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人の好感度が見えるようになった田中五郎高校一年生

作者: 高橋 隆

「人の好感度が見えるようになった田中五郎高校一年生」


 高校一年生、田中五郎は歩いていて、ある老人と遭遇した。

 老人は黒のとんがりぼうしに黒のマントを羽織っていた。

「ワシは魔法使いじゃ。これからお前にヒトの好感度を見えるようにしてあげよう」

 五郎はとっさに、

「なんかの勧誘なら結構っス」

「きぇぇぇ。じゃあな」

 お爺さんは去った。

 ……。

 え? それだけ?


ーーー


 五郎は友人のBと会った。

「久しぶり」

「おう、お前はどうだ……」

 そして、会話終了し、別れた後。


 ”好感度が1上がった!”


 五郎の脳に、突然浮かび上がった文章。

「……え? あのお爺さん本物?」


ーーー


 次に、初めて会った男のクラスメート。

 席替えでたまたま隣に座ることになったのであいさつした。

「こんにちは」

「はい、こんにちは」

 そのあと会話ははずんだ。

 が、別れた後。

 

 ”好感度が1下がった!”


 ???


 今の会話弾んだはずだよなあ。わけがわからない……。

 五郎は不思議に思っていると、

 

 ”難易度易しい設定なので補足説明があります。今の会話を、彼は『忙しいからなあ』と思っていました。しかし周囲に存在するクラスメートとのかねあいから、会話に応じていたのです。なので、そういう方に出会った場合は、時間があるときで、嫌味にならない程度に相手の方のよいところを褒めることなどが重要でしょう。そして謙虚な姿勢になることも重要です。ほかの性格の方の場合については、おいおい説明をします”


 また頭の中に文章。

 理解はできたが、難易度易しい設定とかわけがわからない。ここはゲームじゃなくて現実の世界なのだよなあ。 


ーーー


 五郎はそのあともさまざまな人と会話をした。


「おっす五郎元気?」

 クラスメートの活発な女の子。

 会話を進める。

 その後。


 ”好感度が1上がった!”


 ”この性格の方の場合は、元気に挨拶すれば大丈夫です”


 随分ざっくりした説明だ。


ーーー


 たまたまお話させて頂くことになったすごく偉い方。

 五郎は前回の経験から、嫌味にならない程度にへりくだりながら会話を進めてみた。

 立場も違いすぎるのだし。


 そして、結果。

 

 ”好感度は変わらなかった!”


 とりあえず下がらなくてよかったのだろうか。 

 平凡な人間でありたいので、趣味の散歩とかしていればそれでいいので、むやみに上下しないことが一番いい。

 五郎は思った。


ーーー


 野球の練習試合。

 エラー1つ、ヒット2本。 


 ”コーチの好感度は、エラー時に好感度マイナス1、ヒット2本でプラス2、総合で好感度はプラス1です。ホームランを打てばなおよかったのですが、あなたは若干非力なので現状で満足すべきでしょう”


 一言余計じゃーい。というか、だんだん好感度説明からお悩み事相談コーナーか何かになってきてないか。


ーーー


 なんか、ヒトの好感度ひとつとってもいろんなことがあるもんだ……。

 五郎が考えながら道を歩いていると、

 先日の老人。

「やあ。好感度を見てみていかかじゃったかのう」

「……まあ、ヒトの意外な一面が見れた気がしたっス」

「そうか。じゃあその能力は返してもらうぞ。きぇぇぇ。じゃあな」

 え、またそんなさくりと。

「ところでお爺さんは何がしたかったんスか」

「何か行動することに、お前さんは理由を必要とするのかえ? ワシは今演歌サークルの仲間と演歌を歌いに行きたい。5時間。しかしその理由を探せといわれたら困ってしまうでのう。ほっほっほ。Let it be! 青年!」

 そう言って老人は去っていった。


 五郎はその後、Let it be! とはお爺さんナウいなあと思い、ヒトの好感度を見ることが出来ていたというトンデモ事態にはさほど関心を抱くことはなく、高校を卒業したとのことだ。


THE END

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― 新着の感想 ―
[良い点] 好感度がわかるという面白い設定が興味を引きました。 [一言] 面白い発想ですね。 もっと話を飛躍させて、ドタバタを見てみたかったです。
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