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夜の代償 11
会長は、オレら二人のほうを見て言った。
「なにせ、いろいろと嗅ぎまわっている犬がいるものでね。今も、
ここの前の廊下で出会っちゃったよ。ちょこまかと、うるさ
いんだよな。」
オレには、何のことだか、さっぱりわからない。ポカンとした
顔をしてると、山田さんが口を開いた。
「百合さんですよね。」
「普通は、気がつかないのだが、山田は、よく気がついたな。」
「サクラちゃんと、じゃれあう度に妙な視線を感じて、それとな
く見てたら、百合さんだったんですよ。それで、なんとなく。
それに、さっき、会長が入ってきたときに、部屋の鍵を何度も
確かめるように閉めてたし。・・・って、会長?」
見ると、会長がうるうるとしていて、涙目になってる。
「山田、この1年で、本当に成長したな。何をやらせても駄目
だったおまえが・・・。うれしいよ。
さて、外の犬が納得するように、一芝居、討たないとならな
いんだよな。」
と面倒臭そうに言いながら、紅葉山会長は、部屋を出て行った。




