、まるっきりの初対面ではないらしい。

それでもほとんど絡んだことのない相手には声がかなり硬い。

小さい頃からかなり内弁慶の航輔。

あの、すこんっとする気持ちのいい声を聞かせてくれたら、音楽をする人ならたちどころに、虜になると思うのに。

「わかった。部活優先になるけど、それでいいなら」

予想に反して、彼は了承してくれた。やった、と航輔が小さく叫び、きょーちゃんもほっとした顔をする。

「あの」僕は尋ねた。「なんで……本当にいいの?」

えーと、と僕とは完全に初対面の彼に「渋谷。隣のクラスの渋谷(しぶたに)()()」と短く自己紹介。

「俺、来月から部長なんだよね。部長、マーチングだと指揮者(ドラムメジャー)だから。パーカス、触る時間が欲しいんだよ」

 僕はすっかり忘れていたし、航輔もきょーちゃんもそういえば居たかも、くらいだったけれど、僕らは同じ幼稚園の出身だと後に判明する。

僕らのバンドのドラマー、アッキーこと佐藤晃吉の誕生だった。

 バンド組むならまずはバンド名決めようぜ、とリーダーっぽくきょーちゃんがいい、呼びやすいのがいいなあと、アッキーはドラム代わりの漫画雑誌をドラムスティックで叩く。何か三つの音のがいい、と航輔は最近お気に入りのバンドに準えて呟く。

  Fコードで詰まった初めての練習と、その時のきょーちゃんの一言で僕らのバンド名は決まる。

Fleming―――フレミング



  ひとつ、昔話をしようか


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