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かつて英雄と呼ばれた男は  作者: 水無月 霊華
第一魔法学院 
15/23

時間の流れ〜始まりの時〜

最新話を投稿しました!!

リアルが忙しく、中々小説に手をつけることができませんでした。

まだリアルが落ち着いていないので、これからも亀の歩みでいくと思いますが、どうか暖かな目で見守ってください!!


 あれから時が経ち、三年後。

 リンゼ村。森の奥。


「あ!!お兄ちゃん!今の見た!?中級魔法撃てたよ!」

「うん。ちゃんと見てたよ。もう中級魔法が使えるなんてエミリは凄いね。」


 俺がエミリの頭を撫でながら褒めると、エミリは満足そうにえへへと笑って大きく頷いた。


 本来なら、十二歳で中級魔法を使うのは並の精神力と体力では無理だ。 

 だが、その面で言えばエミリは化物クラスだった。


 三年前、ステータスを渡された時、エミリには火魔法と光魔法。レオンには水魔法と精霊魔法師の才能がある事が分かった。


 これに俺の両親は大いに慌てた。

 俺が魔法を使える事は元々分かっていたが、それがエミリとレオンもなんて思いもしなかったのだろう。

 俺は幸いにもなかったが、本来なら魔力を多く持ち、何かの魔法適性がある子供は、必ず魔力暴走をおこす。

 その点で言えば、レオンの魔力はそこまで多くなかったが、レオンの場合は魔力よりも、適性の方に問題があった。

 精霊魔法師。精霊に愛され、精霊を愛す者。愛された精霊の力を借り、その属性の魔法を操る者。知られている限り、世界に今現在は五人しかおらず、とても珍しい希少な存在である。


 そしてレオンとは違うが、エミリも希少な存在だった。

エミリの魔力量は千を越えている。それに加えて光魔法は勿論のこと、ステータスの称号に炎王(ほむらおう)の加護があったのだ。火魔法を司る神の加護が……。

 


ここまで言えば分かってもらえただろう。

二人は、下手をすれば世界をも滅ぼせるかもしれない力を持ってしまったのだ。


だが、力の使い方を教えようにも、両親は精霊魔法など使えないし、火魔法の適性もない。



そこで、立候補したのが俺だった。



「兄さん?どうしましたか?」


 考え込んでいた思考を、レオンに呼ばれ現実に戻す。


「うん?どうかした?」

「いや、ちょっと聞きたいことがあっただけなんだけど…。」


 俺は遠慮がちに尋ねてくるレオンに笑顔を向ける。


「ああ、そうなの。どこだい?」

「えっと、ここの精霊語学の部分が分からないんだけど。」

「ああ。ここはね、『精霊は精霊魔法師の魂を見る。よって常に清廉で強くあれ。』って書いてあるんだよ。」

「そっか!だからこの次が『魂を見るのは精霊魔法師だけではない。』って書いてあるのか!理解できたよ!ありがとう兄さん!!」


 お礼を言いながら、もといた場所に走っていくレオンを笑顔で見送る。


 レオンは成長した。3年前はエミリと同じ活発で元気のいい子だったが、今は落ち着いた雰囲気を持った知的美少年になっている。

 

 精霊魔法師は色々な事を学ばなければいけない。

 それこそ、普通の魔法使いが学ぶような呪文を唱える為の魔法語学やその使用方法。それに加えて、精霊と会話する為の精霊語学など多岐にわたる。


 それにレオンは、精霊が清く正しい者を好むと知ってからは、なるべく自分の感情を抑え、常に公正な判断を下せる正しい者になれるように訓練し始めた。

 

 昔と違い、あまり甘えてくれなくなった事は悲しいが、これがレオンの道なら俺は何も言わないようにしている。


 それに、レオンとエミリの教師役は全て俺が務めていることもあり、俺自身も全ての魔法学や精霊学を修得しなければならず忙しかった為、ニ人をあまり気にかけることもできなかった。


 まあそのお陰で、今はこうしてずっと二人と一緒にいられるからいいんだけどな。



 俺は軽く笑顔を浮かべると、二人を見守りながら、片手に本を持ち、それを読み始めたのだった。



✽✽✽



 その日の夜。

 夕食の後、エミリとレオンを寝かせた俺は、セイン母さんとエミリオ父さんに今日の話をしていた。


「イン。二人の調子はどうだ?」

「問題ないよ。エミリは中級魔法なら詠唱短縮で使えるようになったし、レオンも精霊言語を大体は読めるようになったから。逆に俺が追い越されないか心配なぐらいだよ。」

「そうか。俺の子供達はみんな優秀でお父さんは嬉しいぞ。」


 そう言ってがははと笑うエミリオ父さんに俺は笑顔を向ける。


「それはそうと、今日はなんで俺だけ呼び出したの?」

 

 そう。俺は一人だけ、夕食後にここにくるように言われたのだ。ただ今日の事を話すだけではないはずだ。それだけなら、エミリとレオンがいても構わないはずだから。

 俺は二人をじっと見つめた。何か嫌な予感がする。


 そんな俺の視線に根負けしたのか、セイン母さんは苦笑すると席を立ち、手に何かを持って戻ってきた。


「今日、これが届きました。」


 そう言って、セイン母さんが机の上に置いたのは、三通の黒い封筒だった。


「・・・・・。」


 俺は驚きで固まった。

 その封筒に見覚えなかった。だが、聞き覚えはあった。

 これは、第一高度魔法学院への入学招待状。俺を探すためのあいつらの罠。逃げることはできない、絶対の罠。


 俺は震えそうになる身体を無理矢理押さえ付け、三通の黒い封筒に手を伸ばした。


 ゆっくり、慎重に、黒い封筒を開く。

 そして、書いてある文章にしっかりと目を通す。


『インシオ・フレンシー。貴方に、ムガル帝国皇帝の勅命により、第一高度魔法学院への入学を命じます。』


「は、はは。」


 本物。しかもあの神の言葉通り、皇帝の勅命つき。もう空笑いしか出てこない。

 俺はそのまま黒い封筒を握り潰したい欲求を押さえて黒い封筒を机の上に戻すと、セイン母さんとエミリオ父さんにもう休むと伝えて、そのまま部屋に戻り、ベットに倒れ込んだ。

 


「…………もう答えは決まってる。その為の最善の準備もした。でも、どうせなら黒い封筒なんて来ないで欲しかったな……。」


 俺はため息をつくと、ベットに潜り込んで、そのまま目を閉じて眠りについたのだった。

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