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第十話 勇者の言い伝え

 翌朝早くに次の荷馬車を探す。だんだんと魔王の城に近づいている。行き交う人も減ってくるだろう。魔王の城方面の荷馬車を探して回る。

 荷馬車の商人も剣士や魔法使いや魔術師を確保するのが大変なのか、ルートがいるからかあっさりと次の荷馬車が決まる。みんなよく行くな。俺なら嫌だが。まあ、俺も向かってるんだけどな。魔王の城に。




 戦闘員が増えてる。これは次の道の険しさを物語ってるよな。もうスタートする前から。



 俺の不安などお構いなしに荷馬車は街を出て行く。



 何度も地雷切りで遠くの紫色の煙を吹き飛ばす。平原だとこれが出来るんで楽な戦いになる。



 バシュ、バシュ!



 荷馬車の天井から音がする。荷馬車が止まる。


「魔物だ!降りるぞ!」


 経験豊富そうな剣士がそういいながら荷馬車を降りてる。俺も降りて敵を確認。あ、またあれか。鷹。ただし今回は数が違うけど。鷹って群れるっけ?そういう習性は受け継がないのか?


 俺の剣を振って、この刃で切らず空を切って魔物を切ってるうちに、結構な距離も切れるようになったがさすがにあれは届かない。

 こっちを狙って飛んできた魔物は切れるがあの数を一匹ずつなんて想像しただけで嫌だ。

「ニタ、リン頼む」

 やはりここは魔法で。やっぱり魔法いいよな。

 ニタは氷の針を鷹の群れに刺す。リンは例のイガイガを鷹にぶつけて落として行く。一匹残らず落としたら地雷切りで鷹がもう一度空へと舞い上がる。

 戦闘終了。


 平原には鷹がつきものなのか?


 そのまま平原を突き進み、止まっては戦闘を繰り返してようやく街に入る。



 宿屋で疲れた体を休める。今日はほぼ俺だけの戦闘だった。平原なので鷹以外は遠くから確認出来て攻撃できるから。楽な戦いなんだけど、あれ、地雷切り。けれど、地味に体を疲れさせる。大きな動きだがたった一瞬なのに。

 ベットに横になってそう言えば…あの熟練してそうな剣士が、なにせまだ俺以外ほとんど戦ってないからわからないけど、言っていた。

「こんなにも魔物が増えてるとは思わなかった」

 それに答える商人の荷馬車の主。

「ついこの前まではこんなに酷くなかったのに」

 って、言葉を聞いてなんかみんな見あってたよな顔。あれ、なんだったんだ?


「なあ、ニタ。魔物が多くなったって話を聞いて、荷馬車の中がなんか変な空気だったけど、どういう事だよ?」

「ああ、いや。魔物が多いんだな。って」

 おかしい。ニタの様子がおかしい。

「おい!ちゃんと答えろ!」

 起き上がりニタを見て言う。

 仕方が無いかとニタは諦めたみたいだ。

「勇者がね。そのいると魔物が寄ってくるって言われてる。あくまでも、言われてるだよ!」

 ニタは言い伝えを強調するけど、その言い伝えで俺は剣を背負って旅に出てるんだ。魔王の城へと。

「俺が呼んだのか…」

 船での激闘や荷車での度重なる魔物の襲撃は俺のせいなのか?

「トオル!勇者が魔王の城に行って欲しくないんだよ。魔物は。魔王が消えれば魔物も消えるから。狙われても仕方ないよ。それに僕らはみんなそれを知っててトオルについて来てる。今更こだわることないだろ?」

 ニタ…意外に勇者の事知ってるし。

「魔物はこの先も増えるし、僕たちが大勢の魔物をやっつければ誰も文句ないよ。あの船の船長だってそうだろ?」

 そうだ、船長は俺が勇者だって気づいても、その事を気にかけなかった。むしろ、助かったとまで言ってくれた。あの船長、お世辞を言うタイプじゃないだろ。ポジティブなニタに俺もならおう。

「そうだな、それ以上に魔物をやればいいんだな」

「ああ、そうだ!!聞いて、聞いて!!」

 急なテンションの違いにビクついたが、ニタの話は火と氷以外に雷の魔法も覚えたらしい。あ、浮かんだらしい。例のごとくみせてくれたが…静電気?ってか俺に魔法をかけるな!

 というわけで、ニタの新しいワザが活躍する場は来ないな。イタッって一応なダメージあるけど。魔物に静電気って。

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