第十九話 新技を名付け放題なジュジュ
「ま、魔物の大群!! 前方、右、左囲まれてます!!」
おいおい! 本当にすんなり交代させてくれない魔物だよ。
とりあえず俺は右に走る。
「戦闘員呼んで来い!」
船長の叫びも聞こえる。
「坊主頼むぞ!!」
俺は頷きまずは右側からやって行く。
ドドド、ドーン!!
すぐに前方へ移動する。今回はサメだ。もうかなりの数が登ってきてるが、今はそっちにかまってられない。海中の大群を木っ端微塵にしなければ、魔物に船乗っ取られる。いったいこの数なんだよ。
ドドド、ドーン!!
すぐに左側へ移動する。
「トオル!」
って声にも振り返ってる場合じゃない。続々と海から船に上がってくる。
ドドド、ドーン!!
「す、すごいよ! トオル!!」
ジュジュ仕事ないからってそこにいたら危ないって。ジュジュに注意をしようとすると。
「魔物後ろからも上がってきます!!」
マジか。後ろに向かいながら、絶対サメの巣に入ったなこの船! と思わずにいられない。
「ジュジュ中に入ってろよ!」
言い残して後ろに到着。真ん中に入ってワザ。
ドドド、ドーン!!
ドヨドヨ一瞬なった。昼間の人たちなんだろうな。はじめて見た時はどよめきが上がる。が、今はそれどころじゃない。その場でサメを切って行く。相当な数だがこれ以上はいないと思えば見えてるだけましだ。
後ろは安定してきたので、前に戻る。やっぱり数が少ないからか、サメが甲板に。嫌だな後片付けと思いながらも切って行く。気をつけないとまた服を切り裂かれる。あ、服じゃあ済まなかったときの想像はあの牙を見てたら考えたくなくなるから。
魔物が少し減ってきて周りを見る余裕が出てきた。お、マジか。ニタの火柱マジですごいが、なんだろう船に当たったら困るからか、あれでMAXなのか、火力にイマイチ迫力がない。リンは丸かと思いきや、トゲトゲのよくマンガでチェーンにつながってて悪者が振り回す奴みたいなのを降らせてた。それに、ツバキ!なんだよめっちゃ切れてるじゃないか。横一列の魔物をズバズバって海へと落として行く。いつの間にみんな進歩してるんだ。
「トオル右!」
おっと、やばい。油断し過ぎてた。ジュジュの声で目の前にいるサメをグッさグッさと切りつけて行ってなんとかなった。
今回のサメの魔物の大群を蹴散らす事が出来た。
せっかく楽勝ムードもぶち壊しだよ。またまた魔物を海へと捨てる。この作業地味にキツイ。サメ重いしな。
ヌルヌルじゃないだけましか。牙がまだ怖いが、続々と魔物が海に捨てられる。海の中ってどうなってるんだろ?
掃除も終わり、やっと終了。疲れた。今のでドッと疲れが来たよ。でも、まだ交代じゃない。交代してなかった。
緊張を続け、交代を待つ。さっきの群、もう近づいてるんだと思い知らされる。魔物がウジャウジャな海へ。
食事が終わった人から出て来る。
4人も出てきた。
「トオルさっきの技!」
「お前らいろんろ言ってないだろ!」
ジュジュと言葉と俺の言葉がかぶった。
ちょっと沈黙。どの話からか?
一番大事な話がある!
「ニタ怪我したなら言えよ。治ってても!」
「うん。ごめん」
「それから火柱! あれはその……」
うう、聞きにくい、あれがニタの精一杯だったら話を続けにくいし。
「そう! すごいでしょ!! 私がルメラって名付けたの!」
わざを名付けるの好きだなジュジュ。
「それにツバキのワザも疾風切りって名付けたのよ!」
名付け放題だな。ジュジュ。
「トオルのワザも名付けたからね」
い、何時の間にか。あのサメの魔物の襲撃中に考えたのか? 余裕があり過ぎだフェアリー!
「地雷切り!」
え? 海だから、地面関係ないんだが。雷も。どうしよう、イメージだな。イメージでつけてるな、ジュジュ。
「あ、ああそうか。うん」
もう適当な相槌で乗り切るしかない。
「見たかった……」
リン、さっき見たよな。絶対見てたよな?前で俺は三回はしてたし、ジュジュも見てるし。
「見たかった……」
「ああ、またな」
「見たい」
ウルウルな瞳で俺を見つめるんじゃない。またメイド服、じゃない? 着替えてるし。これも新しい服だ。ロリな感じでスカートフワフワだよ。なのになぜ上は薄着な感じで露出が多いんだ。ってかリンが何を目指してるかわからない! 可愛いんだけどな。
ハッ! それよりもこの事態だよ。
「じゃあ、今夜な」
「うん」
絶対こう言わないとリン、納得しないな。あれ使う時はすごいピンチが多いから嫌なんだけどな。
食事を取ってやっとベットへ。あんな襲撃ありかよ。そんで、あれよりすごい海ってどうなってるんだ?




