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第一章のⅢ・家族会議Ⅰ

第一章のⅢ


「父さん、それ本気でいってるの!?」

「そうですよ。わざわざ軍に入れなくても。ウチで正規に雇えば問題なく飛行機に乗らせる事ができるんですから。折角息子を軍に取られずに済んだと思っていたら、娘が自分から入るといい出すなんて、母親としては納得できません」

 やっぱりなぁ。予想通りの反応に、正治は心の中で大きなため息をついた。

 妻と上の娘の反対は想定内だが、息子と頼みの綱である父親(翔子達の祖父)の反応もイマイチである。正治はこの家族会議が長くなるであろう事を覚悟した。

 会議はなんだかんだで昼食時まで始まらなかった。皆それぞれ仕事を抱えていて、簡単には抜けられなかったからだ。

息子の将一は橘戦闘機設計部にいて、『99式局戦』や転換生産している他社製機体の性能を高めるための改良点を見出しては図面に起こしている。まだまだ未熟だが、センスは正治より上かもしれない。

 上の娘である正恵は経理部に所属し、設計も含めた経営全般に忙しい正治に代わって事務方を取り仕切っている。そのため将来的には将一ではなく正恵が経営を継ぐのではといわれている程だ。

 父正太郎は80に手が届こうという歳になってもなお活力に満ちあふれており、工場の方で若手従業員に対し、熱い指導を行っている。時には正治と同世代の古参従業員ともケンカ=工作や在庫管理に関する口論をする程だ。

 こんな父と正治、そして息子の将一とでまとめ上げたのが『99式局戦』である。そのため各々が『99式』の事を我が子のように思っており、実の子と同列に扱って口ゲンカになったりしている。

 妻のみち恵は業務に一切関わっておらず、せいぜい事務所のお茶くみをするくらいだ。しかし元々小学校の教師をしていたため教養はあり、しつけも厳しい。豪放といえば聞こえは良いが、割と大雑把な性格の正治を人の前で叱りつける事(しかも些細な事)もしばしばなので、主として若い従業員からはひそかに恐れられている。本当は陰ながら夫をたて、子供に優しい古き良き母親なのに。

 と、他愛ない、もしくは仕事がらみなどでケンカは日常茶飯事ながらも、普段はとても仲の良い立花家であった。

 しかし今回は数年に一度の大嵐が吹き荒れそうな感じである。

 がこの嵐を耐え抜き突き進まなければ、穏やかな青空は見る事ができない。ので正治は意を決して一歩踏み出す事にした。

「お前ぇらの気持ちも分かる。俺だって翔子が嫌いで家から追い出すちょうどいい方便が見つかったなんて思っている訳じゃねぇ。誰が好きこのんで可愛い我が子を危険な所に送り出すもんか。だがな、ウチに置いといてもウチのためにしかならねぇ。でもこの女子航空隊ってヤツに入れば、他の人、更には国の役にも立てそうなんだ」

 そういうと正治は先程翔子にも見せた書面を広げて見せた。

「この書面だけ見れば女子航空隊が新設されて、それに伴い隊員を募集するって事が大雑把に書かれているに過ぎない。がこっちの書類の方をよく見れば、そうは簡単に戦場に送り込まれる事はねぇみてぇだ」

 今度は隊員募集に関する詳細が書かれた冊子をテーブルに投げ出した。

 この冊子はポスターとセットで各自治体などに配られ、ポスターに食い付いた者に担当者が冊子を見せながら細かな事を説明をし、本人のやる気を確認するように指示されていたものだ。第三者=担当者を介する事により冷静さを取り戻させ、興味本位の志願希望者をふるいにかけるために。

 翔子も含めた家族一同が頭がぶつかるくらいに寄せ集まって、冊子の中身に目をやる。翔子もこちらは見てなかったのだ。

 将一が代表して、書かれている項目を読み上げた。


 兄:「応募資格:心身共に健康で、女学校卒業程度の学力を有する女子。尚健康状態を示す診断書が必須」

 姉:「まあこれはクリアしてそうねぇ。風邪なんかここ何年も引いている様子ないし、小さい頃にはしかや水ぼうそうなんかはかかってるから、感染する心配もないだろうし。学力の方も私のお古の教科書なんか見てたくらいだから、まあ大丈夫でしょう。覚えていればだけど」

 翔:「覚えてるよぉ。勉強自体は嫌いじゃないもん」

 母:「ならなんで女学校に進んでくれなかったのかしらねぇ」

 兄:「配属先:空軍茂原基地、ないし成田基地を根拠地とする帝都迎撃専門部隊。部隊任務上、他の基地を利用する事はあっても、沖縄を含む本土以外の基地に異動する事はない。尚操縦士は全て女子だけで構成される」

 母:「これって戦争には行かないって事?」

祖父:「まあ現時点では大陸とかに行かされる事はないだろう。なにせ帝都迎撃専門部隊って言うくらいだからのう。もっとも東京を守るためには戦うという事でもあるから、戦死の可能性が無い訳ではないが」

 姉:「それより東京が攻撃される事なんてあるの? 外国の飛行機って、そんなに長い距離を飛べるのかしら」

 兄:「万が一、って事だと思うよ。東京周辺の基地に防空専門の部隊ができたっていうから。防空体制はしっかりしているから安心して暮らしてくださいってアピールしたいんだろ」

 翔:「って事はウチの『99式局戦』が使われるって事だよね」

祖父:「そんな単純な話ではないわ。三菱や中島でも迎撃専用機を作ってるという話も聞くし、川崎の液冷機はドイツのエンジン使って1万mで戦えるものを作っているらしいし。ウチも後継機作らんとまた転換生産のみに戻っちまう」

 翔:「三菱や中島のってウチのより強いの?」

 兄:「そりゃあ後から出てきた方が強いに決まってんだろ。『99式』はコンパクトにまとめられたが故の性能だからな。より強力なエンジン積んだり、革新的な機体設計をされたらあっさり抜かれちまうさ。そうならないために『99式』は改良してるし、次世代機の構想も頭のここにはできている。もっとも思い通りのエンジンが出来てくれればの話だが…」

 母:「それより副次的任務の『慰問飛行』って何なの? 主任務の帝都防衛っていうのなら私にも分かるけど、ヘンな事させられるんじゃないんでしょうねぇ」

 兄:「その辺は大丈夫だと思うよ。後に書いてあるけど、各地で行われる航空祭等での展示飛行って」

 姉:「その辺は翔子は適任かもね。無駄に飛行技術だけはあるみたいだし」

祖父:「うむ、操縦に関してはワシらが叩き込んだからのう。太鼓判を押しても良い」

 母:「ちょっとお義父さん。そんな危ない事までさせていたんですか? 私はてっきり普通に飛ぶ事だけさせていたのかと」

祖父:「ワシらにとっては、そっちの方が普通だったからのう。戦闘機なんだから、多少の負荷をかけた試験を行わんと納品できんし」

 母:「冗談じゃないですよ。私は初めて正治さんに乗せてもらった時、あまりの動きに怖くて気持ち悪くて、もうコリゴリと思ったんですから」

祖父:「でもその後も乗ってなかったかの?」

 母:「それは2人乗りの機体で、重しが必要だといわれたからで、その代わり危ない飛び方はしないよう口を酸っぱくしていいましたから」

 兄:「でも母さんが乗せられていた機体って練習機や偵察機で、ウチの売り物じゃないんだよ。隣の木更津空に修理頼まれただけのヤツで」

 母:「そうだったの!? だったら無理して手伝わなくても良かったんじゃない。何かものすごく損したみたい…」

 翔:「お母さん、そんなに飛行機嫌いだったの? たまに飛行機乗って帰ってくると楽しそうだったから、てっきり好きだと思ってた」

 母:「それはのんびりとした遊覧飛行だったら気持ちいいですよ。でも最初にあんな曲芸飛行みたいな事をされたら、またふざけ半分でされるんじゃないかと、内心ヒヤヒヤものでしたから」

祖父:「あの日の事は覚えておるが、多少上下左右に振っただけで、そんなに激しい機動はしてなかったと思うけどのう。何せあの頃の飛行機は今の物と比べると、何とか飛んでいるといった感じだったし、正治も飛行資格取りたてだったから、そうそうムチャな機動はできんかったはずだし」

 姉:「それよりお母さん。戦闘機と練習機の区別もついてなかったんだ。ウチ『橘戦闘機』って戦闘機屋なのに…」

 などなど、かなりの時間正治以外の家族は、正に角突き合わせた状態で、女子航空隊隊員募集に関する詳細の載った冊子に目をやっていた。途中話はかなり脱線していたが、目だけは冊子の内容を追っており、少しでも気になる項目や文言が含まれてないかチェックしていた。

 その様子を1人蚊帳の外で見ていた正治が、最初とは随分空気が変わったと判断し、そろそろかと口を挟んだ。

「おーい、そろそろいいかぁ」

「何よ父さん。今までずーっと黙ってて『そろそろいいかぁ』って? みんなで翔子の将来について話し合っていたのに、その話を持ってきた当人が話に加わってないんだから。責任感ってものが見当たらないにも程があるわよ」

「お、今『翔子の将来』っていったな? それにさっき翔子が曲芸飛行について『今すぐ出来そう』といった時、正恵、お前は適任ともいったよな。つまり翔子の能力を認め、女子航空隊に向いてると無意識に判断したわけだ」

「ちょっと揚げ足取らないでよ。決して断言した訳じゃないし、まして入隊とか認めた訳じゃあ…」

 ここが好機と正治が放った言葉に正恵は全力で否定しようとしたが、動揺のせいか語気は強いが歯切れは悪く、次第に声も小さくなった。顔を真っ赤にし奥歯を噛みしめ、言葉を選ばなかった事を反省し、悔しがっていた。

 正治は家族が話し合っている言葉一言一句を聞き漏らさぬよう、ひたすら黙って見ていたのだ。失言=翔子の入隊を容認するともとれる言葉が出てくるのを。日頃の経験上、口では妻や娘には勝てない。だから正面から議論せず、まずは自由に話し合いをさせ、空気が緩み、自分に有利な材料が出てくるのを待ったのだ。

「確かに、誰も俺の考えに直接賛成するような事はいってない。だけど聞いてた限り強固に反対したヤツもいなかったじゃないか。心の中じゃあ思ってたのかも知れんが、それが言葉になって出てこないんであれば、それは強固な思いじゃないんじゃないか?」

「私は反対ですよ。確かに今の話し合いでは『反対』とか『ダメ』とはいわなかったですが、それは話の流れがそうなってなかっただけで」

 みち恵が正治の言葉を否定するように反対の意志を示す。がやはり動揺しているのか声はさほど大きくないし、若干上ずっている。明らかに正治のペースに巻き込まれていた。母として反対する気持ちは失ってない。しかし冊子を見ながら皆と話している間、反対するような言葉は口に出来なかった。これは反対を訴えて皆を納得させられるような言葉を探している内に、むしろ心配が和らぐような言葉を聞き、反対という意見をいうタイミングを失っていたのだ。しかもそれだけでなく自分が知る限りの空を飛ぶ楽しさ・喜びを思い起こして、絶対反対という気勢が殺がれたというのも事実で、皆の話の流れに乗り、何かズレた話をしてしまっていた。

 これは将一や正太郎にもいえる事で、話し合っている中、いつしか翔子が女子航空隊に入隊する事前提で考えていた事に気付き、思わず顔を見合わせ、お互いバツの悪そうな表情をしていた。最初は反対しているみち恵を応援してやろうと思っていたのに、飛行機屋としての血が騒いでいる事に気付いたから。

 正治はそんな家族の様子から、少なからず心境の変化が起こった事を察した。

 もちろんいきなり反対が賛成にひっくり返るような劇的な変化ではない。がただ反対したいが為に思考停止していたのではないかと戸惑いが生じ、反対する理由が揺らいでしまっている。

 ここまでくれば強く出る必要はない。というよりこれ以上追い込めば逆ギレして、反対以外の選択肢を奪ってしまうだろう。だから普段あまり見せないような穏やかな口調で説得の最終段階に入った。

「俺だって翔子の将来の一つとして、こんなのもあるぞと提案しただけだ。翔子が絶対に嫌だといえばゴリ押しするつもりはない。ただなぁ、翔子は女学校にも進まず、ウチのために働いてくれてたからな。もっともそれがただ飛行機が好きだからという自分勝手な理由で、その上正規の資格を持ってないにしても。だからもっと他の世界もあるぞって教えてやりてぇと思ったわけだ。それにお前ぇらはここには目を通さなかったのか? 退官の条件として飛ぶ事が怖くなったり結婚が決まったりなど、男じゃ考えられねぇような簡単な理由で辞める事が出来る。この書類は本当は来月頭から役場なんかに貼り出されるものらしいが、ウチには空軍の関係者が注文の話がてら一足先に持ってきてくれたもんでな。その時にいってたのは結構いい加減な理由でも辞める事が出来るらしい。だから試しに入ってみて、飛行資格が取れた時点で翔子に続ける理由がないんだったら、ウチに帰ってくればいい。そうすれば正規に雇えるし、独学で覚えたヘンなクセも抜けるだろうしな。…それくらいの気持ちだったんだよ」

 まあ半分は嘘である。もちろん退官条件の件や翔子を思う気持ちに偽りはない。だが一度入隊したからには、出来るだけ長く続けて欲しいと心底思っていた。

 当然の事だが軍とのパイプを強くするために入れようとしている訳じゃない。そんな事しなくたって橘戦闘機は開発メーカより良い仕事をすると信頼を勝ち得ているし、娘を商売の道具にする程ゲスな考えは持ち合わせてない。

 ただ正治は知っていた。翔子が試験飛行の際、木更津航空隊(以後木更津空)所属の戦闘機と空戦まがいの事をしていると。

 木更津空は本来陸攻=陸上攻撃機の部隊であるが、帝都防空のため昨年から戦闘機1個大隊が配備された。

 その訓練中、橘の試験飛行が重なると、たまにではあるが不必要なまでに接近し、明らかに空戦機動を取られる事があった。正規雇用のテストパイロット達はそれを異常事象ととらえ、事故を避けるためにもさっさと逃げてしまい事なきを得ている。その場合木更津空のパイロットも深追いしてこない。あくまでおふざけであり、訓練内容に含まれてない事なので、何か起こらなくても懲罰の対象になる事を認識しているからだ。

 しかしある日模擬空戦に乗ってきた機体が現れた。もちろん翔子である。

 最初は当然のようにあっさり翔子が負けた。

 いくら基本的な空戦機動を知っていても、空戦のそれとは違う。だから配属されたばかりの新人にも勝てなかったのだ。

 だから負けず嫌いの翔子は空戦のやり方を独学で学んだ。本を読んだり訓練の様子を見たり、模擬空戦中の相手の動きから盗んだりもした。それだけでなく木更津空のパイロットがさりげなく見本を見せてくれたりもしていた。その結果翔子の空戦技術は急激に上達し、半年と経たない内に中堅クラスとは互角といえるレベルに達してしまった。

 そうなると木更津空の連中も負けてられないと、若手の好き勝手を諫めないといけないベテランまで模擬空戦に加わるようになった。

 がそれは逆効果だった。上手い相手と戦う程翔子はその技術を吸収し、ついにほとんどの木更津空パイロット相手なら勝てるようになったのだ。

 そうなってくると空戦の意味合いが変わってくる。

 翔子との空戦を若手の指導の場と考えるようになり、翔子の方も相手のレベルに応じ戦い方を変えるという、他の所では到底考えられない状況が生まれてしまったのだ。

 だがこれだけ空の上では濃密な交流があるというのに、地上での面識は一切なかった。

 木更津空の隊員は興味があるようだが、流石に地上でまで馴れ合ってしまうのは問題かなって自重していた。だが相手が翔子=女だと分かれば、俄然お近づきになりたいと思う事だろう。もっとも翔子の方はそもそも人には興味がなく、純粋に仮想敵のパイロットとして認識していたため、相手の事を知りたいと思った事はないようだ。

 そんな事態を憂慮した木更津空司令と橘戦闘機社長立花正治は、先日正式な場を設け、真剣に話し合った。それまでも話に出ない訳ではなかったが、今日の状況を想定してなかったため、軽く考え笑い話で済ませていたのだ。

 だが今では笑い話で済まなくなってしまっている。

 もちろん二人の立場からすれば隊員達に民間人相手の訓練を禁止させたり、翔子をしばらくの間テストパイロットから外すのは容易い。が困った事に翔子との模擬空戦を行っている内に隊員達の技量練度が高まって、戦闘部隊の長としては喜ばしい状況でもあったのだ。そのため長時間の話し合いでも明確な方針は導き出せず、その日は今後も話し合いを続けていく事だけが決まっただけだ。

 そんな矢先(ていうか今朝)、空軍から女子航空隊発足の話が舞い込んできた。それは正治からすれば万事が上手く解決するものと思えたのだ。

 翔子が女子航空隊に入ってしまえば木更津空の連中と模擬空戦する事もなくなるし、翔子にしたって今まで以上に飛行機に乗る事が出来るだけじゃなく、国や他人の役に立つ事も出来る。つまり今さっきまで頭を抱えていた目の前の問題が片付くだけじゃなく、明るい未来も見えてくるというものだ。

 もちろん心配してない訳じゃない。しかし自慢の娘の事、きっと大丈夫だろうという自信はあった。だから正治はこの話=翔子を女子航空隊に入れる事を進めたかったのだ。

「で、翔子はどうしたいんだ?」

 正治は充分なためを作ってから、翔子に発言を求めた。

 他の家族も一斉に翔子の方へ向き直る。翔子がなんていうだろう。ノリノリで軍に入りたがってるのではないか心配、などそれぞれの思いを抱き翔子を見つめた。

 皆の視線の強さにちょっと驚く翔子。

 女子航空隊に入隊するかしないか、その事は試験飛行を済ませ、初めて話を聞いた時からずーっと考えていた。さっきの話し合いの時だって、他の事をいいながらも頭の片隅からは離れなかった。でも正直考えはまとまってない。だから自分の気持ちをどう言葉にしたらいいか分からなかった。

 しかし皆は自分の答えを待っている。それも今か今かと。出来るなら自分の考えと同じであるよう願いながら。それで余計に考えがこんがらがり、言葉が詰まってしまうのだった。

「なーに、いつまで黙ってんだ。何でもいいから自分の考えを言ってみろ。お前ぇが本音で言ったんなら、どんな意見でもいつかは受け入れてくれると思うぜ」

 オロオロしている翔子に正治が助け船を出した。いやこの場合は助け船から叩き落としたといった感じか。翔子は呑気に言い放った父親を恨めしく思ったが、他の家族にも助けを求められない。何か言わないとこの状況から逃れられないと覚悟を決めたのか、翔子は大きく息を吸うと、少しずつまとまりきってない自分の考えを静かに語り出した。


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