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【第五十四話】 嘘つきは泥棒の始まりだと思うのです。

はじめまして、こんにちは(*^ー゜)v

鍋がおいしい時期になりましたねぇ~!

今日の我が家はせんべい汁でしたよ♪


ではどうぞー!






「ふむ、リマーズの葉は鎮静効果がある、っと」

「そうそう、んで、こっちのリベリーの葉は乾燥させてお茶にすれば傷の直りが早くなる」





 馬鹿二人が落ち着いてから私はリアルタイプ蟻人間ことアレクサンダーに様々な香草や薬草、木の実と言った森で取れる植物の特徴と効果効能、利用方法や加工法に至るまでの知識を習っていた。紙は高価らしいので代用品だと言う大きな葉に赤い木の実の汁(墨汁のように真っ黒)を木の棒に浸してメモを取る。





「種族によって効果が変わるという事は無いの?」

「そうだなぁ~、全種族で試した訳じゃないから分からないが、昆虫族に良く効く薬草もロゼには効き目がいまいちって事が今まで何度かあったな……」





 まぁ体の構造が違うのだから当然か……。種族別薬草辞典とか種族ごとの効き目の違いを明記した家庭の医学本なんかを出版したら売れそうだな。私は昆虫族に効く物と、ロゼ(妖精族)に効き目がいまいちだっと言う記述も付け加えた。





「……フィオは意外と博学だなぁ」

「以外は余計だ」





 ふいにリアルタイプ蟻人間ことアレクサンダーが私の膝の上に目線を走らせる。





「……なぁ、さっきから思っていたんだが、そいつ懐いね?」

「え?」





 リアルタイプ蟻人間は「そいつ」と指を挿したのは私の膝の上で寝息を立てている赤い芋虫である。私は感触が気に入ったので時折フニフニしながら持ち歩いていただけなのだが……。懐いて、いる、のか? 私は膝の上で気持ち良さそうにしている赤い芋虫を突いてみる。すると芋虫はくすぐったそうに僅かに震えて寝返りを打った。





「ちなみに、だけど何が目的でコレを捕まえたか、聞いてもいいか?」

「Σ(=口=;)」





 そうだ、私は接着剤欲しさに赤い芋虫を探していたのだ。私はこの間先生から聞いた接着剤の製造工程を思い出して青ざめる。





1、赤い芋虫をすり潰す。

2、鍋で煮込む。

3、布で裏ごしする。





「…………出来ない。 私には、無理だ」





 物理的にも精神的にもダメージが大きすぎる。ただでさえ芋虫をすり潰して煮込むなどと言う難易度の高い調合作業に耐えられそうも無かったと言うのに、あろう事か情が移ってしまった。死んで輪切りになっていれば出来るかも知れないが、流石に生きたままの懐いてしまったらしき芋虫をすり潰すまでの勇気は、残念ながら私には無い。





「……逃がそう」

「せっかく捕まえたのに!?」





 私はリアルタイプ蟻人間の呆れ声を無視し、気持ち良さそうに眠り続ける赤い芋虫を静かに地面に下ろす。





「探してたんじゃないのか?」

「この子の命を奪ってまで接着剤が欲しいとは思えない」





 もはや私に迷いは無かった。イヤーカフのベースば既に出来ているし、見栄えは落ちるが魔石を付けなくても樹木語が理解できるのだから問題は無いだろう。そして、買ったばかりのすり鉢で昆虫を潰さなくて良くなった事に密かに胸を撫で下ろす。





「フィオが出来ないなら俺がやろうか?」

「いい。 ってか、えっ? アレクサンダーは昆虫をすり潰すのに抵抗が無いの?」

「何で?」





 何でって……。私はそもそも生き物を殺す事に抵抗があるのだが、同じ昆虫系ならばより抵抗があるのでは? と、思ったのだが……。リアルタイプ蟻人間は心底分からないと言うようなリアクションをしていて私は大いに戸惑う。





「同じ昆虫だし、抵抗、無いのかなって……」

「はぁ!? コレと一緒にすんなよ!」





 この世界の住人は自分達の種族と似た見た目の獲物を食べたり、殺したりする事に抵抗が無いようだ。私は、例え魔物であろうと敵意があろうと、人間に近い見た目の生き物を簡単に殺す気にはなれないし、その肉を食べようとも思えない。こういう時にふと、ここは異世界なんだと実感させられる。そして、日本がいかに恵まれていて平和だったのかと言うことも同時に実感する。これがこの世界の常識なのか……。





「……フィオって、ひょっとして魔物と十三種族との区別がつかない?」

「うん? まぁ……」





 確か以前「十三種族に該当せず文化、文明、言語を持たない生き物を魔物と定義している」と先生が言っていた。要するに各種族の公用語が話せて、知性のある生物であれば「種族」そうでないプギーのような馬鹿は「魔物」と言う事、で良いんだよね? でも、これだけの情報じゃあ見た目で種族なのか魔物なのか判断付かないのは当然だと思うのだが……。リアルタイプ蟻人間や筋肉ダルマ、ロゼたちは見分けが付くのだろうか?





「そっかぁ~、フィオって実は物凄い箱入りのお嬢様なんだな~、何処の生まれなんだ? ひょっとして某国のお姫様だったりして!!」

『本当におぬしは……そんなくだらん事ばかり言っておらんで、少しは落ち着いて物事を考えるようにならんかっ!!! だいたいおぬしはじゃな――』





 これ以上追及されるとボロが出そうな絶妙なタイミングで、先生が突然お説教モードに入り、リアルタイプ蟻人間は驚いて直立不動で先生の話を聞き始めた。そこは正座だろうと突っ込みたかったが我慢した。どうやら先生はリアルタイプ蟻人間の言動から私を庇ってくれたようだ。あのまま追求されれば私が何処の出身で、何でここに居るのか根掘り葉掘り聞かれてしまうだろう。ここまでの流れで以前筋肉ダルマに説明した設定では無理がある。昆虫族は森に住んで森の恵みを分けてもらい、草木族や森を守って生きるのだと先生が言っていたので、親に売られて奴隷商の馬車が等の下手な嘘を言えば不審感を抱かれるだろう。ダルマはお馬鹿さんなのでいくらでも誤魔化しが利くが、アレクは中々に知性的だ。この世界の常識を知らない私には気の利いた嘘は吐けない。事情を知っている先生かロゼに頼るしかない。





 ――ここは本当に異世界なんだ。





 ……どうして私はこの世界に生まれたんだろう。

 アレクサンダーは樹木語を理解できるので、この場で先生に相談できないのが歯がゆい。





「だあぁぁぁぁ!! いいじゃねーか! ほっとけよっ!!」

『はぁ~~情け無い! そんなんじゃから嫁が来んのじゃっ!!!』

「グオォーーーー……ムグ……Zzz」





 本当の事を隠して、嘘を吐いて相手を利用して、守られているだけの自分が嫌になる。自分らしく生きられないような、そんな息苦しさを感じる。今まで私が目にしてきた日常は、あまりにも平和過ぎて、あまりにも現実離れし過ぎてて、何かあっても何とかなると何処かでそう思ってた。でも……何だろう? 急にゲームを楽しむような感覚で生きられなくなったような、恐怖で身が竦む。





「……………………まぁ、何とかなる、か?」





 冗談みたいな死に方して、こんな冗談みたいな世界で、冗談のように生きていなきゃやってられん。そうじゃないと、とてもじゃないが歩けそうに無い。私は足元から忍び寄るように這い上がってきた恐怖から、必死で目を逸らした。






いかがでしたでしょうか?

ちょっと、自分の置かれた状況と立場に戸惑いを感じ始めたフィオでした!

つか、今までが考え無しの行動続きだったんですがね;


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ご覧戴き、ありがとうございました。

またのお越しを心よりお待ち申し上げております。

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