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第二十話 ジュジュの命名にしっくりこないトオル

 ドンドン!!

 ドンドン!!


「トオルさん! 来てください。大群の襲撃です。」



 うわ! 俺を名指しで呼んでるってことは相当な事じゃないか。外を見るとまだ明るい。

 剣を持ち廊下を出ると甲板に急いだ。他の剣士も魔法使いも起こされてる。が、俺は特別に呼ばれた感じだな。名指しだったし。


 な!!! またエビ。しかももう甲板にまで来ている。

 急ぎ右へ行き下を見るとまだ海の中に魔物がウジャウジャいる。地雷切りを放つ。


 ドドド、ドーン!!


 なんかしっくりこないこの名前。ってことより前方へいってさらに地雷切り。


 ドドド、ドーン!!


 やっぱりって、言ってられない左側へいき地雷切り。


 ドドド、ドーン!!


 もういいやこれで。


 後ろはと見ると後ろにもいるみたいだ。

 後ろに走って行く。エビの死骸が邪魔なんで、気持ち走ってる感じになる。エビ邪魔だ!

 後ろでもやる地雷切り。


 ドドド、ドーン!!


 名前って大事だなと思ってる場合じゃない、そのままエビを斬りつける。エビ手強いんだよな。下から攻撃が来るからな。

 甲板に走っている途中で食堂で治療を受けてる者を見た。その中にジュジュもいた。今回はさすがにジュジュも治癒してる。

 後ろは何とかなりそうなんで、もう一度甲板に戻る。一文字で次々倒す。まずは甲板にいる魔物を倒さないと話にならない。切って切って、切りまくる。周りが暗くなってくる夕方間近だったみたいだ。甲板にいる魔物がいなくなって、それぞれ甲板で戦っていた剣士や魔法使いは船の空いてる場所へと行く。俺も向かう。もう魔物を船の上に上がらせるか!!



 明かりが灯る頃にようやく魔物の襲撃は終わった。巣か? 巣なのか? エビの巣だったのか?

 初っ端に疲れる戦闘だったよ。そして、仕事は終わらないエビを捨てる。海へ。戦闘がだんだん厳しい物になってる。きっと近づいてるからだろう。魔王の城に。



 掃除を終えてやっと終わった。



「夜の当番はご飯だ!」

 船長の声が飛ぶ。


 なんか船の旅じゃないな。戦闘だよ。戦闘。それもこれも魔王のせいか…。いや、でも無理だよ。倒せないって。一応向かってるけどな。でも、魔物でこんなボロボロなのに。魔王を倒すイメージが全く持てない。




 ニタ達と交代しようととすると、むくれたリンがいた。なんで? あ、服。いやだって急いでたし着替えてられないよ。さすがにあの状態で。




 ツバキが嬉しそうに言う。

「リン、トオルの地雷切りバッチリ見たからね」

「あ、ああ」

 そっちかよ。焦った。今から着替えに行く勇気はないし。しかもあの服。

「ね! リン!」

「うん」

 リンがすっごいしょげてる意味がわからないが、まあ、良かった。着替えに行かなくて。

「ジュジュを見てあげて、治癒してたから、無理してないか」

「わかったよ。トオル」

 少しニタ、疲れてるな。魔法が強くなってるから疲れも大きいんだろうな。

「ニタもゆっくり休めよ」

「ありがとう。トオルも気をつけて」

 ん?

 ニタをつかんでもう一度ニタの腕を見る。服切れてるじゃないか! 言うって言ったのに!

「腕のところ切れてるぞ!」

「あ、ああ。少し切って。ジュジュにすぐ治してもらったから、大丈夫だよ。魔物の群が増えてるから気をつけて」

「ああ。でも、今度から言えよ!」

「うん」

 ニタ、ツバキに勧められた服じゃなくてよかったな。




 さあて、今日も魔物来い! あ、いや、あまり来んな!


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