各々の想い 7
リンゴーン
リンゴーン
突然、重厚な音色の鐘の音が鳴った。
「おっと、もうそんな時間か。さぁてと、上がろうか。」
「待って、この跡を消す方法、知りません?」
「うーん、時間かな。」
「は?」
「そのキスマークを今すぐ消すのは無理だよ。時間がたったら、きっと
消えるよ。」
「そんなぁ。」
和希は、ガクリとうな垂れた。そんな和希に、呑気な声がかかる。
「カズ君、もう、集合時間だって。上がらないの?」
「あっ、トモ。えっと、そのー、先に・・・上がっててくれる?」
和希は、跡を見られたくないので、一緒に着替えする訳にはいか
ない。トモに冷静に受け答えするのに一生懸命で、声がうわずって
いるのに気がつかなかった。トモは敏感に感じ取っていたが、聞い
ても答えてくれないだろうと重い、あえて聞かなかった。
「うん。先に行ってるね。」
トモは、山田さんと浴室を出て行った。渋い顔をした梅林さんが
つぶやく。
「内緒なんだ。」
「言えないです。」
「ふーん。サクラちゃん、着替え終わったら呼びにくるから。」
と言い残して、梅林さんも出て行った。
「しばらく、寮のお風呂に行けない・・・」
この2日間で悩みをたくさん抱えてしまった和希は、深いため息
をついた。




