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第十三話 一文字を見たいリン

 ってバッチリ寝てました。また夕方になってる、窓の外。

 廊下へ出て一応確認。さっきのような騒ぎはない。とっと食べて夜に備えよう。


 甲板へ出るとリンが走ってくる。なんだ?

「次の魔物の襲撃までいていい? 一文字!」

「ダメだ。そんなのいつでも見れる。ちゃんと休め!」

 何かと思えば一文字を見ようとしてるだけだった。あ、一文字って俺も言ってるし。まあ、いいか。わかりやすくて。

「えー! いいじゃない。一回だけだから!」

 あーもー。めんどくさいな。

「一回だけだぞ! お前は戦闘するなよ。見てるだけだからな」

「うん」

 目をキラキラさせてる。何でそんなに人のワザが見たいんだ。わからない。



  *



 なんだかジュジュもツバキも悔しそうに部屋へ帰って行った。いや、お前らはさっきあんなに見たよな。何がいいんだか、人のワザを見て。

 リンと次の魔物の襲撃まで話をして過ごす。一人の時はその辺の剣士や魔法使いと話をしてみるがイマイチ話がかみ合わない。年が違うし、俺が半異世界なのが関係するのかと思ってたけど、リンとは話せるんで、年齢の問題か。あと田舎者だしな、こっちでは俺。かなりの田舎者だよな。

「一文字楽しみー」

 嬉しそうにあの分厚い本を持ってる。俺を書く気か? 戦闘中に不謹慎だぞ、リン。

 だけど、キラキラした目でリンがこっちを見るので何も言えない。

「ああ。そんなにたいした事ないよ。リンのが大群を落とせるだろ?」

 あ、そういや造形された形が……。

「うん」

 あ、納得してない。丸や三角や四角を見たことは言わないでおこう。気にしてる。魔物を倒せればいいのに。なぜ外観にこだわるんだ! だいたい丸だけでいいのにバリエーション加えて三角や四角にしてるし。

「魔法のが羨ましいよ。俺も魔法使いが良かったのに」

 つい本音がぽろっと出てくる。

「えー! ダメよ! 勇者は剣なんだから!」

 だから、誰が決めたんだそのお約束!!



  *


「魔物だ!! 右側だ!」



 俺は剣を持って立つ、リンに言う。

「リンここにいろよ!」

「うん!」

 ああ、リンのテンションめっちゃ上がってる。飛び上がらんばかりな返事。

 リン、昼間に戦闘してたよな。なぜにこんなに元気なんだよ。


 右側に着くと下を見る。お! 新種! ヤバイなんでこの生物なんだよ。切り辛い。だけど、可愛いとは言い難い顔してるよ。紫色の煙は相変わらずだし、本物は牙など口から出てないし。あーなんで魔物がラッコなんだよ!

 来たものはしょうがないし、明らかな敵意満々な目でこちらを睨んで上がってきてる。あと少しでラッコの原型失うよ。ラッコって気づかないから。すごい怖いよ。逆に。

 なかなか複数では上がってこないので、一文字はお預けになりそうだ。数も少ないし。チラリと見るとリンが近づいきてるし。やっぱり一文字しないから、そわそわとこっちにリンが来てる。全く困った奴だよ。って! 前をおろそかにしてたから3匹も並んでる。今だ。

 俺は剣を真横に切る。ホッ、危なかった。三匹のラッコは海の中に消えた。あとは数匹切って、終了。


 これで、リンは寝てくれるな。早目の魔物の襲撃にさらに少ない数でよかった。見てていられない戦闘になったらと心配してたんだけど、まさかラッコとはね。

「リンこれで気が済んだろう? 早く寝ろ!」

「えー! 一回だけだった!」

「一回の約束だろ?」

「えー! 嫌だ!」

 嫌がるリンを部屋へと引っ張って行く。これ以上はダメだ。酷い戦闘になれば必ずリンも加勢するんだから。

「トオルの意地悪!」

 って言葉を聞きつつドアを閉める。ドアを開けたらツバキもジュジュもまだ起きてたし。みんな早く寝ろってか疲れてないのか? タフな奴らだよ全く。


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