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【第六十二話】 中々、生まれない・・・。






 コットンラビットの妊娠が発覚して一週間、いつ出産が始まっても不思議じゃない状態にあった。それに伴い、私も万全の準備でその時を迎えるべく、徹夜でコットンラビットの柵前に陣取り、寝ずの番を続けていた。





「…………フィオ。 フィオ? おいフィオ」

「Zzz……むにゃ……Σ生まれた!?」





 私は急いでコットンラビットへ目をやる。コットンラビットは先ほどと、何の変化も無くすやすやと気持ち良さそうに眠っていた。私はロゼへ非難めいた目を向ける。何故起した? ま、まさか、夜這い!? ……いや待て、寝ちゃダメじゃないか! しっかりしろ自分! 私は策の前で蹲り頭を抱えた。





「フィオ、もう三日も徹夜を続けているだろう? そろそろ部屋に戻って休んだ方が――」

「大きなお世話だ! その隙に生まれてしまったら、どうしてくれるんだっ!」





 私は声のトーンを落しつつロゼに反論した。

 私とてそのくらいは分っているし、私などが居ても何の役にも立たないかもしれない。何よりロゼやアレク、あとちょっとだけ筋肉ダルマにも迷惑をかけているのも自覚している。八つ当たりなのも百も承知だ! だが、初産で不安であろうコットンラビットに、付いていてあげたいのだ! 眠い目を擦りながらロゼを睨んでいると、ロゼが小さく溜息を吐いた。





「そうか……だが今日はもう生まれないだろうから、せめて長椅子で横になってろ」





 私は有無を言わさず強制退去させられる訳ではないと知り、ほっとして頷くと、コットンラビットへと目をやる。嗚呼、なんて気持ち良さそうに寝ているんだ……。私はちょっとだけ羨ましくなりながら、毛布を手にのろのろとソファに移動する。





「……おやすみ」

「ん、おやすみ」





 ロゼは何か言いたそうにしていたが、私は睡魔に勝てずにソファに横になった途端に夢の国へ旅立った。





 ※ ※ ※





 ――さらに二日後。

 本日も晴天なり……じゃない、コットンラビットの出産の兆候は見られない。

 そして、誰かにとやかく言われなくとも徹夜続きの生活も、そろそろ限界である事が分る。簡単に言えば異常に眠い。最初の二日くらいは(色々な意味で)ハイテンションでぶっ飛んでいて、食事制限にたいする怒りをぶちまけていたが、三日、四日となると流石に体調と毎日の料理に支障をきたしていた。包丁で指先を落しそうになったり、頭から鍋にダイブしそうになったり、サラダにウサギ用の草を誤ってトッピングしたり、他にも何かしらやらかしている。先ほどもプギー肉と一緒に手をグリルしたばかりだ。それでも三食の食事は必ず、意地で用意した。居候ってだけで迷惑をかけているのに、私の唯一の存在価値と言っても良い、料理をサボる訳にはいかない。





「フィオッ!?」





 あれ? ロゼが二人居る?

 夕食の後片付けが終わって、ふとロゼを見ると影分身のようにロゼがダブって見えた。次の瞬間には視界がグラリと傾いて、そのまま力なく床に崩れ落ちる。顔を上げると少し離れた所からロゼが慌てて駆け寄ってきた。私は慌てた様子のロゼをぼんやり見ながら「皿が割れなくて良かった~」などと思いながら意識を手放した。





 ※ ※ ※





「………………」





 目が覚めるとそこは、五日ぶりの自室のベットの上だった。辺りを見渡すと既に真っ暗で、枕元にあるサイドボードに、淡い光を放つ小さな丸い光る物体が浮いていた。以前一度、ロゼが夜の森の見回りに行った際に、これをカンテラに入れて使っているのを見た。たしか、魔法球って言ったっけ? 元々は暗い森の中や洞窟に生息す魔物の一種らしいが、詳しくは忘れた。その魔物の体の一部を使ってこの魔法球を作っているらしい。白熱灯のように熱を持たず、光の加減も調節できる優れものだ。冒険者憧れのアイテムだと言う話だが、剣と魔法の世界なのに、何故に魔法で照らさないんだろ? 謎である。そんな事をぼんやり考えていると、部屋の扉が開いてロゼが顔を出した。





「フィオ? 入るぞ」

「ん~……? うん」





 ん? そう言えば何故、私は部屋で寝ているんだ……?

 確か、「夕飯は俺が作る」って言ったロゼに意地を張って夕飯を作り、「後片付けくらい手伝う」って言ったロゼを無視して皿を洗い、その後ロゼが二人になっていたような? 何故私はベットで寝ている? そうだ! そんな事よりウサギッ!! 私は勢い良く起き上がり、ベットを飛び出す。しかし、足が地面に付いた瞬間にバランスを崩し、私は床にへたり込んだ。ベットに手を付いていたので大事に至る事は無かったが、何故か足に力が入らなかった。




「フィオ! まだ寝てないとだめだ」

「でもウサギが……」





 そう抗議するも、ロゼに子供のように抱き上げられ、ベットに戻されてしまった。あぁ……パジャマに着替えないとワンピースが皺になる……。などと思いながら、しかしロゼに着替えさせられていたら、きっと羞恥で死んでいた、と思い諦めた。私を甲斐甲斐しくベットに横にしたロゼは、私の額に手を置いて顔を覗き込んできた。何時もよりずっと近い距離と、逃げ場の無い状況に顔に熱が集まる。





「……少し熱があるな」

「や、大丈、夫、です」





 だから早く離れてくれっ!

 しかし、私の心の声はロゼには届かなかったようだ。溜息混じりの掠れた声が額に掛かる。





「無理をするから……」

「う。 ……ごめん、なさい」





 私が素直に謝るとロゼは困ったように眉を下げて、ようやく顔が離れる。





「食事制限をして無理をすれば、体力が付いていかないに決まってるだろ。 特にフィオは俺たちとは違うんだから……。 今夜は俺がウサギを見てるから、ゆっくり休め」





 私は気遣うようなロゼの優しい小言に、黙って耳を傾ける。

 ロゼの言葉に、私が栄養と睡眠が不足していて倒れた、と言う事が分った。前世では、一週間くらい余裕で徹夜していたために(主にネトゲ)こんな事で倒れるとは思わなかった。異世界に来て体力が落ちたのだろうか? 運動量は確実に増えているはずなのに……今度からは本当に気をつけよう。私が密かに猛反省していると、ロゼの大きな手が私の頭を優しく撫でて髪を梳く。その心地良い感触に安心した私は、目を細めてロゼに微笑む。





「ん、ありがとう」





 一瞬、ロゼの手の動きが止まったが、私はそのまま目を瞑る。意識を手放す瞬間に、額に柔らかい何かが当たったような気がした。





 ※ ※ ※





「おはよーーー!!」





 と言ってもロゼはまだ朝のトレーニング中で小屋の中には居ない。昨晩、不覚にもぶっ倒れた私だが、一晩ぐっすり眠ったらすっかり元気になった。やはり食事と睡眠を怠るとヤバイな。うん。





「さて、ウサ――ギイイイイィィィィィィィ!?!?!?」





 増えてる!! もふもふ増えてる!!!! う、生まれた!? どういう事!? 何時? 何時なの!? 何時生まれたのぉぉぉ~~~~???? 私が混乱して妙な叫び声を上げると、ロゼが小屋に入ってきた。





「フィオ、起きたのか。 体調は――」

「体調は良い! すこぶる良い! それよりコレは……~~!!」

「あぁ、今朝生まれた」

「う、生まれた――(*≧∇≦*)――☆★ きゃわいい! o(≧∇≦o) きゃわいいぃ!!! (o≧▽≦)o 頑張ったね、頑張った! 良い子! 良い子!」

「にゅゅ~~~~~……」





 私はロゼの登場で少し冷静さを取り戻し、子ウサぎの誕生で再び正気を飛ばした。私はウサギの柵の中に入り、親ウサギを撫でて労い、子うさぎ達を見て驚いた。毛が生えている! 生まれたてのウサギの赤ちゃんは普通、少し耳の長い毛無しシワシワネズミみたいな見た目で、正直、可愛いとは言いがたい。しかし生まれた子ウサギたちは既に、薄っすら体毛に覆われていて、私たちの世界で言えば、「生後一週間程度のウサギの赤ちゃん」と言った見た目をしている。もう既に踊り食いしたくなるほど可愛い。……しないけど。





「ぅゅ~……」

「ぅにゅ~~」

「うゅ~!」





 新たに誕生したウサギは三匹だった。

 母親と同じ白毛の子と、茶色の毛の子、黒毛の子の三匹だ。まだ目は開いていないので瞳の色は分からない。ぅにゃ、ぅにゃ良いながら母ウサギの周りで寝ている。こんな、こんな、天使のように可愛い生き物が、この世に居ようとはっ!! 私は子ウサギが寝ているにも関わらず、声を抑える事ができずに歓声を上げつづける。






「キャ―――(*≧∇≦*)―――☆★」

「……フィオ、落ち着け」





 私は呆れたようなロゼの視線を背中に浴びつつ、ウサギ達の体を拭い、寝床を整えていった。







はじめまして、こんばんは(*^ー゜)v

最近DIYに目覚めた変人です。


行って来ましたよ! 健 康 診 断 !

どうせまた「メタボリックシンドローム」って書かれて軽くディスられるんだぁ~(つへ;)

まぁ年に一度の事だし我慢するけど・・・健康診断帰りに買ってきたパンが不味くてイラッとしたよ!

お腹減ってるのに食べ物が不味いと腹が立つよね!


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