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【第六十一話】 食事制限するとイライラは抑えられないよねー。






「……………………………………………………………………」

「なぁフィオ、そんなに睨み付けても、まだ生まれないぞ?」





 溜息混じりのロゼの声を背後に受けつつ、コットンラビットを穴が開くほど良く観察する。コットンラビットの妊娠が発覚した翌朝、今まで与えていた草と野菜の量を半分にして、バランス良く盛り付けたごはんを与えた。体が二倍ほどに肥大化したコットンラビットは少なくなったご飯を食べ終えて、何処か悲しげに鼻をヒクヒクさせている。くっ、そんな悲しげな目で私を見ないでくれっ!! 私とて辛いのだ!! 耐えてくれっ!!





「お~いフィオ~! プギー取ってきたから、またとんかつ作ってくれよ~」





 何だと、トンカツ、だと?

 私は何時も唐突にやって来る、リアルタイプあり人間こと、アレクを睨みつけた。





「ふざけるなっ!!!!!!! 食事制限をすると言っただろうっっ!!! トンカツなどと言うハイカロリーな食い物作れる訳が無いっ!!! 貴様が食べて良いのは魚、野菜、フルーツだけだっっ!!」

「ヒィッ!?」





 そう言えば、魚って支給品の中で見た事無いけど、この辺じゃ獲れないんだろうか?





「フィオ、この森で魚を食べようと思ったら、少し遠くの湖まで行かないと獲れないぞ?」

「……うむ」





 そうなのか……日本食には結構魚を使うし、いい加減肉ばっかりの食生活にも飽きてきたんだが……。お魚食べたーい。今度ダルマに連れて行ってもらおうかな?





「いやいやいや違うだろロゼ! 「俺たちも食事制限する必要があるのか?」だろ!? 何で食事制限すんのを普通に受け入れてんだよっ!」

「……下手に逆らわない方が良い」

「ドラゴンビートかっ!」





 何だその聞きなれない横文字は?

 私の脳内では体の大きな五体のドラゴンが、バンドでロックを演奏している姿が浮かんだ。……意外と絵になる。ってかどういう意味だ? 私は意味を尋ねるべくロゼに目線を送る。





「どう言う意味?」

「……知らない方が――」

「龍人族の嫁みたいに、強くて短気で、夫を尻に敷いてあごで扱き使う、嫁の癇癪の事だな」





 あ”?

 誰が癇癪もちだとゴルアッ! あぁそうか日本で言う所の「鬼嫁激オコ」みたいなものなのか……ってなお更納得できないんですけどっ!? 私はアレクを思いっきり睨みつける。





「貴様に、食わす飯は無いっ!! 消えろっ!!!」

「えぇぇぇ~~! 酷くない!?」





 酷くなど無い! むしろ未婚のうら若きピッチピチ(死語)の乙女に向かって、鬼嫁呼ばわりされた私の方が可愛そうだわっ! 私は手に持っていた箒でアレクの頭を思いっきりぶん殴った。





「いったっ! フィオは俺に当たりがきつい気がしますっ!」

「黙れ! 貴様がアホ過ぎるんじゃっ!!」





 痛いって言いつつも何かあんまり痛そうじゃないよね! もうアレク何か水すら出してやるもんかっ! 呼び名も「アリさん」にしてやろうかなっ!? 私は持っていた箒を再び振りかぶる。私は一通り怒りをぶちまけて落ち着くと、そっと手にした箒を下ろして、深呼吸をする。





「…………昼食は何にしようか」

「怖っ! 何それ怖っ!」

「やめろ! どうしてお前は、わざわざドラゴンの尾を踏むような真似をするんだ…………」





 つかやっぱり、この世界だと強い者の代名詞はドラゴンなんだね! 鬼とか獅子とかじゃないんだね! 会って見たいな龍人族っ! 私は人の事をドラゴン扱いしたロゼに無の表情を向ける。





「私はドラゴンではありません」

「……わ、分った」





 どうやら理解を得られたようだ。

 私は何故か声も出せずに怯えるアレクと、両手を上げて無抵抗である事を主張するロゼの間を縫い、キッチンへ向かった。





 ※ ※ ※





「そう言や、ヴァルドどうした?」





 私たちは昼食を食べ終わり、のんびり食後のお茶を飲んでいる。ちなみに昼食はアレクが狩って来たと言う、塩漬けじゃない新鮮なプギー肉のハーブ焼きトンカツを作った。何だかんだ言いつつ、ロゼにもアレクにも世話になりっぱなしなので、食べたい料理をリクエストされれば完全には断りきれない。それに二人とも肉体労働者であるので、日々の活動のエネルギーをケチる訳にはいかない、と言う理由もある。それでも、少しでもカロリーを低く抑えるために、油を控えめにした。食事中アレクが「美味しい!」「フィオ優しい!」「ありがとう!」などと連呼しつづけていてガキかと思ったが、まぁその賞賛の声は甘んじて受けた。


 つか、随分静かだと思ったら最近筋肉ダルマを見てなかったからか、と今更ながら思い至る。昨夜は来るはずの筋肉ダルマが来なくて夕飯が少し残ったんだっけ……。筋肉ダルマって存在感あるのに、すっかり存在忘れてたな……。私はお茶のカップをテーブルに置き、顔の前で手を組んで神妙に呟いた。





「死んだ、か?」

「いやいやいやいや! 待って! まだ死んでない、と思うけど……」





 場が妙な空気に包まれる。じょ、冗談、だったんだけど? とは言い出せない空気だ。どうしよう気まずい; すると、お茶を飲み干したロゼが苦笑しながら話し始めた。





「ヴァルドは今までにも時間や約束を違える事があったから、あまり心配はしていないが、その可能性は無いとは言えないな……」

「ま、ヴァルドだしなぁ~「うっかり」ってのはありそうだな」





 いや冗談だから! 否定しろし!

 しかし、こう言う会話を聞くと、日々の生活の中で常に命の危険がある事が、当たり前なのだと実感させられる。もちろん日本でだって、それは当たり前にある事だっただろうが、ロゼやアレク達のように常に「死」を想定して生きている人間は、恐らく日本では少数派だろう。私が黙り込むと、アレクは焦ったように私の背をバシバシ叩いて明るい声を出した。





「ま、まぁそんなに心配すんなって! ヴァルドだぞ? 殺したって死ぬ訳ないだろう! 何と言っても、あのヴァルドだし!」

「……うむ、まぁ確かに」





 何となく、大丈夫そうな気がしてきた。

 まぁついさっきまで、やつの存在を忘れていたが、一応やつは私の従魔(?)だし、心配しておいてやるか。私は納得したように頷くと、飲み終わった三人分のカップを持ってキッチンへ歩き出した。





「フイイイィィィィオオオオオオオオォォォォォッッッッ!!!!!!」





 ――バキャンッ! ガシャガシャンッ!!





 大きな雄叫びと共に小屋の扉が破壊され宙を舞う。

 そして何者かが侵入し、素早く私の前まで移動すると、小さな子供のように容易く抱き上げられる。その瞬間、手にしていたカップを取り落とし、床に叩きつけられた。床には無残にもカップの残骸が散らばる。あまりの早業にハッと、正気に戻った時には息が出来ないほどの強い力で抱きしめられていた。





「フィィオォォッ! 会いたかった!!!」

「う”、う”ぐっ! し”ぬ!(は、放せ! 死ぬ!)」

「ヴァルド、フィオを放せ!」





 ロゼが筋肉ダルマに放すように説得している間に、私は腕を叩いて抵抗する。





「嫌だっ! そもそもお前の頼み事で出ていたんだ! 俺にも少しぐらい褒美があってもいいはずだっ!!」

「褒美は良いが、フィオに抱きつくのは本人の許可を取ってからにしろ!」

「馬鹿! てめーが加減しねーでフィオを締め上げたら死ぬぞっ!! いいから放しやがれっ!」





 二人の必死な説得が功を奏して、私はようやく解放された。

 私はロゼに支えられつつ、荒い呼吸を整えた。そして、最初に感じたのは、やはり怒りだった。さっきまでの私の憂いた時間は何だったんだっ! 一瞬でもコノ馬鹿を心配した私の真心返せよっ!! 





「死ねっっ!!!!!!」

「すまんっっ!!!!!」





 開口一番、筋肉ダルマに対する罵倒であったのは言うまでもない。







お久しぶりですこんばんは♪


今年も来ました! 健 康 診 断 !!

去年は少し、少~~~し体脂肪が多いと言われたので、私は今から憂鬱ですorz

皆さんも健康と体脂肪には気をつけて!

今からでもフィオさん達みたいに食事制限をしようとしている変人でしたー♪


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