気が向かない約束 3
全く、階段を上がる気のないオレの後ろに回ったカズ君は、腰
のあたりに手を当てて押し上げるので、オレは逆らわずに押して
くれた方に進んだ。階段の踊り場で方向を変えるんだけど、カズ
君の手が、微妙に位置を替える度に、オレは、妙な感じにおそわ
れる。何気にくすぐったい。体をひねったりして、交わすものの、
とうとう我慢しきれずに変な声をあげる。
「あ、あ~ん。
止めろー!!
こそばいんだよ!!
手を離せー!
ぎゃはっ!
マジ、やめろって!」
「えっ?トモが階段上がらないから、後ろから押してるだけな
のに、ひどいよ。」
と言いながら、顔がにやけている。その間も、手が動いてて、
やめる気配がない。むしろ、もっと、露骨にさわってきてるので、
立っていられないほどだ。
「あ・・・まさか、わざと?
ちょ、やめろって!」
なんとか、階段を上り終えたが、それとほぼ同時に最後の一撃
を食らってしまい、体から力が抜けて重力に引き寄せられるよう
に崩れ落ちた。カズ君が支えてくれたので、上半身は床に落ちず
に済んだ。
「危ないって!
階段もあるんだからさー。」
「ごめ、ごめ。くすぐったいのを我慢しているトモを見ると、
つい、辞められなくてさ。」
「もう、早く行こうぜ。」
「あ、うん。」
あんなに行くのを嫌がっていたのに、いつの間にか、おさまった
みたいだ。




