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【第四十二話】 皆さんのお家ではアノ昆虫の事を何と呼びますか?

はじめまして、こんばんは(*^ー゜)v

20年近く故障知らずの私の部屋のエヤコンより、某妹の部屋の最新式が先に壊れて買い換えた

変人ことヴァインです。


メーカー違うんですが・・・どんだけぇ~って感じです。

ただ、私の部屋のおじいちゃんことエアコンはリモコンがぶっ壊れているのですがね;

ではどうぞー。






「ご苦労様です」





 今日は朝から、森番小屋に物資の補給係りが来ていた。私はおじさんたちと適当に会話を交わし、支給された物資の確認を終えると、ロゼがトレーニングを終えて小屋に帰って来た。何時ものようにロゼの筋肉をコッソリ拝み、朝食の準備をする。何だかんだで異世界に順応し始めた私は、ロゼの仕事の合間に読み書きと魔法を習っている。その甲斐もあって簡単な言葉なら読めるようになってきたし、何よりも重要なのは自分の名前を書けるようになった事だろう。これで商人ギルドに登録する際のサインに困らない。分からない所は読んでもらって代筆って手もあるしね。今の目標は子供用の本を一人で読みきる事だ。しかし、一番の問題は魔法だった。ロゼによると私は魔力事態はあるという事だが、魔法の才能が全く微塵も無いようで、そよ風所か小指の先ほどの火球さえ起こせない。読み書きを習い、家事をこなし、魔法を習って、一喜一憂する日々が続いていた。


 近代兵器に頼らない家事にもだいぶ慣れたが、一般的な主婦には到底敵わないだろう。そして土足厳禁にしてやろうと気合を入れて磨いた床は、所々トゲや穴、釘などが出ていて危険なのと、不特定多数の人間が使用する小屋なので、完全な土足厳禁には出来ず、私の部屋のみに留めている。そのうち床全体にヤスリをかけて、穴を埋め、飛び出た釘を打ち直し、蜜蝋ワックスを塗って本格的に土禁にしてやろうと思っている。そしてスリッパ的な物を作ってやる。





「ん? そう言えば、あのガチムキマッチョの君は居なかったな……」





 補給係りさん達は、皆シビィおじさんばかりだった。会えると思って期待して、明るい色の可愛いフリフリのワンピースを着て出て行ったと言うのに……。





「マッチョ、の君?」





 朝のトレーニングを終え、汗を拭きながらキッチンに侵入したロゼが、私の背後で疑問を投げかけてくる。私はあらかじめ用意していた、冷たいフレーバーウォーターをコップに注いでロゼに渡す。





「…………盗み聞きとは良い趣味をしている」

「いや、普通に独り言だったろ」





 ロゼはフレーバーウォーターを一気に飲み干した。ちなみに今、ロセはタンクトップを着ている。トレーニング中は汗を大量に掻くので、途中から上を脱いで半裸になるようだが、そのまま家に上がってこられてもさすがに目の毒……いや迷惑なので止めるように言った。





「ありがとう。 で、マッチョの君とは誰だ?」

「聞き間違えでしょう」





 私は顔から表情を消し、声から感情を消し、丁寧語で黙秘を貫く事にした。ロゼはそんな私の行動に訝しげに眉を寄せ、更に問い詰めてくる。そのまま暫くの間、問答が続いたが朝食が冷めると言う事を理由に、ロゼをキッチンを追い出した。





 ※※※





「よっし! いい感じだ!」





 ロゼは今、森番の仕事で家に居ない。私はその隙を狙ってイヤーカフを作成している。いい感じに乾燥している枝は意外と割れやすく、枝の形状を生かしつつ、中身をくり抜き、薄く削るのは想像していたよりも遥かに難しい。既に五つは削りだしたが、いずれも途中で割れてしまった。そのお陰でようやくコツを掴んだのか、何とか二つほど形になった。一つは表面の皮を取って作った木目の美しいシンプルなデザイン。もう一つは表面の皮を少し残したワイルドなデザインにしてある。滑らかになるように、目の細かいヤスリをかけて、試しに耳に付けてみた。





「ふむ、思ったより良いじゃないか! これなら私の分も作ればよかったな!」





 ただ、失敗しすぎてもう材料も気力も無い。私は鏡の前で手作りしたイヤーカフの出来を見て、一人で満足していた。あとは植物性のオイルをすり込んで、アレを捕まえないといけない……。出来れば関わりたくなくて、今まで考えないようにしてきたが、偶然にも魔石を手に入れてしまったし、捉えねばならぬ……赤い芋虫を。


 赤い芋虫ことセッチャ芋虫は夜行性で、昼間は落ち葉の中で休んでいるそうだ。ロゼにより私の行動制限は小屋周辺のみと決められているため、出歩くことは出来ない。そのため私は一つの罠を張って、芋虫が罠に掛かるのを待っていたのだ。小屋の外に出て、庭の隅のほうに積まれた先生の葉の中を棒で突く。先生の葉は数日経っているにも関わらず、一向に枯れる気配が無く未だに青々としていた。異世界の不思議現象にも免疫が出来て、最近では滅多な事では驚かなくなった。





「ピギャッ!」

「ぴぎゃ?」





 ふざけた声がしたので葉を手で掻き分けて声の正体を探る。声の感じからして動物的と言うよりは知的生命体のような印象を受けた。ここは森番小屋の結界内と言う事もあり、危険な生物は進入できないので、子供が落ち葉にまみれて遊んでいるのだろうか? 私はふと手を止める。待てよ? 私は今何て言った? いや、何て考えた? 「ここは森番小屋の結界内」「危険な生物は進入できない」しくったぁぁぁぁ~~~!!!! セッチャ芋虫って思いっきり魔物じゃんっ!! 危険な生命体じゃんっ! 入れねぇよなぁ~~入れねぇよっ! どうりで今まで一匹も出て来なかった訳だよ!! ガッデムッ!!! 私は頭を抱えて俯く。





「大丈夫ピギャ?」

「うん……少し自分のアホさ加減に嫌気が差してただけだけ……」





 うん? 今、私に話しかけたのは誰ぞ? やはり近所の悪がきか? と思いながら顔を上げると、そこに居たのは大きな黒いダークマター、この世の生きとし生ける者全ての敵、別名G、這い寄る混沌、夜を統べる王、名前を呼んではいけないアノ昆虫、黒い妖精、ゴ○ブ○である。





 ……。

 …………。

 ………………。





「ピギャ?」

「Σ(((◎д◎;)))ノノいや嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああああああああああああああっっっっっ!?!?!?!?」





 目の前の落ち葉の中から、バレーボールほどの大きさのアレが顔を覗かせている。気のせいだろうか、知的生命体の如く首をかしげている様な気がするのは。





「ぎゃーーーーーー!!!!!! ロゼーーーーー!!!!!! 助けてーーーーーーーー!!!!!! ロゼーーーーー!!!!!! ロゼーーーーーー!!!!!!!!! イーーーーヤーーーーーー!!!!!!゜゜。(>□<;)゜。゜゜」





 私は全身を駆け巡る凄まじい悪寒に自らの身を抱きしめ、小屋に向かって無我夢中で全力で走った。すると足元に置いていたドライフルーツのザルに躓いて転んだ。干していたハーブとフルーツが派手に散乱する。背後でブーーンと言う羽音が聞こえる。私は転んだ体制のまま、顔を上げる事も出来ず、その場に小さくなって蹲った。





「た、助けっ……」

「フィオ! どうしたっ!!」





 顔を上げるとロゼがレオポンから飛び降りてこっちに走り寄ってきた。今日ほどロゼが神に見えた日は無い。ロゼは私の異常な様子に驚き、私の体を庇うように助け起こしてくれた。私は力なくロゼの腕の中に納まって顔を上げる、とても凛々しく鋭い目つきで周囲を警戒しているロゼの横顔が近過ぎて、驚いた。最近忘れがちだが、ロゼはこういう凛々しい顔で戦う戦士で、こういう時一番頼りになるヒーローだった……。





「フィオ、大丈夫か? 何があった?」

「脅かしてごめんピギャ~、僕のせいピギャね……」





 私は言葉を発する事さえ出来ずに体を震わせ、子供のように泣きじゃくる。恐ろしすぎて振り返れない、いっそ気を失ってしまえたら、どんなに楽だろう……。私はただただ震えながら、ロゼの服を強く握り締め、胸に顔を埋めるようにして縋り付く。ロゼの腕の中は暖かくて、太陽と草の良い匂いがして安心できた。肩を掴んでいたロゼの手が背中に回され、腕に僅かに力が加わる。





「……お前は? フィオに何をした」

「昆虫族のコロだっピギャ! 何もして無いっピギャ~……そこの落ち葉で休んでいたら、お姉さんが木の棒で突っついて来たんだピギャ! 文句を言おうと思って出てみたら、お姉さん頭痛そうだったから声をかけたんだピギャ。 そしたら凄い勢いで叫んで逃げて行ったっピャ!」





 溜息と共にロゼの腕から力が抜け、尚も泣き続ける私を引き剥がそうとする。





「……フィオ、大丈夫だアレは……」

「ヤダァッ! ロゼ離さないで!! アレどっかやって!!!」





 アレが視界に入る位置に居ると言うのに、とてもじゃないが顔を上げる事など出来ない。アレが喋ったぽい事や、知的生命体であるっぽい事など、正直私にはどうでもいい。ヤツの姿と存在その物が私にとっては有害だ。ロゼの胸に顔を埋めて硬く目を閉じ、耳をふさいだ。そのせいでロゼが何を考えているのか表情も声も窺う事が出来ないが、ヤツを追い払ってくれるのを待つことにした。篭城作戦である。少しすると、ロゼが私に合図をするように頭を軽くポンポンと叩く。





「居ない? もうアイツ居ない?」

「…………居ない。 立てるか?」





 言われて目を開けて、耳をふさいでいた手を離す。そのままロゼを見上げると、何かを困ったように眉を寄せていた。私は首をかしげる。こんな事位で大騒ぎして呼び付けられて、怒っているんだろうか? それとも呆れているんだろうか? どちらにしても申し訳ない。私は情けなく眉を下げてロゼの顔をジッと見上げる。すると、ロゼの瞳が悲しげに揺れ、目を逸らす。せめてこれ以上迷惑をかけないように立ち上がろうと足に力を入れる。





「……ロゼ、足に力が入らない」





 力を入れようと試みた足は私の意に反し、震えるばかりで体を支えて立ち上がる事が出来ない。ロゼはそんな私を気遣うように何も言わず、横抱きにして小屋の中まで運んでくれた。私は情け無いなら、申し訳ないやらでまともにロゼの顔を見られなかった。







いかがでしたでしょうか?

皆様のお家では何と呼びますか?

我が家では「名前を呼んではいけないアノ虫」「黒い妖精」「ダークマター」等です。


某妹:「ゴキだけど……」

変人:「名前を呼ぶんじゃねー!言霊の力で召喚されたらどうしてくれるっ!!」


という会話が定番だったりします。

某妹がフラグを建設してしまわないように毎回折るのが大変です。


ご意見、ご感想、誤字脱字、苦情、罵詈雑言等いただけると励みになります。

お気軽にご一報ください。ただあまり攻撃力が高いと作者が瀕死の重傷を負う可能性がございます。

苦情と罵詈雑言はライトにお願いいたします。


ご覧戴き、ありがとうございました。

またのお越しを心よりお待ち申し上げております。

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