第二十三話 船長は魔法使い
よく寝ても、もうよく育ったりはしないが、俺はよく寝た。襲撃が続いてたので疲れていたんだろうな。
というわけで、起きてジュジュの買ってくれた服に着替えた。やっぱりこっちのが動きやすいな。
若干のファンタジーに目をつぶれば、動きやすいしいい感じだ。
今日は甲板に確認に行くこともないだろう。海は平穏そのものだ。ご飯を食べて甲板に行く。
「トオル着てくれたんだ!!」
ジュジュ、俺の服を握って船の上で飛び跳ねない。
「ああ、ありがとう。動きやすいよ」
リンにも伝わるだろうか、この俺の気持ち!
「もう着替えたの?」
ああ、リンには全く伝わってないね。
みんなの安全と変化を確認して交代する。
昼も海は平穏だったそうだ。……ここまでくると気味が悪い。
俺の予感は的中した。なんで悪い予感は的中するんだよ。
魔物の襲撃が終わると始まる、終わると始まると休む間もなくやってくる。
イカも貝もエビも岩もコンブもサメもラッコもペンギンも、何、何なわけ?次から次にやってくる。
戦闘中に朝日が登り明かりが消されてもまだ戦いは続く。
交代する為に出てきたんだか、加勢に出てきたんだか、そのまま昼の当番も戦いに突入。
キリがない。
「おーし! 夜の当番交代だ。心配だろうがしっかり休めよ!」
船長の言葉に夜もこれが続くんだと思わずにいられない。
後ろ髪ひかれつつご飯を食べてベットへ。
ジュジュとは話できたがリンやツバキやニタには無理だった。次の魔物の襲撃を知らせる声があがったからだ。
ところどころ軽く傷があったんで、ジュジュに治してもらった。
なぜジュジュは涙目になりながら治癒するんだろう。フェアリーは慈悲深い生き物だからかな?
ベットへ行き横になるが心配だな。大丈夫かな。体力勝負になりそうだから…
ドンドン!
ドンドン!
今度は呼ばれなかった。ただの大量! って、俺が行かないと!
剣を持ってすぐに廊下に出て甲板へと急ぐ。ぞくぞくと夜の当番の剣士や魔法使いも出てくる。
イカかよ! また甲板にいるし。こいつら毒がある。油断できない。
すぐに船の下を見に行く。魔物がウジャウジャいる。よし、背後も気にしつつ地雷切り。
ドドド、ドーン!!
前方のイカを切りながら足場を確保しつつ向かう。
地雷切り。やっぱり……
ドドド、ドーン!!
そそくさ左側にも移動しつつ魔物を切る。
地雷切り。……
ドドド、ドーン!!
後ろは? そこもか。イカの巣だな。
後ろに行きつつ魔物切る。足場最悪だ。なんとか後ろについて地雷切り。
ドドド、ドーン!!
ここからは切りに切って切りまくる。甲板に戻ると焦げ臭い。見ると死骸のイカは焼かれてる。
おお! ヌメヌメ感が消えてる。が、すぐにその上にイカの死骸が重なって行く。
「離れろ!」
船長の声がする。ああ、焼いたの船長か。イカのいない場所まで避難する。目の前が一瞬にして焼けるそして、すぐに消えた。船や人を焼かないようにしてるんだろう。何気に船長、すごい魔法使いだよな。船長は、魔法使いには全く見えないが。
甲板にいた最後のイカが倒れた。
今度は侵入を防ぐ為に空いてる場所へ行く。足元のイカの感触を気にしつつなんとかたどり着きイカの魔物を倒して行く。下を見るともう少しだ。切って切って切りまくる。こればっかりだな。
はあー。終わった。一応他も見て確認。みんなその場に座ったり、剣を置いたりと戦闘の激戦ぶりを物語っている。
終わりじゃなかった。船長が焼いてくれたので、まだ運びやすいけど紫の液体はどうしようもない。
何層にも重なった魔物を次から次へと海に投げ込む。早くしないと作業中に次の魔物の襲来がきたら厄介だ。
なんとかすべての魔物を海へ落とし、それから掃除がはじまる。キツイ! 早く休みたい。太陽は真上だ。まだ半分しか寝てないし。しかも昨夜の激闘のあとだ、疲れも半端じゃない。
夜の当番は静かに部屋に引き上げて行く。また次の魔物の襲来が来たら残ってしまうから。
再びベットへ。




