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第十八話 船長勇者伝説ぽろっと言う

「魔物! 右!」


 夜警絶対サボってるよ。短くなりすぎだ。


 右側に走りながら思う。今度は何だ?


 おお! 進化か? 進化するのか魔物? 貝が、あっと、巻いてない二枚貝の方が、なんかいつもと違う。もう貝の間からべローンって紫色の中身を出してる。手もなんかイガイガついてるし、違う種類なのかわからないが、かなり手強そうだ。イガイガが手の甲で良かったよ。船が先にやられるところだ。魔物は並んで登ってくる。よし! 一気に切り裂く。次もすぐに上がってくる。次々に一文字で切り裂く。これなかったら一苦労だったな。

 それにしても上に登ってきてる魔物に手だしできないのはイライラする。なんとかならないのか。さらに一文字で切りながら一文字の応用で下の魔物をやっつけられないか考える。難しい。船も傷つけそうだ。剣士で下を攻撃してる人はいないから無理なんだろう。諦めて目の前にいる魔物に集中しよう。


 魔物は結構な数だったが、やっと終わった。甲板も無事。これって結構大きいんだよなあ。疲労度。終わったって思ったらこれ片付けるの? って気分になるんだよな。



「おう、坊主!」

 ひょっとして船長話相手がいないのか?

「お前も腕をあげたな!!」

 嬉しそうに横に座ってくる。この人って。

「それにしもまだまだ長いな。塔も行かないといけないしな!」

「塔?」

 あ、しまったって顔してるけど、絶対そこまでしまったって思ってないなこの人。なんなら勇者伝説を俺に語り出しそうだし。

「ああ、まあいいか。到着した街の北側にある塔にお前のマントがあるんだよ。炎にも氷にもなんでも魔法の攻撃を防御するマント」

「本当に!」

 それめっちゃいい! 欲しいよ!

「ああ、ま。一回きりだから魔王の時に使うんだけどな」

 だよね、そうだったよな。腕輪も。

「はあ」

 気が抜けた返事にもなるだろ? これは。

「まあ、お供もなんだ、あるしな。頑張れよ! 坊主!」

 あ、船長逃げた。絶対逃げたな。勇者に伝説を話した上に、やる気削いだもんな。

 でも、そのマント魔王だけしか使えなくてもいるよな。だって魔王だよ。魔、魔! 魔法でやられるのわかってて、突っ込むの嫌だよ。




 やる気がなくなっている場合ではない。次々と襲ってくる魔物に対応していたら、そんな気分じゃなくなる。特にイカやワカメ系のヌメヌメには乗船を絶対断らねばならない。



 やっと朝日が、見えてくる。長かったよ。って油断してたらまた声があがる。


「魔物! 前!」


 絶対サボってるよ見張りの者たち。まあ、サボりたくなるぐらい出てくるけどな、魔物。



 前へと走り出る。この鐘、邪魔だ。大事なんだろうけど……邪魔だ。

 下を見るとまた新種。おいおい! 海ならなんでもいいのか? 確かにこれなら水陸両用だけどさ。ペンギン。足が可愛さを失ってる。完全な二足歩行を可能にしてるよな。そうくちばしも邪悪さが優ってる。手も違うだろ? 確かに原型じゃあ船に登って来れないが、もう手だよ魔物の手。なんか手の甲がゴツゴツして見えるのは、もう気のせいじゃない! と言い切れる。よく俺ペンギンってわかったよ。目も怖いし。こっちにらみながら魔物登って来てるし。が、なんだろ重いのか? 登る速度遅くないか? イライラする!! 紫の煙の中ペンギンの魔物が登ってくるの待ってるのイライラする!! お! これ使えるか? 今が使い所だな。


 俺は剣を持ち替えて剣の刃を下へ向ける。海へ向けて少し船からは離す。船を壊して船長に怒られたくないからな。


 剣を持った手を頭の上から下へ一直線に、今は斜めだけど降ろす。


 ドドド、ドーン!!


 海中にいた魔物ペンギンが海水と共に宙に舞い上がり、そのまま海の中に落ちて行く。ペンギンは目の高さまできたけど傷だらけだ。俺何をしたんだろう。思い浮かんだワザを使ったんだが、なんか想像以上だった。どうやら今の勢いで船にへばりついていた数十匹の魔物との対戦になった。

 これめっちゃ使える!!! あ、船の上にいる時のみだけど。

 今回はあっさり戦闘終了。

 みんな俺を見てるよ。なんか目立って恥ずかしいな。……明日は別の意味でさらに目立ちそうだけど。




「坊主! すごいじゃないか! 浮かんだのか? 浮かんだのか?」

 船長、今まで見たことないほど浮かれてるよ。きっと今後の戦闘を想像したんだろうな。

「あ、はい。ふと」

 そうだ。あのペンギンのノロさに苛立って浮かんだ。なんかあんまりいい新ワザの浮かび方じゃないな。

「そうか! さすが勇者だな!」

 船長の勇者のイメージがどんどん変わってるな。最初あんなにふんわりだったのに。





 その後もこの技でかなりの数の魔物を海へと返す、あ、まだ海中にいたけど、まあ、撃退した。


 みんな感謝的な顔で俺を見てる。俺もされたら見るな。絶対。あの魔物がウジャウジャと登ってくるのを切るを永遠に続けてる感覚はもう嫌だ。



 おお! 楽勝な朝だ! 体力も十分に残ってるし、いい気分で寝れそうだ。あいつらとも話さないといけないしな。


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