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第十一話 平原

 とにかく今日も早くに出発って。おい! 何時の間に。浮かれ気分の三人。何か言って欲しそうにこっちを見てるよ。

ここで突っ込んだら膨れあがるんだろうな。三人も拗ねたら大変な事になる。なんでこんな事と思いながらも言うしかない。


「ああ、おはよう。三人とも可愛いね。ジュジュはフェアリーっぽいし、リンは猫耳がさらに可愛くなってるよ。えーとツバキは…」


 ヤバイ、忍者っぽいって言いそうになった。それ褒めてるのかわかんないし。


「ツバキ、そ、その服似合ってるよー」


 あ、ニタ、シンプルに褒めたな。そうだな。深読みしすぎた。

 褒められたのにツバキ不服そうだ。ヤバイ俺が詰まったからだ。


「ツバキ似合ってるよ」


 そっとツバキに言う。ああ、恥ずかしい。なんで勇者がこんな訳のわからん苦労を。


「そ、そう」


 と、ツバキの機嫌が一気に直った。良かった。実際はちょっと露出が多い気がするんだが。忍者服もそうだったから、ツバキの発想は露出多いイコール動きやすい服なのか?ああ、ニタが嬉しそうにツバキを見てるよ。




  *




 さあ、なんか一仕事した気分だ。勝手に服を購入して、それを着てさらに褒めろと言わんばかりの三人に見つめられ、どうなることかと冷や汗かいたよ。




 ああ、そうそう。もう出発している俺たち。なにせ怖がりな勇者一行。褒めながら歩いた。とにかく今度は会いたくない。魔物に!




 それと気になるのは、指輪の数。あと一人増えるのか? ってか、ジュジュもニタも参加になってるのか? それとももっと人数が増えるのか。嫌な予感しかしないんだけど、この最弱チーム。





  *




 おお、いい感じで見渡す限りの平原。これは安心だな。なにせ見えてる。おう! 見えているよ次の村。村は遠いが魔物の影はない。




 ビュウー!




 え? 嘘でしょう? 俺の予想をどんどん裏切る魔物達。

 また来た!




 ビュウー!




 鷹だね。原型鷹だね。しかも二足歩行しそうな体に羽ついて飛べるんですか。どうやって倒すんだよ。狙われ放題だよ、こんな平原! 隠れる場所ないし。また紫色の煙が湧き立っていますが、飛んでるので煙が飛行機雲のよう。って楽しめる状況じゃない。こちらにくるたびに鋭い爪で狙ってくる。一度目に外れて良かったよ。爪が当たってたら今頃空に連れていかれてるな。




 後ろで呪文の声。あ、もう、リン、効果ないから今度は本当。

 うわー。

 ボヨーンってなるのわかっててもついよけちゃうよ。岩だね。今回はシンプルにきたね。


「ギャー!」


 って、え!? 魔物が岩に当たって落ちて来た。岩の落下音もボヨーンじゃなく。ガン、ゴン、ドン、だ。リン何をしたんだ!?

 とりあえずせっかく落ちてきたんだ、倒しに行かないと。岩がゴロゴロしてて歩きづらいと思ってたら岩が消えた。リン、サンキュー!

 剣を背中から抜き出し、さっきの鷹みたいな魔物を切る。うわー。近くで見るとデカイ! 思い切り頭の上から剣を振り下ろす。

 ふう。何とかなった。魔物は真っ二つ。この剣の切れ味よすぎだ。




 また魔物が来るかもしれない。またまたみんな無言で速足だ。リンにさっきの魔法について聞きたいが今はそれどころじゃない。村めがけて大急ぎだ。みんなどうしてるんだ? 剣士ってそんなに強いの?


 ただ魔王を倒してくれと頼まれた理由はわかった。こんなことが当たり前にあるなんて危険過ぎるだろう。魔王が魔物の大将なら倒して欲しいだろうな。ただ俺に頼むなよ!



  *



 無事に村に着いた。こんなに逃げてていいんだろうか?

 今度の村は村だね。まあ、育った村のが田舎だけど。

 あの平原、曲者だった。次の村が見えてるのになかなか着かない。焦ってるからか遠い道のりだった。もう上見て、前見て、後ろ見て。何がくるかビクビクだったよ。全く勇者っぽくないな。勇者の選別完全に間違ってるよ。誰だか知らないけど。




 やっと一息ついたのでリンに聞く。


「なあ、さっきの。なんでボヨーンってならなかったんだよ」


 責めてないよむしろ感謝してるんだけど、こんな口調になってしまう。


「浮かんだの! 呪文が!」


 ああ、気にしてないね、俺の口調。嬉しそうに俺の服の裾つかんで、飛んでるよリン。嬉しかったんだね、リン。


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