各々の想い 3
「トモ、ありがとね。」
梅林さんと山田さんが2人で話ししている頃、オレ、桜庭智哉は、
玉拾いをしながら、カズ君こと藤井和希と話していた。
「ううん。実は、オレも、昨日、ちょっと後ろめたいことをして
いたものだから。カズ君ばかりが辛い目にあっているのが、納得
いかなくて。」
「後ろめたいって?」
「うーん、それが・・・」
オレは、あまり他の人には聞かれたくないことだったので、手を
止めてカズ君のそばに行って、昨夜のことをひそひそ声で話し始めた。
「・・・ということなんだよ。」
「トモ、何も後ろめたいことなんてないじゃないか。腕にしがみ付いて
震えていたんだろ。僕が、のばらさん達と一緒に寝てたのとは訳が
違うじゃないか。」
「でも、抱き合って一緒に寝たのは同じだよ。なのに、カズ君だけ、
苦しんでいるなんて、オレが許せない。」
「言いたいことはわかるけど、そこまで考えこまなくてもいいんじゃね。」
カズ君は、辺りを見回してから話を続けた。
「もともとは、あの2人がちゃらちゃらしすぎてるから、現状打破の
ために仕掛けた事だろうし。」
「それも、聞いてわかっているんだけど、腑に落ちなくて。」
「それより、トモの方が大変じゃないか?山田さん、暗闇が駄目なんだろ。
で、今年のペアはトモなんでしょ。ということは、毎週、抱きしめなきゃ
ならないんじゃないか。」
「うぐっ!毎週?え!!!」
それは、困る。何か打開策を探さないとならないと思った。
「とりあえず、明かりをつけたままで寝てみたら?」
オレ、寝れるかな?と不安を抱えたまま、玉拾いに戻った。和希は和希で、
トモ、襲われませんようにと、心の中で願った。




