夜の代償 7
なんとか、20kmのランニングコースを完走した梅林と藤井は、
トレーニング室に行き、自衛隊出身のムキムキマッチョのコーチ
のハードなトレーニングに精を出して、もう少しで終わるという
ところまできていた。
一方、のばら椿は・・・といえば、まだ、たっぷり休んでいた。
梅林たちと別れて当に1時間は経っていたが、お菓子片手に、話に
夢中になっていた。話といっても、会長対策の話ではなく、のばら
の高校時代のモデルの話ばっかりだった。
「カメラマンが、すっごく無理な~要求を出してくるの~。顔は
こっちで~、体はそっちに向けて~、視線はあっちの方を向い
て~って、軟体動物じゃないんだから。」
「そりゃ、無理だわー。」
「ん~?何か~、泣き声聞こえない?」
「そう?」
動物の息遣いが聞こえる。
「犬?」
「こんな、山の中で?」
音の聞こえる方を見ると、何十匹ものの犬が、こちらに向かっ
て吠えながら走ってくるのが遠くに見えた。
「まさか、食べ物の匂いに誘われて、ここに・・・」
「まじ?やばくない?」
「逃げないと!」
二人は、荷物をそのまま放置して、ランニングコース沿いに
走って逃げた。逃げても逃げても、犬の声が聞こえる。二人は、
出来る限りの力を振り絞って、必死に逃げた。
やっと、犬の声が聞こえなくなり、辺りを見回すと、すぐそこ
にランニングコースのゴールが見えた。二人は、ズルすること
なく、20kmコースを走りきった。




