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かつて英雄と呼ばれた男は  作者: 水無月 霊華
第一魔法学院 
16/23

兄妹の返答

 まだ夜も空けていない朝早い時間。

 そんな時間に目を覚ました俺は、昨日の事を考えながらベッドでボーッとしていた。


(昨日の黒い封筒、夢だったとかないかなあ。まあ、ないよなあ。………はあ。もうここは覚悟を決めるべきだよな。この時のための準備も整ってるし、あとはあいつらに気付かれないように過ごせばいいだけだ。)


 俺は一度目を閉じて、覚悟を決める。


(こういう時は、身体を動かすに限る。前世のようにはまだいかないが、最近はそれなりに剣を扱えるようになれたしな。)


 そう思い立ち、外に出ると、俺はこの三年で使えるようになった転移魔法を発動し、森のいつもの場所へ転移した。


 邪念を振り払うように数分間の黙想をし、ゆっくりと剣を構える。


「…ハッ!!」


 その一振りは、何時もよりも重く感じた。

 俺は太陽が昇るまで、ただ無心で剣を振り続けた。




✽✽✽



 朝食を食べた後、俺はレオンとエミリに黒い封筒が届いた事を伝えた。


「そう。」

「そっか!」


 返事は俺の思っていたようなものではなかった。

 というか、とても軽い。どうでもいいという感じが滲み出ている。

 黒い封筒と言えば、世界中の子供達の憧れと言われるものなんだけど…。なんでこんなに興味なさそうなんだろうか?


 俺は首を傾る。

 そんな俺の様子に気づいたレオンが言葉を付け足す。


「だって、僕は兄さんと一緒にいられるならどこでもいいんだ。それが偶々第一魔法学院であったというだけだ。だから兄さんが行くなら僕も行くし、行かないなら僕も行かない。」


 レオンはそう告げると、最後にあっ!と付け足した。


「それに兄さんは第一魔法学院があんまり好きじゃないでしょ?だから僕もあんまり好きじゃないんだ。エミリも同じだと思うよ。」


 俺はとっさにエミリに顔を向けると、隣でうんうん頷いていた。


「・・・そうか。」


 どうやら俺は二人にとても好かれているらしい。嬉しいけど、何か二人の人生を背負った気分だ。

 俺が少し途方に暮れていたとき、セイン母さんから注意が入った。


「三人共、お話はもうやめて、第一魔法学院に行く準備でもして来なさい。貴方達が受け取った手紙には明日の早朝に迎えが来ると書いてあったでしょう?時間がそんなにないんだから急ぎなさい。」

「あ、はい。…………二人共行くか。」

「うん!」

「うん。わかった。」


 俺はセイン母さんやエミリ達の声を聞きながら、手紙の内容を思い返す。

 

 明日の早朝に迎えが来るなんて書いてあったか?……うーん?思い出せないなあ。………まあ、いいか。それよりもエミリたちの準備が終わるまで暇だな。



 本でも読んでよう。




✽✽✽



 それから一時間後。

 エミリたちの準備が終わると、いつもの通り修行を行う。


「二人共。今日は今までの復習をしようか。明日からは修行の時間をとるのも難しくなるだろうからね。」


 森に着く前に修行内容を二人に伝える。

 

「じゃあ私は火魔法の中級を練習するね!」

「僕はいつも通り精霊言語を勉強してるよ。兄さんは森に火が回らないようにエミリについてあげて。」


 エミリとレオンの答えに俺は頷く。


「ああ、分かった。レオンも分からない所があったらちゃんと質問するんだよ?」


 最近エミリを優先しがちなレオンに釘を刺すことも忘れない。ほっといたら一人だけで黙々と勉強して、すべて自分で解決するからな。

 

 それから少し歩いて、練習場に着いた俺達はすぐに修行を始めた。


 


 その後、時間になると3人で家に帰り、暫くはお預けになるだろう家族全員揃っての時間を普段通りに過ごして一日を終えたのだった。








 


 

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