【第十三話】 心も体も瀕死の重傷です。
はじめまして、こんばんは(*^ー゜)v
まな板のキズに生息するばい菌こと変人のヴァインです。
いごお見知りおきくださいますと皆様の家のまな板を汚染させていただきます♪
今回はすこしシリアスめのお話です。
ではどうぞー。
小屋に着くとまず美獣ことレオがこちらに気が付いてやってきた。レオポルトという名前の魔物なのでレオだそうだ。本当にロゼは単純である。ネコにタマとかシロとか付けちゃう位単純である。ちなみに私は勝手にレオポンと呼んでいる。レオポンが子供の頃にこの森で保護して以来、何度森に帰そうとしても戻ってきて諦めて飼う事にしたそうだ。それ以来ずっとロゼの相棒を努めているらしい。ちなみにレオポンは魔物だが駆除対象固体ではなく、馬ではないが馬として扱われるそうだ。ロゼはレオポンの頭を軽く撫でて小屋に入る。赤毛の少女もそれに続く。
「痛むか?」
『……へーき』
ロゼは私を作業台へ連れて行き直ぐに新しい植木鉢に植え替えてくれた。今回は茎は痛めていないので添え木は無し、栄養剤の入ったアンプルを土に刺して花の上からたっぷり水をかけてもらった。日当たりの良い私の指定席に連れて行かれる途中、ふと赤毛の少女を見る。少女はソファーに座り膝を抱えて小刻みに震えていた。
『……お前さぁ優先順位ちがくない?』
私を窓辺の机に置きながらロゼが意外そうな顔をした。
「……違わない。 重傷者が先だ」
『なら、良いけど……アレ、怪我の消毒と応急処置したらレオポンで町まで送ってやんなよ?』
アレじゃ帰れないだろう。ロゼは何か言いかけたが私はいつものマシンガントークで黙らせた。
『アノ状態の赤毛をほっとくっの? じゃあこのままコノ小屋に泊まっていかれても文句言えないわな? そんな事になれば明日、町中の噂になるであろう! 「ロゼと一晩過ごした赤毛の少女」と。 そうなれば両親が黙ってないぞ? 責任と言う名の結婚を強制されるぞ! 良いのか!』
『…………分かった』
ロゼの返事は溜息混じりだった。それからロゼは少女の傷の手当をして服の泥を軽く落とし、フードつきのマントをかけてあげた。すると少女は声を上げて泣き出した。少女はロゼに抱きつくような事はぜずただ膝を抱えて泣き続けた。そのようすにさすがのロゼも気の毒になったのか少女の背をさすって落ち着くのを待っていた。
「あり、が、とうっ!」
やっとの思いで捻り出した言葉を聞いてもロゼは何も言わず、水の入ったコップを手渡しただけだった。そこはホットミルクとかもう少し気の利いたもの淹れてやれよ! 女の子の体に冷えって大敵なんだよ? 美容に悪いし、お腹に悪いし、腸にも悪いし、心が弱っている時は甘い飲み物を出せよっ!! もう少し気ぃつかえやっ! ボケェッ! ヾ(`□´)ノ
少しして少女も落ち着きを取り戻して町へ送っていく事になった。
『フィオ……本当に大丈夫か? 一緒に行った方が良いんじゃないか?』
『大丈夫だって! レオポンに揺られたら余計に具合悪くなるから!』
私はレオポンに揺られるのが正直苦手だ。ロゼは私のためにレオポンの背中に私用の席をわざわざ用意してくれたので快適は快適なのだが……。その、ちょっと位置、がな; ロゼの乗る鞍の前、レオポンの肩くらいの位置になる。馬というのは跨って乗るわけで…………ハッキリ言えばロゼの股間が真後ろで気まずいのだっ!! 振り返る事が出来ないのだ!! そしてやはり位置が悪く背よりも揺れる。私はレオポンに揺られて乗り物酔いをしても後ろを振り返り助けを呼ぶことも出来ない拷問に耐えなくてはならないのだっ!!
……分かった。と、渋々という様子のロゼが私に背を向ける。ここでロゼに言い忘れた事があるのを思い出した。
『……自分を変えたいと思ったからだよ! 悪いかっ!』
え? と振り返るロゼに私は顔、いや花を背けた。少しロゼが笑った気配がした。
「口悪いな」
『お前もな!』
私は思わずロゼを振り返ってしまった。そして二人して顔(?)を見合わせて笑った。……私は花なので表情は無いが私の感情はたぶんロゼに伝わっていると思う。赤毛が扉の前で立ち往生している。さっさと行ってやれ! と残念イケメン・ロゼを追い出す。赤毛を連れて小屋を出て行く二人を見送る。さぁ~て私はゆっくり休むかな~。( ̄▽ ̄)~゜
「…………ありがとう」
ん? 窓の外から赤毛がこちらを見ていた。いや……礼を言われると心苦しいと言いますか; あなたをそういう目に遭わせた犯人はプギーでもそんな目に遭うまでほっといたのは我々なんですわ; しかも私の指示っていうね; でも自分で分ってて行ったんだから自業自得か? でも、そのぉ……何かごめんよ m(≧□≦)m
ロゼは赤毛の少女をレオポンの後ろに乗せてチラリとこちらを確認して走り去っていった。……後ろのほうが乗り心地良いのかな? つかレオポンって羽あるのに飛んだところ見たこと無いな……などと私はその様子をぼんやり見守っていた。
「………………………………」
誰も居ない部屋は実に静かである。思えば異世界に花として転生して以来、一人でいた事は無いかも知れない。机の上を見ると小さなジョーロがある。小さく軽いものなら持つことが出来るためロゼがミニチュアジョーロを作って水を入れておいてくれるのだ。手先は器用なんだが変な所が不器用な男である。
一人になって考えるのは先ほどの戦闘だ。私はその戦闘でコノ世界の厳しい事実を突きつけられていた。考えないように、前向きに、前向きに出来ることを探していたが今回は考えない訳には行かなかった。それは今までに感じたことが無いほどの強烈な死の恐怖。ふと葉を見ると小刻みに震えていた。
「…………………………こわかった」
驚くべきことに自分自身の死よりもロゼと赤毛の少女が殺されてしまうほうが怖かったのだ。まぁ私は一度死んでるし、また死んだって大した事は無いだろう、という気で居る。親しい人に、初めて出来たっぽい親友に先立たれるなんて……何も出来ないでただ見ているしかないなんて、もう二度とごめんなのである。コノ世界では人の命があまりにも簡単に失われ過ぎる。前世ではゲームの世界に行きたいと願い「行くならどのゲームの世界が良い?」などと友人と語り合ったものだが、こんな世界に好き好んで転生する奴は大馬鹿者である。何事も平和が一番。ご先祖様が死に物狂いで手に入れた平和な世を捨てるなど正気の沙汰ではない。その時机の上になにやら水滴のような物が落た。
「…………へ?」
ソレは花から机へと零れていた。そして葉の震えは全身に広がり視界が揺れている。花も泣いたりするようだ。そして思った以上にダメージを負っていたようだ。私は暫く声を殺して泣いた。誰に見られている訳ではないが声を上げて泣くなんて乙女のような真似出来なかった。そして生前の私が声を上げて泣いたのは人生で二回だけだ。ソレに比べればなんて事は無い。
私は一通り泣くと、少し休む事にした。先ほどの戦闘の後からずっと全身が痺れる様に痛い。花を硬く閉じて葉でガードしたとはいえ炎の熱が全身から水分を奪って萎れていた。たっぷり水を貰ったが根の土が崩れたのも不味かった。どれも植物にとっては最悪に命取りだ。やせ我慢なのは分っていたがロゼが私についていてくれてもこれ以上の措置は出来ないだろう。人間じゃないんだから……。ロゼは私を人間っぽく扱いすぎる気がする。まぁ元人間ですってあっさりカミングアウトしたんだけどね? 今にして思えば何であんな事ロゼに話したかな? って思う。もう少し慎重に行動すべきだったかな。あのころはまだ異世界に転生した実感が無かったし寝て覚めたら戻ってたりして~? とか思ってたし。信じるほうも信じるほうだけど。なんて事を考えながら意識を手放す。
いかがでしたでしょうか?
一人でいると良からぬ事を考えてしまうものなのですよ・・・
怪我や病気をしていると余計にね。
そんな微妙な乙女(笑)心が表現できていたら嬉しいです。
ご覧戴き、ありがとうございました。
またのお越しをお待ち申し上げております。




