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メサイアプラン  作者: 鎖上漣
1/3

Plan.1

ーーーー


 政治的戦争、社会的格差、経済的貧困。


 他にも数え切れないほどの不条理が、世界の隅々にまで蔓延している。まるで、人間の身体を蝕む病の如く。


 この世は乱れに乱れた。一体、誰が数ある選択肢の中から、このような最悪な展開を望んだのだろう。


 誰もがこう思ったことであろう。


「あぁ、誰かこの世界を何とかしてくれ」


 そんな状況に陥った時に、重い腰を持ち上げたのは紛れもない、神であった。


 希望と逃避の象徴である神に意思はなく、ただ世界が乱れたから、機械仕掛けの神同様、一石を投じて問題を解決しようとした。


 一石ーーというにはあまりにも巨大過ぎる一石。


 その一石は太平洋の真ん中に落ちた。


 三分の二の海水が蒸発し、津波により太平洋沿岸部は大打撃を受けた。


 高エネルギー体が落ちてきた影響により、舞い上がった霧とら塵芥は地球を完全に覆うまでには広がらなかったものの、その落下物から剥がれ、飛散した物質ーー『魔晶』がゆっくりと地球を覆い尽くした。


 名前の通り、魔の結晶である『魔晶』の特殊な性質に耐性の無い生命体は次々に死に至り、自然的進化の引き金である大量絶滅が再び起こった。


 勿論、自称高等生物である人類も例外では無い。


 百億にも膨れ上がっていた人口はあっという間に八十分の一まで削り取られた。


 後々、『零命期』呼ばれたそれを生き残った人類に起こったのは魔晶の耐性を持った新たな変化ーーというよりは自然的進化。


 技術革新にばかり精を注ぎ、自身の身体を絶えず退化させてきた人類に起こった人類本体の進化である。


 だが、外見的に変わる事は無かった。


 ただ、一度世界を覆った高エネルギー体の破片である『魔晶』の高エネルギーの周波数に当てられ、人類は新たな能力を手に入れる事になる。


 魔晶が導いた力――『魔導力』。


 それは生命エネルギーとはまた別に、人類が自分自身の身体に持ちつつある未知のエネルギーの覚醒であった。


 とは言うものの、人類はその能力の使い方を知らなかったーー知ろうとしなかった。


 世界に急きょ、訪れた危機。


 一度終焉を迎えた世界を再び立て直すために、世界を立て直すのに人類は、百数余年をかけたが勿論、完全には元に戻す事は出来なかった。


 代替出来無いモノの消失が激しかったからだ。


 そして、人類はもっと重大な事に気が付いていなかった。


 『零命期』の被害と影響を受けたのは人類だけではなく、ましてや自然的進化をしたのも人類だけでは無かったという事に。


 かつて、まだ人類が食物連鎖の頂点に立っていた頃に、その人類に捕食されていた存在達。


 それらは人類とは違い、外見的に急激に進化した。


 体長は人類を優に越え、この破滅しかけた世界で生き残るために食物連鎖での人類の立場を引っ繰り返した。


 『王賊』。


 かつては鳥類やら爬虫類やらと類別されていたそれらの生命体はそう呼ばれるようになり、人類を襲い、喰い散らかした。


 まるで積年の恨みでも晴らすかのように。


 人類に為す術はない。


 核兵器ですら、硬い甲殻や特殊な能力の前では通用しないのだから。


 第二の零。


 二回目の大量絶滅がまさに人類に襲い掛かろうとしていた。


 だが、人類はそれを迎える事なく、現在も歴史を刻み続けている。


 一人の日本人ーートオル=アマギが確立したのだ。


 『魔導力』の使用法を。


 それは高エネルギー体の飛来――『零命期』が起きてから250年後の話である。


 進化したのは『王賊』だけでは無い。


 内なるエネルギーである『魔導力』を用いた術式『魔導式』により、人類は『王賊』と対抗し、何とか絶滅を免れた。


 生き残った人類はそれぞれの国で、高さ50メートル級の壁を設けた。


 そこに『魔導力』を薄く透明に伸ばした防御幕ーー『魔導障壁』を張り、人類は安定した世界を再び取り戻した。


 それから人類の為、魔導技術発展の為に人生をかけた、人類の新救世主である天城融流は神格化され、彼の生誕日から新たな暦が始まった。


 それから『王賊』を退かせ続けて約800年の時が流れた。


 新暦1056年。


 人類は再び危機を迎える事になる。


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