第七話 モグラ
朝からテンションの高い三人娘、ってあれ?ルートがいない。
「ルートの部屋見てくるから」
宿屋のルートの部屋の前について俺はルートの部屋のドアをノックする。
ドンドン!
「ルート!起きてるのか?」
全く返事がない。もしかして、昨日の戦闘に疲れてもう嫌になって逃げたとか?部屋のドアを開ける。
そこには机に突っ伏して寝ているルートがいた。あの状況で本当に書こうとしてたのかよ。どれだけ書きたいんだ、勇者伝説。まあ、魔王の城までくっついてくるのかは不明だが、魔物の群れに突っ込んでるのは確かな旅に同行してる時点で相当な覚悟かバカかどちらかだが。
「おい!起きろ出発まで間に合わないぞ!」
ルートが座ってる椅子の足を蹴って起こす。
「あ、ああ。あー!もう朝?」
なんで俺のタメ口いや、すでに命令口調も、この態度も気にしないんだろ。
「早く起きて来いよ!」
「はい。はい」
なんでこんなに軽いんだろ。この魔術師は。
とりあえず俺はルートを起こしたんで部屋を出る。
さて、出発だ。ウキウキな三人娘と、またもや紙の束を取り出す諦めない魔術師、そしてその攻撃を受けるはめになる魔法使い。俺らって…。いったいルートはどう書いてるんだ!?どっからどう見ても勇者伝説っぽくないんだけど。
街を出てしばらくいくと、いったいなにがあったんだろ?凄い、道が悪い。舌を噛みそうになるんでルートですら諦めたこの道。
ガタガタ
って続いたと思うと普通の道になるのにすぐに
ガタガタ
と、酷い悪路が続く。
しばらく行って、気づいた。地面が動いてる。この道だけではなくそこら中に。魔物の仕業か!先の道はきれいだこのあたりが縄張りの終わりなんだろう。そして、ボコボコの地面の中に集まっているんだろう魔物。
もう、隠せない、湧き立ってるし地面から紫の煙。
「止めてくれ!」
荷馬車は止まり俺が荷馬車から降り立つ。降りた音に反応してか地面が勢いよく動いてこっちにくる。
俺は剣を持ち上げ地面を刺す。
ドドドドドド、ドドドーン!!!
もうドドドっていってる間に地面からモグラだな、モグラの魔物が雷と土ぼこりと共に舞い上がってる。
昨日も近くで使って見たけどあまり近いと魔物が降ってくるから危ない。なのでこのワザは少し離れた場所の大群用にしている。便利だが、海と同じであまりやると倒れしな。
辺り一面モグラが倒れている。まあ、モグラらしさ保っていたのは爪が本物も鋭いからか。なんだよ、あの顔はモグラか?って感じで邪悪だな。
「ルート!運ぶぞ!」
すぐに知らん顔して座っているルートに声をかけて、魔物を道からどかす。まあ、後ろだけど、後からくる人の迷惑なんでどかす。どうやらこれが荷馬車のルールみたいだ。
倒したのはすぐだったけど、運ぶのは一苦労。魔物倒したら消えてくれよ。サッと。魔物を倒したって言葉と共に消えてくれないかな。俺の願いは届かない。