紅葉山会長の不安 10
「みなさんお楽しみいただけたでしょうか。これにて罰ゲームを
終わりにしたいと思います。」
「えー、もうちょっと楽しませてくれてもいいんじゃない?」
のばらさんと椿さんが面白がって、注文をつける。
「山田ー。サクラちゃんの顔についてるクリーム、舐めて綺麗に
してやれよー。」
「そうだそうだ。おまえが付けたんだろ。」
は?それは、無しだろ?
山田さんを見ると、困惑した顔をしてオレの方を見ていた。
そこに、執事さんが現れた。
「桜庭様、温かいおしぼりをお持ちしました。さあ、どうぞ。」
執事さんは、のばらさん達の視界をさえぎるようにオレの前に
立つと、おしぼりを広げて手に乗せてくれた。そして、早く拭いて
とばかりに、手を添えておしぼりを顔へ近づけた。オレは、ササッ
と拭き取ってホッとした。
「何だ、つまんないの。」
のばらさんが、いつもよりも気だるそうに言った。桃さんと
杏さんがそばに来て、オレ達2人を部屋から連れ出した。別室に
入り、ドアを閉めた途端、2人が爆発した。
「もう、信じられない。あの人達、なんで、あんなこと言うの
かしら。」
「品位が足りませんわ。女子大生としての可憐さを、身につけて
もらいませんと、困りますわ。同じ同好会にいるというだけで、
あの方たちと同類だと見られるなんて、耐えられませんわ。」
桃さんと杏さんがエキサイトしてる。山田さんはどうしてる
だろうと見ると、ティッシュを片手にオレの方へ来た。
「ごめんね。髪の毛にもついたみたい。」
と言って、ティッシュで取ってくれた。
「山田さん、お疲れ様。鼻にフォークが刺さったときには、殴ろう
かと思った。」
「うわぁ、ごめんって。」
顔の前で、両手を合わせてごめんと謝ってる。
「わざとじゃないんだよ。」
「うん、そう思って殴るの止めた。それより、女の子って、怖いね。」
「おぉ、あーいうの見せられると、女の子とは付き合わないほうが
いいのかもって思う。」
「付き合ったことの無い人の僻みに聞こえるのは、オレだけですかぁ~。」
「それを言うなよ。」
二人は微笑んだ。山田さんと、ちょっと近くなったような気がした。




