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第九話 服屋の店員な勇者

 朝が来た。起きたくない。疲れた体を休めたい。が、あの三人を街に解き放ったが最後、きっととんでもない服を買って来るんだろう。切られたりしてボロボロになった服があるから必ず買ってくる。荷馬車に乗せてもらえない団体になるのは困る。

 何を目指してるのかはそれぞれ違うけど、俺がついていないとどうなるか。ニタの意見は聞き入れないのか、ニタが何も言わないか、きっと後者だろうけど、ニタに任せておけない。なんでこんなことまで勇者が心配しなきゃいけないんだ!!



 三人娘は大はしゃぎで街をウロウロする。昨日までの戦闘で疲れているはずなのに。

「リン、それはあんまりだよ」

「ジュジュはいらないよな。新しい服」

「ツバキ、それ爪で切られると困るんじゃないかな」

 と、相変わらずメイド服や、なぜこの世界でメイド服が必要なのか全くわからないが、ファンタジーな服や、露出が多くて本気で魔物の爪で切られたら丸見えじゃないか!って服を次々に手にする、リン、ジュジュ、ツバキ。

 そろそろ三人ともふてくされてきた。戦法を変えて逆に無難な服を、けれどそれぞれの好みの服を選んで勧める。

 服屋の店員になった気分だ。


 お!いい!これリンに似合う!

 だんだん服屋の店員が板についてきたのか?俺。

「リンこれすごい似合うと思うんだけど」

「そう?」

「着てみてよ!!」

 すごい板についてきてるな、俺。

 着替えたリン。猫耳なければもっといいのに。

「どう?」

 なんでだ?至って普通の服になぜ恥ずかしさが加わるんだ。メイド服を平気で着てたリンなのに。しかもそれで戦っていたのに。

「いい!すっごい似合うよ」

「そ、そう。じゃあ、これにしようかな」


 こんなやり取りが永遠のように続く。ある意味、戦闘だね。そしてそんな俺たちを笑顔で見てるニタ。お前はいつも平和だな。

 ニタも俺も魔物に切られていた服があるのでついでに買う。あれこれ俺に服を持ってくるリン、ジュジュ、ツバキ。いや、ツバキのは普通だからいいんだけどツバキの選んだ服を選べば、おまけであとの二人の服もついてくる。自分で選ぶのが一番だ。これ以上気を使えない。

 ニタはまたツバキの気まぐれな推薦で高校生の私服を選んだ。ツバキのニタに対するイメージなのか?



 結局ジュジュも服を購入して、全員で服をお買い上げ。まあ、荷馬車の護衛で稼いだからいいか。




 今日も疲れた。別の意味で。服屋の店員として働いてた気がする。俺には休みがないのか?


 トントン!

 ダメだってニタ。俺の制止よりも早くに返事を返すニタ。早いよ返事が。

「はい」

 ああ、今日も入ってきたよ、ルート。


 まあ今日は、ニタは元気だろうけどな。どうせそこをルートは狙ってきたんだろう。荷馬車での話は途切れるし途中から話する気力がなくなるしな。

 今日ルートは俺がいろんな気を使ってる間に、貯めていた話を書き上げたんだろう。続きをニタに聞いている。続きだとわかるのは続きだ!続き!ってルートがニタに言っていたから。ルート、ニタには強気だな。

 ニタのポジティブなこれまでの旅の話は精神的にダメージだな。疲れたからもう俺は寝るぞ!!

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